食品衛生,感染症対策における動物医療関係施策の推進につきましては,日頃よりご尽力をいただき,厚く御礼申しあげます.
人と動物の共通感染症(以下「共通感染症」という.)による社会的リスクに的確に対処するうえで,公衆衛生領域における動物医療専門職としての獣医師及び動物医療の果たす役割への期待が高まってきております.
このような中で,先般,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「感染症法」という.)において,獣医師の責務規定や獣医師の届出対象疾病の拡充,動物の輸入届出制度が創設されるとともに,共通感染症について動物側からの疫学調査,対物措置,追跡調査等の法的措置が講じられるようになるなど,感染症法において獣医師及び動物医療の果たすべき役割について一定の法整備がなされたところであり,今後,感染症法に基づく動物衛生対策の地域における実効確保に向けての体制整備が求められるところであります.
以上の事情を踏まえ,本会においては,本会の公衆衛生部会において感染症法に規定される動物に対する措置等を含む共通感染症対策の現状と課題について協議・検討を行い,[1]共通感染症対策の地域における取り組みのあり方,[2]共通感染症対策と獣医師の役割,[3]獣医公衆衛生部門と家畜衛生部門の連携のあり方,[4]国民に対する情報提供のあり方について,今後の対応の方向性を別添報告のとおり取りまとめたところであります.
つきましては,貴省におかれては,別添(略)の報告内容をご理解の上は,下記の事項について特段の政策配慮を賜わりたく要請します.
記
1 地方自治体における共通感染症対策の取り組みについて
厚生労働省の担当部局において,次の事項の積極的な取り組みについて地方自治体を指導すること.
(1)本庁の公衆衛生担当部局の感染症対策部門と動物対策部門との一元的な事務執行体制の確保
(2)動物管理センター(未設置のところにあっては保健所)を共通感染症対策の中核施設として位置付け,獣医師専門職の配置の促進
(3)共通感染症の検査・診断について,動物管理センターと地方衛生研究所の役割分担の明確化
(4)第一線の診療獣医師との連携を確保するため,診療獣医師の相談窓口の動物管理センター(又は保健所)への設置
(5)都道府県における「動物由来感染症予防体制整備事業」の積極的活用により,診療獣医師と医師及びその関係機関と自治体の情報交換・対策協議のネットワークの構築・整備
(6)獣医師会と連携した公務員獣医師及び診療獣医師がともに参加できる技術研修会等の積極的開催
(7)各種衛生情報の交換と定期協議・人事交流等による公衆衛生部門と家畜衛生部門との連携の一層の強化
2 共通感染症対策の普及・啓発について
「狂犬病予防週間」等を新たに設けるなどにより,国民に対する狂犬病をはじめとした共通感染症に関する正しい情報の提供体制を一層充実すること. |