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会議報告

 

【来賓御挨拶(大要)】
 来賓から大要次のおとりの挨拶が行われた.

〈獣医師問題議員連盟会長 谷津義男衆議院議員〉
 ただいまご紹介いただきました谷津でございます.本総会にお招きいただき厚くお礼申し上げます.山根会長のお話のとおり,獣医師の皆様は多くの大きな問題を抱えられており,私は機会あるごとに色々な立場の獣医師の方々のご意見を伺っております.そのような問題は,自民党内の検討会で検討したり,政府に対して働きかけたり,場合によっては皆様方にお願いしたりして,一つひとつ解決していく必要があります.
 特に鳥インフルエンザの発生時,初動段階から,厚生労働省,農林水産省,各自治体が迅速に取り組まれ,獣医師の方々の真摯な対応により,早期に終息することができました.しかし,私が現地へ赴いた際,採卵鶏とブロイラー生産者の間における見解の相違や,警察当局による感染の拡大防止のため交通遮断のあり方等,初めてこのような問題を耳にし,さらなる検討の必要性を肌で感じた次第です.
 今後とも,我々は獣医師の方々の指導を得ながら,このような問題に対応する必要があると思っております.
 また,昨年はフィリピンからの帰国者2名が狂犬病により死亡しました.中国でも政府の発表を上回る多数の狂犬病が発生していると予想され,早急に対策に取り組む必要があると考えておりましたが,驚いたことに我が国でも,犬の飼育者の半数が法律で義務づけられている狂犬病予防注射を接種していないという実情を知りました.これについては厚生労働省から都道府県へ通達する等対応いただきましたが,このような事実も獣医師の方々から情報提供をいただき,初めて理解した次第であり,皆様方からの情報の重要性を再認識したところです.そしてまた,現代のグローバル化により,このような疾病が,いつ,どのようなかたちで日本に侵入するかもしれない状況ですから,常に緊急時に備える必要があるとともに,その第一線で対応される獣医師の方々の苦労は計り知れないものと敬意を表する次第です.
 さらに,産業動物臨床獣医師の不足の問題については,小動物臨床を志望する学生が多いため,職域が偏在化していること等に一因があるようですが,これを単に獣医師数の不足と誤認して,獣医学部を新設する方向も示唆されている状況があります.これについては,山根会長からお話を伺い,大学や文部科学省の担当者とも話をしましたが,大学側から現状を聞くに及び,教育の充実の必要性を強く認識し,さらに文部科学省に対しては学部新設より教育の充実・整備の推進を強く申し上げたところです.一方では獣医師の資格を有しながら,多くの方が獣医事以外の職種に勤められている事実もあり,このようなことも含め検討する必要があると思われます.今後とも,獣医師の需給の問題については,山根会長をはじめ獣医師会の方々と意見交換をしつつ,関係省庁へも対応して参りたいと思います.
 先ほど山根会長のお話の中にもありましたが,最近の親子間での殺人等,目を覆いたくなるような事件が報道されていますが,子供の頃から命の大切さを学ぶ,それはまさに動物とのふれあいであろうと考えます.子供たちへの情緒教育,動物と接するということの重要性を再認識して,動物愛護のあり方を含め,引き続き,文部科学省へも働きかけ,全国的な展開を依頼したいと考えています.
 今後とも,獣医師の方々の活躍を祈念申し上げるとともに,貴会のますますの発展を祈念申し上げまして挨拶とさせていただきます.

〈獣医師問題議員連盟幹事長 宮路和明衆議院議員〉
 ご紹介いただきました衆議院議員の宮路和明です.本日は全国各地から獣医師会の皆様方が出席されまして,第64回の通常総会が盛大に開催されますことを心からお慶び申し上げます.
 先ほど,山根会長の力強く,高尚なご挨拶をお聞きし,深く感銘した次第です.当面する獣医師会,獣医師の方々の諸課題につきましては,山根会長,そして谷津議員連盟会長のお話に尽きると思われ,あえてこれ以上のことを申し上げることはいたしませんが,我々議員連盟としても,数多くの課題に対する解決に向けて,少しでも前進するよう精一杯の努力をする決意を新たにしたことを申し上げ,今後とも,皆様のますますのご活躍と獣医師会のご発展をお祈り申し上げる次第です.
 谷津選挙対策総局長があえて立場上お話されなかったので,私から少しばかり選挙のお願いをさせていただければと思います.次期参議院選挙は,7月12日告示,29日,投開票ということで実施されますが,我が党は今,大変な逆風の中に立たされております.逆風というよりも突風だと言う人もいるように,大変な苦境に立っております.
 このような状況のときにこそ,より一層一致結束する必要がありますので,地方選挙区,全国比例区におかれましても,我が自由民主党の候補者に格段のお力添えをいただき,その暁には,皆様方と手を携え,さらに諸課題の解決に向け取り組む体制が構築できるよう,重ねてご支援をお願い申し上げ,挨拶に代えさせていただきます.

〈獣医師問題議員連盟事務局長 森 英介衆議院議員〉
 ご紹介いただきました,獣医師問題議員連盟の事務局長を務めている森 英介です.すでに谷津義男会長,
宮路和明幹事長から縷々挨拶があり,幹事長の言葉に加え,さらに私はお話すべきこともないと思うのですが,私は千葉県畜産協会の会長も務めさせていただいており,産業動物診療獣医師の不足問題,大学における獣医学教育の問題等,獣医師,あるいはそれを取り巻く分野の問題を肌で感じています.山根会長はじめ,獣医師の皆様方の要請については,谷津会長を先頭に皆様方と一丸となり,問題解決のため微力を尽したいと思います.今後ともよろしくお願い申し上げ,挨拶といたします.

〈農林水産省消費・安全局 町田勝弘局長〉
 ご紹介いただきました農林水産省の消費・安全局長の町田です.一言お祝いを申し述べさせていただきます.
 本日ここに,社団法人日本獣医師会第64回通常総会が盛大に開催されますことを,心からお慶び申し上げます.貴獣医師会,及び本日ご列席の皆様方におかれましては,日頃から獣医学術の振興普及や適切な獣医療の提供などを通じて,動物の保健衛生,あるいは公衆衛生の向上,食の安全と消費者の信頼の確保,さらには我が国の畜産業の発達と様々な面で大変なご尽力,ご協力をいただいておりますことに,改めてお礼を申し上げます.
 獣医師をめぐる情勢については,この1年間様々な出来事がありました.まず,長年にわたって我が国養豚産業の大きな課題であった豚コレラについて,獣医師をはじめとする広範な家畜衛生関係者の一致協力のもと本病が撲滅され,本年4月1日付でOIEより豚コレラ清浄国に認められるという大きな成果がありました.
 また,本年1月13日から2月1日までに宮崎県の3農場,及び岡山県の1農場において発生した高病原性鳥インフルエンザについても,関係者の尽力により適切な初動防疫を行った結果,被害を最小限にとどめることができ,5月8日にはOIEの規定に従い清浄国になりました.これらの家畜防疫における種々の成果は,まさに産業動物にかかわる獣医師の方々が,日頃より伝染性疾病の予防や保健衛生の指導に努めていただいている結果であり,心より敬意を表する次第です.
 さらに,昨年から今年にかけて大流行したノロウイルス感染症の予防についても,公衆衛生分野に従事する獣医師の活躍により,疫学情報に基づく感染経路の究明な感染の拡大防止に非常に大きな役割を果たされました.
 このように獣医師の責務が高まる中で,農林水産省では獣医師の需要及び供給の現状の分析,並びに将来推計を行うことを目的として,昨年11月に獣医療に見識の深い学識経験者などからなる「獣医師の需給に関する検討会」を設置し,獣医師の将来の需給について検討いただきました.本年5月には獣医師の需給見通しに関する報告書を取りまとめていただいたところであり,の結果は今後の獣医療政策に反映させていく所存です.
 この1年間を見ても様々な出来事がありましたが,獣医師の方々には一層高度な獣医療の提供が求められていることに加え,保健衛生の向上や食の安全確保のための指導が求められるなど,その役割は日増しに広範,かつ重要になってきています.関係者におかれましては,引き続きご尽力を賜りますようお願い申し上げます.
 また,社団法人日本獣医師会には,獣医師に対する社会的要請への的確な対応,動物の飼育者との信頼関係を基本とした質の高い獣医療の提供,獣医学術の振興及び普及などを通じ,引き続き主導的な役割を担って活躍されることを期待しています.
 結びに,社団法人日本獣医師会のますますのご発展と,ご出席の皆様方のご健勝を祈念し,私の挨拶といたします.本日は誠におめでとうございます.

〈厚生労働省医薬食品局食品安全部 藤ア清道部長〉
 厚生労働省食品安全部長の藤唐ナす.本日は誠におめでとうございます.一言ご挨拶申し上げます.
 本日,ここに第64回社団法人日本獣医師会通常総会が盛大に開催されますことを,心からお慶び申し上げます.皆様方におかれましては,日頃からと畜,食鳥検査,残留動物医薬品対策をはじめとした食品の安全確保対策,狂犬病予防をはじめとした動物由来感染症対策等,公衆衛生行政の推進に獣医師として種々の立場から多大なご理解とご協力を賜り,厚くお礼申し上げます.
 はじめに,食品の安全確保対策については,平成15年の食品安全基本法の制定,食品衛生法等の改正等を踏まえ,輸入食品対策等の監視指導体制の強化,ポジティブリスト制度の施行,リスクコミュニケーションの推進など鋭意取り組んでまいりました.
 BSE対策について,国内対策ではと畜場における特定危険部位の除去やBSE検査を確実に実施することにより,リスクの低減に取り組んでまいりました.また米国産牛肉については,昨年7月の輸入手続き再開以降,輸入時検査や現地査察等を通じて米国側での対日輸出プログラムの遵守の検証に努めるとともに,リスクコミュニケーション等を通じ情報提供に努めています.
 食肉等の動物性食品の安全確保対策については,腸管出血性大腸菌Oh157,サルモネラなどの食中毒防止を図るためと畜場,食鳥処理場のほか,農林水産省と連携を図りながら,生産から消費までの各段階における安全対策の向上に向けた取り組みを進めています.
 狂犬病対策については,昨年36年ぶりに日本人の帰国発症例が連続発生し,改めて予防対策の重要性が認識されたところであり,渡航者への注意喚起等に力を入れるほか,貴会の協力をいただきながら,動物と安心して共生できる社会づくりの一環として,狂犬病予防法に基づく会員の登録及び予防接種のより一層の推進に取り組んでいるところです.
 今後とも,食品の安全確保対策,動物由来感染症対策など種々の施策の充実強化に努めてまいる所存ですので,これら施策の推進に当たりましては,日本獣医師会のご理解とご協力を引き続きよろしくお願い申し上げる次第です.
 最後になりましたが,今後の日本獣医師会のますますのご発展と,本日お集まりの皆様方のご健勝を祈念いたしまして,私の挨拶とさせていただきます.本日は誠におめでとうございます.

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