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部会委員会報告を受けた関係者庁に対する
動物医療体制整備に関する要請書
【別紙1】 |
19日獣発第118号
平成19年7月25日 |
文部科学省高等教育局長
清水 潔 様 |
社団法人 日本獣医師会
会 長 山根義久 |
獣医学教育の改善に向けた外部評価の取り組み等について(要請) |
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食の安全・安心の確保をはじめ,感染症に対する危機管理対策,自然環境保全対策,更には人と動物の共生社会の構築が国民的課題とされる中,動物医療及びその担い手である獣医師が今後とも社会の要請に応えていくためには,特に獣医師養成の基盤となる大学の獣医学教育課程について高度専門職業人の養成課程として,その機能を十分に発揮させることが重要であります.
獣医学教育体制の整備・充実については,かねてよりご理解とご指導をいただいているところでありますが,獣医学教育の修業年限が6年間に延長されたものの,国公私立大学ともに,施設・設備をはじめ教員数等の教育環境についての不備が各方面から指摘され続けたまま今日に至っているのはご承知のとおりであります.
このような状況の中で,本会においては獣医学教育の改善を社会的理解の下で推進すべく,一方で学校教育法において大学の質の評価システムが整備されたこと等の事情を踏まえ,「獣医学教育改善に向けての外部評価のあり方」をテーマに検討を開始し,平成17年には,大学が獣医学教育の改善の進捗状況の自己点検・評価を行うに当たり,達成度の指標となる「獣医学専門教育課程の標準的カリキュラム」を整備したところでありますが,今般,獣医学教育に特化した専門分野別第三者評価として推進させるべく「獣医学教育の外部評価の基本的考え方」を別添(略)の報告のとおりとりまとめたところであります.
外部評価を専門分野別第三者評価として発足させるためには,獣医学教育の改善を目指す獣医学系大学の総意により発足させることが求められるところであり,本会からは,獣医学系大学をはじめ獣医学教育に係る関係機関・団体に対し外部評価実施機関の立ち上げとともに,外部評価実施に向けての積極的な対応を要請し,関係者間の合意形成に努めているところであります.
つきましては,貴省におかれては,以上ご理解をいただいた上は,先の貴省の「国立大学における獣医学教育に関する協議会報告」においても,大学が教育改善の取り組みを実践し,取り組み成果の評価・検証と更なる検討が必要であるとされたところであり,高等教育振興施策の推進の任に当たる立場で,[1]獣医学教育改善に向けての外部評価の取り組みにつき,関係大学等に対する積極的ご指導とともに,[2]獣医学教育課程の学部体制への再編整備を含め,真に獣医学教育の改善を図るとする大学に対する財政措置の支援につきよろしくご配慮のほどお願い申し上げます.
なお,今後における獣医師需給対策については,先の農林水産省の検討会報告を受け,本会においても検討を進めることとしておりますが,需給政策とリンクする獣医学教育課程の入学定員抑制策については,現下の獣医師需給事情から,また,獣医学教育の質の改善が優先課題とされる中,維持されますようお願いします. |
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【別紙2】 |
19日獣発123号
平成19年7月31日
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環境省自然環境局長
櫻井康好 様 |
社団法人 日本獣医師会
会 長 山根義久
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外来生物対策の推進について(要請) |
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日頃より自然環境保全対策を推進する上における獣医師及び動物医療の果たす役割について評価いただくとともに,獣医師会活動をご支援いただいていること御礼申し上げます.
さて,近年,外来生物による農作物や住宅への被害,また,生態系への影響が社会的関心を呼んでいます.
これらの被害及び影響に対する対策として,外来生物法に基づき地方公共団体において特定外来生物に対する防除事業が実施されているところですが,獣医師は,動物医療技術提供の専門家として,特定外来生物の防除事業において中心的な役割を果たすことが期待される立場にあり,また,獣医師会も獣医師の組織する公益法人として外来生物に係る諸問題の解決に向けて社会的責任を果たすことが求められている立場にあります.
以上の事情を受け,本会の小動物臨床部会の野生動物委員会においては,獣医師及び獣医師会が外来生物対策において果たす役割について検討を重ね,このたび,検討結果を,外来生物に対する対策の考え方(特定外来生物の安楽殺処分に関する指針,外来生物法に基づく防除実施計画策定指針を含む.)として別添(略)の報告のとおりとりまとめたところであります.
つきましては,貴省におかれては,別添の報告をご理解の上は,今後における外来生物対策に係る施策推進に活用いただくとともに,地方公共団体が特定外来生物防除実施計画の策定・実施を行うに当たり,その参考とするようご指導いただきたく特段のご支援のほどお願いします. |
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【別紙3】 |
19日獣発第137号
平成19年8月8日
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農林水産省消費・安全局長
町田勝弘 様 |
社団法人 日本獣医師会
会 長 山根義久
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獣医師専門医制の取り組みについて(要請) |
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獣医師及び動物医療施策の推進については,日頃よりご尽力をいただき,厚く御礼申し上げます.
さて,近年,動物の診療技術の高度化・多様化に対する社会的要請が高まる中,特に犬・猫等の家庭動物に対する動物医療の提供においては,一次診療と二次(高度・専門医療)の連携体制の整備を図る上で高度・専門医療を担う獣医師専門医の養成が課題とされているところであります.
本会においては,平成13年から動物診療の特定専門領域(専門診療科)についてより高度で専門性の高い診療技術を提供する診療獣医師の認定のシステム(獣医師専門医制)のあり方についての検討を開始したところでありますが,平成17年からは本会学術部会の獣医師専門医制検討委員会において,獣医師専門医制の運営と専門医認定を統一的に推進するための機関としての専門医機構の役割等について検討を行い,今般,別添(略)の報告を取りまとめたところであります.
一方,獣医師専門医制については,貴省の小動物獣医療に関する検討会において専門医育成と専門医の認定基準の妥当性を評価する仕組み作りの取り組みの必要性が指摘されたところであります.
高度でより専門性の高い動物医療の質の保証を担う専門医制については,社会的信頼性の確保が前提となりますが,つきましては,貴省におかれては,獣医師及び動物医療施策の推進の任に当たる立場で獣医師専門医制の信頼性の確保のため,専門医認定の全国統一的な運営にご指導いただくとともに,獣医師専門医制の整備の方向性を新たに獣医療法に基づく獣医療提供体制整備基本方針に明確に位置づけ,同計画制度の下で専門医の適正な養成が確保されるとともに,一次診療と二次(高度・専門医療)の連携が地域において着実に進展するよう,ご支援とご指導の程お願いします.
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【別紙4】 |
19日獣発第138号
平成19年8月17日
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文部科学省初等中等教育局長
金森越哉 様 |
社団法人 日本獣医師会
会 長 山根義久
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学校飼育動物活動の推進について(要請) |
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日本獣医師会においては,動物の飼育体験を通じた生命尊重教育の重要性に着目し,初等教育課程における動物の飼育活動を介した情操教育の必要性を提言するとともに,学校における動物飼育活動の安定的かつ効果的実施を確保する上で動物医療を担う獣医師及び獣医師会との連携の推進ついて貴省をはじめ関係各方面に働きかけを重ねてきました.
また,このような中で本会では,これまで各地域における獣医師会の学校飼育動物活動の取り組みの現状を踏まえ,今後,獣医師及び獣医師会が地域の関係機関と連携して活動を発展的に推進していくための方策について検討を行い,平成17年に検討結果を「学校飼育動物活動の推進について(活動の経過と事業推進の指針)」として取りまとめ,貴省をはじめ関係省庁,さらには都道府県教育委員会に送付し学校飼育動物活動に対する理解の推進を呼びかけたところですが,今般,学校飼育動物活動の初等中等教育課程における一層の推進に資していただきたく「子どもの心を育てる学校での動物飼育(学校獣医師制の必要性と活動事例)」と題する報告を別添(略)のとおり取りまとめたところであります.
つきましては,貴省におかれては,別添報告をご理解いただいた上は,本報告を初等中等教育課程において児童・生徒の「心の健康教育」に係る施策推進にご活用されるとともに,都道府県教育委員会主導の下で学校飼育動物活動の推進と学校獣医師の配置をはじめ,これを支援する地域ネットワーク体制の整備が推進されるよう,下記事項についての政策配慮につきご指導・ご尽力いただきたく,お願いします.
なお,本件について,各都道府県教育委員会には別紙写しのとおり要請したことを申し添えます.
記
(1)学校飼育動物活動の円滑な推進体制を確保するため,「学校獣医師制(学校において学校飼育動物活動の推進の指導・助言に当たる獣医師の配置)」を確立すること
(2)学校教育課程における動物飼育の必要性を明確に規定すること
(3)教員養成課程,獣医師養成課程に学校飼育動物に関わるカリキュラムを取り入れること
(4)学校教育における動物飼育の活用と適正な動物飼育を普及するため,教職員(管理職を含む)への研修を実施すること |
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