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「平成30年度に向けた政策要請」

　平成29年も残すところ1カ月余りとなりました。 メルマガ読者の皆様も、年末に向けた区切りと新年に向けた準備に追われ、お忙しい毎日をお過ごしのことと思います。 　春夏秋冬(50)では、政府において平成30年度の予算案の編成と次期通常国会への提出法案の作成作業が進められている旨をご紹介しました。 　本会においても、今月中旬に自由民主党獣医師問題議員連盟の役員の先生方に、20日には公明党獣医師問題議員懇話会の先生方に、「獣医師及び獣医療に関する施策の整備・充実に関する要請」として次のような要請を行いました。 　第1は、獣医師の処遇改善等です。 　この中で、①地域及び職域における獣医師の偏在を是正するため、福岡県の事例を挙げ、医師等に準じた獣医師独自の給料表の創設など公務員獣医師及び産業動物獣医師の処遇改善を、②獣医学生に対する両職域への就業誘導対策の充実を、さらに③女性獣医師に対する就業支援・復職支援を要請しました。 　第2は、動物愛護管理施策の整備・充実です。 　平成30年度は動物愛護管理法の改正が予定されており、この項目における要請事項は喫緊の課題です。この中では、①動物愛護管理法の改正において、現在、同法附則第14条に規定されている販売用の犬及び猫へのマイクロチップ(MC)装着の義務付け等を確実に法律に規定すること、②動物愛護管理法の改正法附則において狂犬病予防法の一部改正を行い、狂犬病予防法に基づく登録制度において鑑札及び注射済票のほかMCの装着・登録も代替方法として追加すること、③人口減少及び高齢化の進展、集合住宅における動物飼育の制約等により犬及び猫の飼育頭数が減少傾向にあるため、家庭動物飼育による健康で豊かな人と動物の共生社会の構築に向けた活動に支援することをお願いしました。 　第3は、獣医療及び感染症等危機管理施策の整備・充実です。 　この中では、①家畜伝染病や人と動物の共通感染症に対する防疫体制の整備・充実、特に国の防疫対応において重要な役割を果たす農研機構動物衛生研究部門を国の機関として位置付けること、②“One Health”の考え方を普及し、効率的な人と動物の共通感染症対策を講じるほか、世界的に注目されている薬剤耐性（AMR）対策、医学・獣医学教育の改善・整備等を推進するため、医師と獣医師の連携体制の構築及び関連施策に支援すること、③獣医療提供の質の確保としてのチーム獣医療提供体制の整備・充実を図るため、動物看護師の国家資格化に向けた法整備を行うことを要請しました。 　これらの要請事項の多くは、以前の動物愛護管理法や家畜伝染病予防法の改正時に国会の環境委員会と農林水産委員会で附帯決議として、国において検討することとされてきたものです。 　特に、本会が平成10年から開始し、環境省告示で規定された「所有明示措置」の具体的取組として動物ID普及推進会議(AIPO)とともに公益事業として推進してきたMCによる動物登録事業の法制化と、MCの狂犬病予防法に基づく登録制度への活用が実現されれば、これらの公益事業をより効果的かつ一体的に推進できることから、本会としても大いに期待しています。 　少子高齢化の進展に伴い、今や犬や猫などの家庭動物が家族の一員となり、人と動物の共生社会の構築が国民的課題となる中で、飼い主の方々をはじめ国民の皆様が健康で豊かな社会生活を送れるよう、地方獣医師会及び構成獣医師の方々をはじめ本メルマガ読者の皆様におかれても、新たな公益事業の実施体制の構築に向けご尽力いただきますよう、よろしくお願いいたします。 平成29年12月6日　公益社団法人　日本獣医師会　会長　藏内勇夫