日本獣医師会と“One Health”の取組
「One World-One Health」とは、動物と人及びそれを取り巻く環境(生態系)は、相互に密接につながっていると包括的に捉え、関係する学術分野が「ひとつの健康」の概念を共有して課題の解決に当たるべきとの考えであり、近年では「One Health(ワンヘルス)」の語で広く取組が進められています。
「One World-One Health」は,2004年9月にアメリカのニューヨーク市マンハッタン地区で開催されたヒトと動物と野生動物の感染症に関する会議で提唱されました。この成果は、地名に由来してマンハッタン原則と言われており、今日の「One Health」の概念の礎となっています。
国際獣疫事務局(OIE)は、2009年に「より安全な世界のための獣医学教育の新展開」に関する勧告において、動物の健康、人の健康は一つであり生態系の健全性の確保につながるとする新たな理念として「One World-One Health」を実行すべきである旨を提唱しています。日本獣医師会は2010年6月に獣医師会活動指針として「動物と人の健康は一つ。そして、それは地球の願い。」を採択し、以来「One Health」の取組を進めています。
また、2012年10月には、世界医師会(WMA)と世界獣医師会(WVA)が、この「One World,One Health」の理念に基づき協力関係を構築する旨の覚書を締結しました。
これを受け、2013年11月、日本獣医師会と日本医師会は学術協力の推進に関する協定書を締結しました。
近年では、人と動物の共通感染症対策や薬剤耐性対策等に関する意識が高まっています。このような課題に対し、動物と人の健康を一つと捉え、関連する各分野の関係者が分野横断的に連携して、その解決に向けて取り組む「ワンヘルス・アプローチ」が国際的に提唱されています。