牛海綿状脳症(BSE)サポーティング・ドキュメント

VI 予防的措置
1.危 険 因 子
  BSEに関し国がとるべき措置は,上述の結論に基づくものでなければならない.考慮すべき主要な危険因子を重要な順に掲げると以下のとおりである.
反芻動物由来の肉骨粉の反芻動物飼料への添加,
商業的な化製システムその他の動物副産物の処理方法,
潜在的に汚染のおそれのある物質の不適切な処理,
動物のTSEの発生,
その組織が化製され飼料として使われるめん羊その他の動物の飼養頭数の絶対数および牛の飼養頭数との比,
暴露のルート
予防的措置は,家畜衛生へのリスクと公衆衛生へのリスクを区別して作成しなければならない.予防的措置は,次の4つのカテゴリーに分けられる.
2.サーベイランス
  本病は潜伏期間が長いことおよび感染を摘発する血清学的検査その他の検査法がないことから,後述のような予防的措置を現在とっている国でさえも,潜伏期間にある牛が存在する可能性がある.したがって,次のことが重要である.
BSEの疑われるケースの届出を義務づけ,疑われるケースはすべて臨床的な検査を行うこと,
BSEの早期発見を可能とするため,農場主および家畜飼養者に対し,成牛での神経症状が見られるケースはすべて通報するよう奨励するとともに,獣医師が通報を受けた後の措置の必要性について判断できる知識を有することを確保すること,
病理学者が共通の基準に基づき本病を確認できるだけの知識,経験および技術を有し,狂犬病を含めたすべての牛の神経病の類症鑑別の対象疾病としてBSEを含めることを確保すること,
内的リスクおよび外的リスクの評価を行うとともに,リスク管理計画を策定すること,
次のような継続的サーベイランスおよびモニタリング・システムを実施すること:
BSEのサーベイランスでは,臨床的にBSEが疑われる牛の脳の実験室内検査が必要である.この検査は,組織病理学的な方法により行われるが,必要があれば,OIEマニュアルに定められている他の方法(ウェスタン・ブロット,SAFの検査,免疫組織科学的方法による異常PrPの検出)も用いて行う.BSEの組織病理学的所見は,発生国での経験をもとによく説明され,きわめて安定していることから,BSEのサーベイランスには組織病理検査だけでも十分である.

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