会長短信「春夏秋冬」
会長短信「春夏秋冬」はメールマガジン(メルマ日獣)に掲載しています
会長短信「春夏秋冬(60)」
「第30回世界牛病学会2018札幌、大成功を収める」
前号のこの会長短信でもご紹介しましたが、「第30回世界牛病学会2018札幌」が、8月28日から9月1日までの5日間、札幌コンベンションセンターで開催され、私も主催者代表としてオープニングセレモニーに出席しました。
この世界牛病学会は、1960年に第1回大会がドイツで開催されて以降、2年毎に欧米各国で開催されてきましたが、本年は第30回を迎え、しかもアジアで初めての開催という記念すべき大会となりました。
本学会の札幌での開催が4年前に決定されて以降、本大会長及び組織委員長をお務めいただいた酪農学園大学の田島誉士教授、副大会長をお務めいただいた日本獣医師会日本産業動物獣医学会会長で岩手大学の佐藤 繁教授をはじめ、種々ご支援・ご尽力いただいた多くの関係者の皆様方に感謝申し上げます。
お陰様で、世界66カ国から2千名を超える参加者を得ることができ、また、約1億6千万円余を要した開催費用につきましても、参加登録費、企業協賛金等により赤字を計上することなく賄うことができ、大成功を収めることができました。
本学会では、繁殖、乳房衛生、栄養・代謝、薬剤耐性菌、免疫とワクチン、蹄病、疫学、ハードヘルス、細菌性・ウイルス性感染症、公衆衛生と食品の安全性など多くのトピックスについて、基調講演、一般講演、ワークショップ等が行われました。
日本からも多数の発表が行われましたが、その中で日本の女性獣医師等畜産関係者の集まりである「産業動物に興味のある女性の会(通称:畜ガールズ)」によるワークショップ「産業動物界で女性獣医師等の力を最大限に発揮するにはどうしたらよいか」において、近年増加する女性獣医師の活躍やワークライフバランスの苦労話などが紹介されると、既に約8割は女性となっている欧米の現状の紹介や助言が行われるなど、世界各国における共通の課題として活発な討論が行われました。
この世界牛病学会は国際学会であり、学会発表及び抄録等はすべて英語で行われました。
実は、私のオープニングセレモニーにおける主催者代表挨拶についても当初は日本語で行う予定でしたが、直前の要請により英語で行うことになりました。
ところが、この私の挨拶中に突然マイクの音声が途絶えるというハプニングが起こりました。私もしばらくの間は挨拶を中断せざるを得ず、会場内ではざわめきが起こりました。
ようやくマイクの音響が回復し、私も挨拶を再開することができました。そこで私の第一声、「made in Japan」。
ざわめいていた会場内は一転して大爆笑となり、私も世界中からの本学会参加者の友好に僅かでも貢献できたのではないかと安堵しました。
セレモニー終了後、世界牛病学会の理事長でカナダ・モントリオール大学のブシャール教授から、田島先生に次のようなお礼のメールが届いたとの連絡が有りました。
「素晴らしいオープニングセレモニーの開催、おめでとう。藏内先生と貴殿のスピーチは、機知に富んだ相互に補完し合うもので、参加者からは良いコメントしか聞こえてきませんでした。さすがは “made in Japan”ですね。」
との有難い言葉を頂戴しました。
オープニングセレモニーの後には、ウェルカムレセプションが開催されましたが、これも形式ばったものではなく、協賛企業等による展示会場を活用し、世界各国からの参加者、協賛いただいた企業・団体等の方々が一堂に会して、和気あいあいと交流を深める絶好の機会となっていました。
このように、今回の世界牛病学会における主催者としての活動は、本会の今後における国際貢献のあり方、国内での学会や一般市民を対象とした本会企画の内容やPRのあり方等の検討にも有用なものとなりました。
現在、日本獣医師会では、マイクロチップの装着・登録の義務化などの制度改正をはじめ多くの課題の解決に向けて尽力していますが、一方で、獣医学術学会年次大会や動物感謝デーなど、地方獣医師会や協賛企業等のご協力をいただきながら開催している企画をより良いものとするための見直しも検討しています。
今後とも、本メルマガの読者の皆様方のご意見もお聞きしながら、本会の各種活動の見直し等も進めて参りますので、引き続きご支援とご協力を賜りますようお願いいたします。
平成30年9月28日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫
バックナンバー
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