会長短信「春夏秋冬」
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会長短信「春夏秋冬(38)」
「諸事の繋がりを大切に」
8月末からのこの1カ月、多くの出来事がありました。
先ず、平年では台風被害は殆ど無い北海道において、8月だけで4回の台風被害に見舞われました。特に、日本近海で迷走した台風10号は、東北・北海道に大打撃を与えました。岩手県においては「岩手県災害時動物救護本部」が設置され、岩手県獣医師会では被災動物の救援活動に尽力されています。
また、北海道では十勝地方を中心に河川が氾濫し、農作物や酪農などに大きな被害が発生しました。被災された皆様方には、心からお見舞い申し上げます。
私は、9月4日~6日まで、ベトナム国ホーチミン市で開催された第38回アジア獣医師会連合(FAVA)代表者会議及びFAVA大会に出席しました。
私から、①本年11月に小倉で開催されます第2回WVA-WMA”One Health”に関する国際会議(2nd GCOH)の開催とFAVA各国代表者の会議への招待、②来年度から研修生を受け入れる予定のアジア地域臨床獣医師研修事業(TP-FAVⅡ)について報告しました。
これらに対しては、会議の中でもレセプションの場においても、参加者から大変な感謝の言葉を頂戴し、アジア各国に対する日本獣医師会の貢献をアピールする絶好の機会となりました。この二つの企画にご支援ご協力いただいた関係機関と関係者に感謝を申し上げます。
ところで、このTP-FAVⅡは、日本中央競馬会の畜産振興助成事業として昨年秋から予算要求を行っていました。その最中の11月に、内閣府公益認定等委員会による立入検査が実施され、TP-FAVⅡを実施するに当たっては公益目的事業として追加するための変更認定申請が必要であるとの指摘を受けました。
このため、本年4月、①TP-FAVⅡの追加、②公益目的事業会計1(公1)と2(公2)の統合、③緊急災害時動物救護活動支援事業の追加について、内閣府に対して変更認定申請を行いました。②の公1と公2の統合は、公2の獣医学術振興等事業が常時大幅な赤字運営であったことから、事業運営の健全化を図ることを目的としました。内閣府での審査においては、①のTP-FAVⅡが公1の獣医師道の高揚等事業と公2の事業の双方に跨がった性格を有するものとして、②の認定にも貢献することになりました。また、③の災害支援については、全くの新規事業であったことから、一旦申請を取り下げ、①と②の認定を優先することにしました。
しかし、4月に発生した熊本地震に伴う被災動物の受入れを、当初の予定より1年前倒しで開始した九州災害時動物救援センター(熊本地震ペット救援センター)を緊急に整備するこ とが必要になりました。
このため、かねてより財務省に申請を予定していた指定寄付金の指定手続きを急ぎ進めることにしました。この指定寄付金制度は、寄付した全額が損金に算入できるもので、団体・企業等からの寄付が期待できる制度です。
ただし、その指定のためには、内閣府公益認定等委員会による③の災害支援事業の追加認定が必要になりました。これについては、4月から既に公益認定等委員会と調整を進めていたこともあり、熊本地震動物救援施設整備事業として極めて速やかに追加認定をいただきました。その結果、財務省による指定寄付金制度への本会の指定も、9月26日付けで官報告示されました。
一方、2nd GCOHの開催について、本会は日本医師会と対等の立場で取り組んでいること、本会及び全国の地方獣医師会が地方医師会との間で学術連携協定の締結を進めていること等が、福岡県人事委員会に高く評価され、獣医師職員に対して医療職(一)又は高度専門職の給与表を適用する方向で、来年3月までに結論を出すことになりました。
このように、TP-FAVⅡと2nd GCOHという国際貢献の取組が、本会の財務体質の強化と熊本地震ペット救援センターの緊急整備に間接的とはいえ好影響を与え、また、公務員獣医師の処遇改善という長年にわたる懸案事項に解決の方向性が示される結果となりました。
諸事、単独では解決が困難な事案が、種々の取組との繋がりと相互作用の下で、解決及び実現に向かうものだと改めて実感しました。
このような成果は、地方獣医師会と本会が一体となって、問題解決に邁進してきたことの賜であることは言うまでもありません。有り難うございました。
平成28年9月30日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫
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