公益社団法人日本獣医師会

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獣医学教育改善に向けた活動の経過 第Ⅱ期

第Ⅱ期(団体、大学、文部科学省等における獣医学教育改善目標の設定等)

(1)平成9年 :

(財)大学基準協会が、「獣医学教育に関する基準」を定め、この中で整備目標を設定
ア 1大学の入学定員は60人を標準、120人を超えない
イ 専任教員数は、学生60人までで72人以上、うち18人は教授
ウ 付属施設として、獣医臨床センターと先端的動物研究センターの整備
エ 自己点検・自己評価体制の整備

(2)平成13年 :

獣医学教育のあり方に関する懇談会(座長:黒川 清(日本学術会議副会長))が、関係7団体からなる獣医学教育関係者連絡会議(代表:(社)日本獣医師会会長 五十嵐 幸男)からの獣医学教育充実の方向についての諮問に対し答申を取りまとめる
ア 学科を学部規模に充実。講座数(教授数)を国家試験出題科目に対応するよう確保するとともに入学定員に応じた充分な数を有する教員規模に整備
イ 国立大学の獣医学科を3~4の獣医学部に再編整備

(3)平成13年 :

国立大学農学系学部長会議が、「獣医学教育改善のための基本方針」をとりまとめる
ア 獣医学教育組織の規模は、大学基準協会基準を満たすことが望ましい。72人以上の教員からなることが望ましいが、直ちに実現できない場合は18人以上の教授、54人程度が最低限必要
イ 自助努力で改善できない場合は再編を考える。再編は全国を5~6地区に分け産業基盤を考慮し、既存の施設を利用

(4)平成13年 :

全国大学獣医学関係代表者協議会が、「獣医学教育基準の達成に関する要望書」を獣医学系大学学長に提出
ア 全ての国立大学が再編に参加し、北海道大学、東京大学、九州大学に新しい獣医学部の設置を目指す
イ 市立大学については、建学の精神に沿い学部教育の整備・充実に一層の努力

(5)平成15年 :

全国大学獣医学教育代表者会議が、調査結果を取りまとめる
ア 教員の質の改善:代表者会議が教員の教育実績、論文数、社会活動実施状況の報告
イ カリキュラムの改善:①非常勤講師による短期集中講義の解消、見学実習の改善を図り、臨床教育の充実と公衆衛生教育の強化。②教員数の増加による新たな領域の教育充実。③卒業論文を必須科目から選択科目に変更し、5~6年次の選択制、コース制の導入
ウ 教育システムの改善:①付属家畜病院の充実、産業動物臨床センター(公衆衛生教育センター)の設置、②教員数の増加により、最低でも国家試験関連18科目の教育体制と技術教育(臨床ローテーション実習体制)の確保、25~28講座、教員数87~96人を目標

(6)平成16年 :

文部科学省の「国立大学における獣医学教育に関する協議会(座長:梶井 功(東京農工大学名誉教授))」が、報告をとりまとめる
ア 関係者の努力と基盤整備:国立大学の獣医学教育の充実のためには、関係者の不断の努力と法人化による経営努力を活用した基盤整備が必要
イ 大学を超えた統合:大学を超えた獣医学科の統合メリットは、有効かつ重要。統合は大学間の自主的話し合いと地域社会との合意形成が必要
ウ 教育研究体制の充実:教育目標の明確化と目標達成のためのカリキュラムを校正したうえでスタッフの配置が必要。教育体制の充実の中心は臨床分野。教員配置の数値目標は掲げないが、国立大学農学系学部長会議が決議した改善策の精神を基本に据え、自主的・自立的に最大限の努力
エ 国の支援:効果的教育サービスが行い得る大学に対する重点支援等、充実へのインセンティブが働くことが必要。複数の大学の有機的連携により幅広く、厚みのある機能強化を図る大学に対する国の支援
オ 評価・検証:大学の改善への取り組みの評価・検証とその結果を踏まえ、更なる検討が行われるべき

(7)平成13年以降 :

(社)日本獣医師会が、前記(2)の答申を受け、平成13年度以降毎年度、獣医学教育体制の整備・充実を文部科学省等に要請
ア 国立大学:全国10国立大学の獣医学科を獣医学部体制に再編・整備。
イ 公立私立大学:学生入学定員に応じた教員数と私設・設備を有する学部規模への整備についての十分な助成