会長短信「春夏秋冬」
会長短信「春夏秋冬」はメールマガジン(メルマ日獣)に掲載しています
会長短信「春夏秋冬(58)」
「第75回通常総会における事業承認を踏まえた獣医師の主体的役割」
平成30年6月22日、日本獣医師会第75回通常総会が、関係省庁・団体等から多数のご来賓を迎え、成功裏に開催されました。
議長に麻生 哲大分県獣医師会会長、副議長に竹原秀行川崎市獣医師会会長が就任され、議事に従い事業計画、予算・決算等の議案が原案どおり承認されました。
総会には、ご来賓として、齋藤農林水産大臣、牧原厚生労働副大臣、笹川環境大臣政務官、信濃文部科学省大臣官房審議官、森自民党獣医師問題議員連盟幹事長、斉藤公明党獣医師問題議員懇話会会長、横倉日本医師会会長、強谷中央畜産会専務理事ほか多くの方々にご出席いただき、祝意のご挨拶を頂戴しました。
私が本会の会長に就任して三期目の任期半ばを迎えましたが、本会役員や地方獣医師会の皆様方のご支援をいただきながら、国内外の諸課題を解決していく決意を新たにした次第です。
特に、国際水準に向けた獣医学教育の整備充実、動物愛護管理法の改正によるマイクロチップ(MC)装着・登録の義務化、動物看護師の公的資格化によるチーム獣医療提供体制の整備、勤務獣医師の処遇改善、災害時の動物救護活動等、喫緊の課題解決に向け尽力してまいります。
議事終了後には、北村日本獣医師連盟委員長から活動報告が行われました。
まず第一点目は、動物愛護管理法の改正によるMC装着・登録の義務化です。
延長国会の会期も残すところ僅かとなりました。現在、愛がん動物の適正管理等の法案の具体的内容について詰めの議論が行われていますが、MCに関する法案については、自民党どうぶつ愛護議連に設置されたプロジェクトチームにおいてほぼ取りまとめが終了しています。その内容については、若干の経過措置はあるものの全ての犬猫へのMC装着義務化を目指すこと、登録情報提供体制の一元化を図ること、MC装着は獣医師が行うこと、狂犬病予防法に基づく鑑札装着の代替措置としてMCを認めること等とされています。
第二点目は、動物看護師の国家資格化です。
現在、衆参の国会議員の先生方により精力的に議論が行われており、本国会会期中に法案の骨子等が示される方向となっています。
本国会においては、働き方改革関連法案等の審議が集中的に行われており、議員立法である動物愛護管理法の改正等が行われるか分かりませんが、早期の法制化を期待しています。
いずれにしても、これらの法制化が実現した暁には、その規定内容の具体化において主体的役割を担うのは我々獣医師をおいてほかにありません。
また、チーム獣医療を担う動物看護師の皆様方のご活躍を願っております。
犬猫の飼い主へのMC装着・登録の普及・啓発、MC装着・登録の実施、MC登録情報の提供等の業務は、全て獣医師、地方獣医師会及び本会が担うことになります。
国家資格化された動物看護師が行う診療業務は、獣医師の指示の下に実施可能となり、犬猫等の飼い主が期待する高度な獣医療の提供体制が整備されることになります。
このように、国、本会、地方獣医師会、関係団体等が本年度早期に実現を期待している施策は極めて重要なものばかりです。そしてその実現のためには、常々申し上げているように、本会と日本獣医師連盟とが車の両輪となり、さらに本会と地方獣医師会及び構成獣医師の皆様方が表裏一体となって、国、関係団体等にご支援をいただきながら積極的に活動していかなければなりません。
引き続き、皆様方のご理解とご支援をお願いいたします。
この会長短信の執筆中にも、中国・四国地方を中心とする広範な地域に、甚大な被害をもたらした西日本豪雨災害が発生しました。
現在、被災者に対する救出作業とライフラインの確保が懸命に進められていますが、7月11日現在、亡くなられた方は12府県で174人、安否不明の方は60人超と報道されています。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々の早期の復旧をご祈念申し上げます。
本会としても、11日付けで「平成30年西日本豪雨災害動物救護活動等支援金」の募集と、被災動物に対する診療・保護預り等について、全国の地方獣医師会会長に支援及び協力の要請を行いました。
皆様方からのご支援等をいただきながら、被災動物救護活動と被災地の獣医療提供体制復旧への支援に急ぎ取り組んで参りますので、何卒ご支援とご協力を賜りますようお願いいたします。
平成30年7月17日 公益社団法人 日本獣医師会 会長 藏内勇夫
バックナンバー
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