参考:米国における1996年の狂犬病調査
ニューヨーク州(ニューヨーク市を含む)は1996年に最多のアライグマ狂犬病症例(688件)を報告しているが,1995年の846件からは18.7%の減少である(3年連続減で累計−71%).この他に狂犬病感染アライグマ症例数について1995年と比べて減少報告があったのは,アラバマ州(37.8%,90件から56件),コネティカット州(26.6%,248件から182件),デラウェア州(1.9%,53件から52件),コロンビア特別区(7.7%,13件から12件),マサチューセッツ州(80.1%,276件から55件),ニューハンプシャー州(71.4%,91件から26件),ニュージャージー州(65.3%,219件から76件),ロードアイランド州(89.8%,215件から22件),サウスカロライナ州(34.7%,95件から62件),およびウェストヴァージニア州(1.6%,64件から63件)である.また,テキサス州(39.0%減,41件から25件),イリノイ州(1件から0件),およびルイジアナ州(1件から0件)からも狂犬病感染アライグマ症例数の減少が報告されたが,これらの州でアライグマが感染したのは一般的に当該州の地域的な陸生狂犬病ウイルス変異株の1つ(通常,テキサス州ではハイイロギツネ変異株,イリノイ州とルイジアナ州の中北部と中南部ではスカンク変異株)であって,当該地域に存在しない狂犬病ウイルスのアライグマ変異株ではなかった.狂犬病アライグマの報告は,カリフォルニア州(1件),アイオワ州(2件),オハイオ州(1件),サウスダコタ州(1件),およびウィスコンシン州(1件)からもあったが,オハイオ州以外の報告症例は他の狂犬病ウイルス変異株に関連していた.北はオハイオ川西部,南はアパラチアン山脈西部の諸州(オハイオ州を除く)は1996年も狂犬病ウイルスのアライグマ変異株が見られなかった.
スカンク―1996年のスカンク(M. mephitisが主)の狂犬病報告症例1,656件は全報告症例の23.2%を占め,1995年の同1,774件から6.7%減少している.報告症例数が前年比50%を超える減少となった州は,アラバマ州(60.0%,5件から2件),アーカンソー州(59.5%,37件から15件),フロリダ州(66.7%,3件から1件),ルイジアナ州(72.5%,40件から11件),マサチューセッツ州(62.5%,80件から30件),ニューハンプシャー州(65.6%,32件から11件),ニュージャージー州(53.7%,67件から31件)およびロードアイランド州(84.3%,83件から13件)の7州である.1995年にスカンク狂犬病症例を報告したが1996年にはこの報告が皆無だった州はネブラスカ州とネバダ州の2州である.アライグマ狂犬病の地域性流行または同種動物間流行のある州が報告したスカンク狂犬病症例はスカンク狂犬病全症例の半分以下(48.4%)であり,これらの大部分はアライグマからの溢出の結果と考えられる.100件を超えるスカンク狂犬病症例を報告した州は,カリフォルニア州(215件),アイオワ州(144件),ニューヨーク州(229件)およびヴァージニア州(124件)の4州であり,あわせてスカンクの狂犬病症例全体の43.0%(712/1,656件)を占めている.報告症例数が前年比100%を超える増加となった州は,フロリダ州(200.0%,1件から3件),ノースカロライナ州(104.3%,23件から47件)およびノースダコタ州(194.7%,19件から56件)の3州である.1995年にはスカンク狂犬病症例の報告がなかったが1996年に報告のあった州は,インディアナ州(1件),ニューメキシコ州(1件)およびオハイオ州(1件)の3州である.ワイオミング州(25件)の狂犬病スカンク報告数は1995年と同じであった. |