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行事等報告


 (3)来賓ご祝辞
 来賓から次のとおりの式辞が述べられた.
 〈農林水産省 石破 茂大臣〉

 ご紹介いただきました,農林水産大臣の石破です.日本を支え,そして世界を支えられるとともに,多くの分野にわたってご貢献いただいている,日本獣医師会の創立60周年を心からお慶び申し上げます.
 併せまして,多年のご苦労により本日栄えある表彰をお受けになる皆様方に心からお礼を申し上げ,今後ますますのご活躍をお祈り申しあげる次第です.
 私は様々な農林水産省関係の会議に出席いたしますが,大臣が3人揃うことはまずありません.環境大臣,法務大臣,さらに副大臣,政務官が出席されていますが,これは先生方の日頃からの活動に心から敬意を表しているからであると感じています.また今ご挨拶いただきました,山根会長は私の選挙区の方であり,本日欠席するわけにはいきません.
 私は存じなかったのですが,日本獣医師会から昭和19年発行された日本獣医学史という本を読ませていただきましたが,獣医師の始祖は,大国主尊ということでした.
 それは因幡の白ウサギという神話に描かれておりますが,別の神の言葉を信じ,サメに皮を剥がれた体を塩水に漬け,風に吹かれたため,痛さのあまり泣いているウサギと出会った大国主尊が体を真水で洗い,ガマの花粉にくるまって寝るように指導し,完治したという話です.この舞台となった鳥取県の白兎海岸には石碑もあります.このように苦しんでいる動物に対して獣医師の先生方は大国主尊のような心で,愛情を持って接しておられる.私も国会議員になって23年目になりますが,多くの獣医師の先生方の活躍する現場に接し,お話を伺うにつけ,動物はもちろん,多くの方々が先生方を頼りにしており,BSE,口蹄疫はしかり,先生方無くして日本の存立も,人類の存立もありえないということを実感し,感謝の念に堪えません.
 また何年か前に北海道大学を舞台にした,動物のお医者さんという漫画が2,000万部販売される大ベストセラーとなったように,多くの人が関心を持たれているということでもあります.
 本年6月に愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律が成立し,ペットフードを介した事故情報の収集,追跡調査への協力など,ペットフードへの安全性確保に資する取組みも,獣医師会,獣医師の方々に重要な活躍をいただく場となります.
 今後ますます重要となる食の安全確保,国民生活の質の向上に資する取り組みに引き続きご尽力を賜りたいと思います.
 そして,多様で尊い社会使命を果たしていくため,獣医師の先生方に指導的な役割を担っていただくよう心から希望する次第です.
 また,産業動物診療獣医師の先生方の平均年齢がかなり高くなる一方,また小動物診療への偏りもみられ,将来的な産業動物獣医師の不足が懸念されるところであり,本省では獣医系学生に対する臨床研修を実施し,適正な衛生管理等ができる獣医師の育成等の施策を推進しているところですが,産業動物獣医師の確保は非常に難しい問題であると感じています.3Kの職場と言われていますが,使命感をもち,自らが率先して取組むという気持ちで対応いただく気概も必要ではありますが,それだけで解決するものではなく,本省として本問題は極めて重要と考えています.今後とも獣医師会とよく連携を取りながら,どのような施策が最も望ましいか見極め,全力を尽くして取組みたいと思います.
 私の友人である北村直人先生には農林水産副大臣を務めていただきましたが,本来であれば農林水産大臣にふさわしい方で,真摯で愛情があり,誠に素晴らしい方です.このような先生方に学びながら今後の日本を誤りなきよう導いていきたいと思います.
 また本省は色々なご批判を賜っておりますが,親切で正直で丁寧な農林水産行政を,真に現場に近い農林水産行政を,国民のために行っていると言われる行政を展開する所存です.
 先生方の今後のご協力を心からお願いし,さらなる発展を祈念して挨拶といたします.

 〈厚生労省 村上隆史厚生労働審議官〉

 ご紹介いただきました,厚生労働審議官の村上です.現在,大臣が参議院の委員会に出席されており,私が大臣から預かってまいりました祝辞を披露させていただきます.
 社団法人日本獣医師会創立60周年記念式典の開会に当たり,一言お祝いを申し上げます.
 はじめに,本日多年にわたる関係方面への御功績により受賞される皆様に対し,心からお喜びを申し上げます.
 貴会は,獣医学術の振興・普及や獣医事の向上等を図ることにより,動物に関する保健衛生及び公衆衛生の向上等に寄与することを目的として,昭和23年に設立されましたが,以来,60年の長きにわたり,歴代会長を始め会員各位が活発な活動を展開してこられました.改めて敬意を表する次第です.
 本格的な少子高齢社会を迎えた今日,国民の感染症や食品の安全など健康に対する関心は従前にも増して高まっています.かつて国内で発生していた犬の狂犬病については,飼育犬の登録や予防注射の推進を通した皆様のご尽力により,この50年間国内で全く発生していません.また,近年は,特に新型インフルエンザに代表される動物に由来する感染症の問題が大きく取り上げられており,これらの感染症の動物対策を行っていく獣医師の役割の重要性が改めて認識されています.これらの感染症対策に万全を期すため,皆様のご活躍がますます期待されているところです.
 また,食品衛生分野におきましても,皆様のご協力によりと畜場における衛生管理や食鳥検査等が適切に実施されています.現在は,食品全般の安全性の確保といった観点から,生産から消費までの各段階における一貫した衛生管理の重要性が認識されており,監視指導体制の強化や規格基準の整備が推進されています.
 厚生労働省といたしましても,国民の健康を守る立場から,感染症対策や,食品の安全確保対策に引き続き取り組んでまいります.今後とも,獣医療,公衆衛生の第一線で活躍されている貴会及び会員各位の一層のご理解とご協力が不可欠ですので,改めてよろしくお願い申し上げる次第です.
 最後に,獣医療の各分野に携わっておられる皆様には,今後とも公衆衛生の向上に向けた一層の寄与をご期待申し上げますとともに,貴会の今後ますますの御発展と会員各位の一層のご活躍を祈念いたしまして,私のお祝いの言葉といたします.

 〈環境省 斉藤鉄夫大臣〉

 ご紹介いただきました斉藤鉄夫です.本日は,古川大臣政務官をはじめ,環境省に対して多数のご招待いただきましたことを心からお礼申し上げる次第です.
 まず日本獣医師会創立60周年誠におめでとうございます.ここまで築き上げてこられた皆様に心から敬意を表すとともに,また,後ほど栄えある功労者表彰をお受けになる方々に,心から御礼申し上げます.多年にわたり動物愛護や福祉の推進,また公衆衛生,畜産の振興に尽くされたことに,心から敬意を表する次第です.
 個人的な話になって恐縮ですが,私は島根県と広島県の県境の人口1,000人程度の山村の生まれで,父は島根県農業共済連に勤める獣医師でした.傷ついた猟犬を家の庭に運び込み,その場で手術をしたり,当時はほとんどの農家が牛と暮らしていましたが,父親のオートバイの後ろに乗り,そのような農家を巡回したのを覚えています.特に忘れられないのが,小学校のとき,父親が腕を牛の体内に肩まで入れて胎児に触り,妊娠鑑定をしていた際,牛が大便,小便をし始め,それが父の白衣にかかる姿を見たときで,将来,絶対獣医師にはなるまいと思いました.冗談はさておき,牛の出産にも立ち会った経験もあり,当時は人とともに生活する牛のような動物に対して大変愛情を注いでいた時代で,私は獣医師の仕事の大変さと命の大切さを学んで育ちました.そのようなことから,まさに日本の社会の基礎,食べ物の基礎,安全の基礎を獣医師の皆様に支えていただいていると,心の底から実感しています.
 環境省といたしましては,動物愛護の分野,野生生物の保護,また鳥インフルエンザの問題,さらに先日は,先の国会で成立した,農林水産省と共管の「ペットフード安全法」等についても共に仕事をさせていただいております.これからもしっかりと動物,環境,そして生物多様性の保護,これについては,再来年には名古屋で生物多様性条約締約国会議(COP10)が開かれ,皆様方にも大変これからお世話になりますが,これらの分野でご指導いただきながら,環境省も全力を挙げて取組んでいく所存ですので,どうかお見守りいただき,ご協力をお願い申し上げる次第です.
 最後に,これからの日本獣医師会の発展と皆様のご活躍をお祈り申し上げまして,環境省を代表しての挨拶とさせていただきます.



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