- V 概 要:
- 【開 会】
大森専務理事から,開会時において定款の規定に基づく定足数を満たしており,本総会が成立する旨が報告され,4月19日逝去された中村 寛日本獣医師会第7代会長に黙祷が捧げられた後,開会された.
【会長挨拶】
山根会長から大要次のとおり開会挨拶が行われた.
〈社団法人日本獣医師会 山根義久会長〉
日本獣医師会第64回通常総会を開催するにあたり,一言ご挨拶を申し上げます.
本日は,総会を開催するにあたり,多数の来賓の方々に出席いただいております.まず,獣医師問題議員連盟会長として,日頃より懇篤にご指導いただき,また自由民主党衆議院議員の選挙対策総局長を務められている
谷津義男先生,同じく獣医師問題議員連盟幹事長である衆議院議員の宮路和明先生,日本獣医師議員連盟事務局長である衆議院議員の森 英介先生にご臨席いただいております.
また,関係省庁からは,農林水産省町田勝弘消費・安全局長,厚生労働省藤盗エ道食品安全部長,環境省冨岡悟自然局長 さらに,関係団体として社団法人中央畜産会中瀬信三相談役,社団法人日本獣医学会佐々木伸雄理事長他の関係団体からも多数の方々にご臨席いただいており,このような中で本総会が開催されることは大変光栄であり,皆様に敬意を表す次第です.
この2年間,五十嵐前会長を引き継ぎ,努力してまいりました.非常に非力ではございましたが,皆様のご支援により,大役を務めることができたと思っております.
昨年を振り返りましても,多くの出来事がありました.
記憶に新しいところでは,宮崎県,岡山県での強毒性であるH5N1型の高病原性鳥インフルエンザの発生ですが,これは関係各位の多大な努力により終息したところです.
この件については,カナダ獣医師会会長からも日本の家畜衛生行政に対して称賛いただきましたが,私からも改めて厚くお礼を申し上げる次第です.
しかしながら,まだ解決すべき課題は山積しています.まず,筆頭に挙げられるのは,今後の獣医師会を支える,新しい獣医師の養成基盤となる獣医学系大学における教育のあり方です.現在の教育現場の状況を詳細に検証し,公表して,皆様の理解を得ながら,獣医学教育の整備・充実に努める必要があると強く感じています.本問題は,獣医師の偏在等,獣医師の需給問題,そして獣医師の待遇問題に大きく関係しており,獣医学教育の改善には,本日ご臨席の谷津先生をはじめ,関係各位のご理解,ご支援が必要不可欠です.今後,皆様のお力添えをいただきながら,我々も一丸となって本問題に取り組む所存です.
次に,動物診療補助専門職の問題です.獣医療で核医学を取り入れる際,なくてはならない人材であり,早急に本制度を確立する必要があります.また,谷津先生の地元の群馬県が先進的に取り組んでおられる学校獣医師制度についても,全国展開する必要性を痛切に感じています.
そして,本会が組織として直面している問題は平成20年度に迫ってきている公益法人制度改革です.新たに公益認定法人として認可されるためには,大変な努力を要すると思われますが,認可されることによってこそ,獣医師会が社会から認知されることと思っています.今後,日本獣医師会と地方獣医師会が一丸となり,関係省庁からもご指導いただき,認可を得られるよう取り組んでまいります.
社会に目を向ければ,昨今の我が国では,家庭内での殺人等,悲惨なニュースが日常的に報道されているような状況です.なぜこのような国になったのでしょうか.
動物は,持って生まれた素質である「感性」と,生まれてから得る「知性」を有しています.「知性」が生きるため習得すべきものであるのに対し,「感性」は育み,芽生えさせるものであり,人間がこの「感性」の涵養を忘れたことが一つの要因と思われます.
「感性」を育てるには,まず母親の愛情が必要です.「三つ子の魂百まで」とのことわざどおり,三歳までに母親の愛情を注がれることの重要性が脳科学でも証明されています.
さらに,もう一つ大切なことは,我々が一番身近に感じている動物とのふれあいです.生まれてから「感性」を持ち続けている動物たちと,人間の子供が接することにより「感性」が芽生えるということも証明されています.そして,そのような関わりの中で一番重要な役割を果たすのは,我々獣医師であります.
このようなことを踏まえ,日本獣医師会が職能団体として将来を見据え,今後とも社会貢献できるよう,品格のある獣医師会を目指してまいりたいと思いますので,ご支援のほどよろしくお願いいたします.
最後に,構成獣医師の皆様,地方獣医師会がますます発展されることを祈念いたしまして,挨拶とさせていただきます.
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