牛海綿状脳症(BSE)サポーティング・ドキュメント

 国のBSEのステータスの判定
  ある国または地域のBSEステータスは,次の結果を評価することによってのみ判定できる.
少なくとも次に関する外的リスクおよび内的リスクの分析:
  TSEに感染しているおそれがある動物および受精卵または卵子の輸入,
  哺乳動物の肉骨粉(輸入および国産)の使用,
  TSEに汚染されているおそれがある非反芻動物用の飼料と反芻動物用の飼料との汚染
サーベイランス・システムおよびリスク管理戦略(リスクの存在が確認された場合)の評価,
当該国または地域内での家畜衛生および公衆衛生に関するリスク管理措置の実施.
3.発生国における防疫措置
  BSEの感染が疑われる牛のいかなる部分も,食用または飼料用に用いられてはならない.また,医薬品,化粧品および工業用にも用いられてはならない.患畜の死体は,可能な限り焼却により処分しなければならない.
  重要な条件は,牛が飼料を介して病原体に暴露される可能性を排除することである.飼料が本病を媒介する唯一の主要なルートであることから,本措置だけでも本病を消失させるのに十分である.この条件は,反芻動物由来の肉骨粉を反芻動物に給与することを禁止することにより実施できる.しかしながら,牛乳蛋白質,その他リン酸カルシウム(脱脂骨から生産されたもの)のような製品はリスクとなるとは考えられない.これらの措置は,動物園やサファリ・パーク等にいる鹿その他の反芻動物が飼料を介して病原体に暴露されることから守るであろう.
  さらに,輸出国におけるこのような禁止措置の存在は,禁止措置の完全実施後に生まれた反芻動物の輸入をBSEを理由として制限することを正当化しないことを意味している.完全実施とは,品質保証計画,反芻動物の飼料と非反芻動物の飼料または肉骨粉との間の汚染防止措置,適合検査および結果の記録ならびに違反者に対してとられた法的措置の記録の実施を意味する.禁止措置の遵守状況は,飼料のサンプリングおよび飼料中の哺乳動物(反芻動物を含む)の蛋白質を検出するために英国で開発されたELISAによる検査により監視することができる.反芻動物の副産物と他の動物の副産物を完全に分けて処理することができない場合には,すでに一部のEU諸国で実施されているように(EU決定94/38),哺乳動物の肉骨粉を反芻動物に給与することは禁止すべきである.
  反芻動物飼料の禁止措置は,TSEの感染性が検出されない肉骨粉を生産するのに一定の最低条件を適用することによりさらに強化することができる.
  母子感染はBSEの伝播の重要な要因ではないが,感染の危険を最小限にするため,BSEが疑われる分娩予定牛は隔離し,胎盤は安全な方法で処分し(可能であれば焼却し),隔離房は清掃・消毒するなどの措置をとるべきである.存在する可能性があるリスクを低減するため,分娩時にBSEを発症している牛または分娩後6カ月以上に発症した牛の子牛は処分すべきである.

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