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二種病原体等
  • バシラス属アントラシス(炭疽菌)34F2株,Davis株
  • フランシセラ属ツラレンシス(野兎病菌)亜種ツラレンシスATCC6223(B38株),亜種ホルアークティカ LVS株
  • ボツリヌス毒素(A型ボツリヌス毒素を含有する製剤500単位以下のものまたはB型ボツリヌス毒素を含有する製剤10,000単位以下のものに限る)
  • ボツリヌス毒素(0.1mg以下のものに限る.)
三種病原体等
  • リッサウイルス属レイビーズウイルス(狂犬病ウイルス)HEP株,RC・HC株
四種病原体等
  • エンテロウイルス属ポリオウイルス弱毒ポリオウイルスセービン株 I 型(LSc,2ab株),II 型(P712,Ch,2ab株),III 型(Leon,12a1b株)
  • フラビウイルス属イエローフィーバーウイルス(黄熱ウイルス)17D-204株
  • フラビウイルス属ジャパニーズエンセファリティスウイルス(日本脳炎ウイルス)at株,m株,ML-17株,S
  • インフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルス
  • A/duck/Hokkaido/vac-1/2004(H5N1)
  • A/turkey/Turkey/1/2005(H5N1)(NIBRG-23)
  • A/VietNam/1194/2004(H5N1)(NIBRG-1)
  • A/Indonesia/05/2005(H5N1)(Indo05/RP8-RG2)
  • A/duck/Hokkaido/vac-2/2004(H7N7)
  • A/equine/Newmarket/1/77(H7N7)
  • 志賀毒素(0.5mg以下のものに限る.)

 本規制が適用されるのは,病原体等を「所持」する場合である.検査の結果病原体等が同定された時点以降は,「所持」に該当する.ただし,動物病院や,検査施設等において,診察等の業務を行う過程の中で病原体等が同定された場合には,一定の期間内に適切に滅菌等を行えば,施設基準等を適用しないなどの対応をすることとしているものである.
 また,患者や自然感染した動物(自然感染した実験動物を含む),臨床検体などは,そのものが直接生物テロに使用される可能性が低いことから規制の対象とはしていない.もちろん,自然感染動物からヒトへの感染のまん延等が懸念される場合には,従来どおり,感染症法等の規定により,汚染されたモノとしての適切な処置が取られることとなる
(4)一種〜四種病原体等所持者の義務等
 一種〜四種病原体等の所持については,これらを安全に所持・管理する観点から,おのおのの所持者の義務が異なっている.特に,二種は許可,三種は届出が必要となっている.
 一種及び二種病原体等の所持者においては,感染症発生予防規程の届出,病原体等取扱主任者の選定,教育訓練等が義務付けられており,病原体等の管理のための所内の組織体制の確立,主任者による内部的な監督等により,施設全体として,病原体等の適切な管理が行われることが期待される.
 一種〜三種病原体等の所持者には,記帳の義務がかかるほか,病原体等を事業所外に運搬しようとする場合には,国家公安委員会規則に基づき,運搬の届出の義務が課せられる.
 四種病原体等については届出等の義務はないが,施設基準や保管,使用,滅菌等の基準の遵守が求められる(一種〜三種病原体等所持者も同様).また,病原体等を運搬する際の容器包装等の基準(運搬の基準)も告示されている.事業所外への運搬においては,いわゆるICAO(国際航空規約)のカテゴリーAの規格に適合した容器に密封し,3重包装で運搬することを必要としている.これは,特に陸送時の安全運搬のために必要なことから,カテゴリーAの容器としたものであり,特に,海外の研究者等から規制対象となっている病原体等を日本に輸送して貰うような場合には,すべてカテゴリーAの容器に入れて送って貰うよう伝える必要がある.
 なお,一種〜四種病原体所持者には,盗取,行方不明等の事故の際の警察官等への届出,火災などの災害時の応急措置等が義務付けられる.ここに,病原体所持者に課せられた義務等の一覧を示す(図3).
(5)実験室,製造施設,検査室と施設基準等との関係
 病原体等の所持,取扱い等の現状を踏まえ,特定病原体等そのものを用いての実験や研究を行う施設「実験室」,病原体等は使用するものの,医薬品製造のために,薬事法に予め規定された製造基準どおりの使い方等をする「製造施設」,主に病院,診療所,病原体等の検査を行う機関等で,臨床検体を取り扱い,業務に伴って病原体等を同定する「検査室」の,大きく3つのカテゴリーに分類して,それぞれに見合った施設基準を設定することとした.
 詳細な基準はここでは割愛するが,詳しくは厚生労働省のホームページで確認されたい.(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/03.html
また,同じ種別の病原体においても,狂犬病ウイルス,固定毒株のように,明確に弱毒株と分類される場合がある.狂犬病の固定毒株は,WHOにより分類されていることから,これを参考に告示化した.さらに,これら弱毒株はいわゆるBSL2のレベルでの取扱いでよいことから,施設基準等に相違を持たせた.このような弱毒株の分類については,科学技術の進歩等による今後の解明に合わせて,逐次更新されるべきものと考えている.
(6)そ の 他
 災害等の発生時など,国民の生命・身体を保護するために緊急の必要がある場合には,自治体に対して感染症の発生・まん延防止のための協力要請を行うこともできるよう規定されており,今後,省内関係部署とも詰めた上で,緊急対応マニュアル(仮称)のような枠組み等を策定の上,示すことを考えている.
 なお,手続等も含め,特定病原体等に関する相談等については,厚生労働省結核感染症課(病原体等管理対策係,TEL 03-3595-3097)までお願いする.また,厚生労働省HPも充実させているので,こちらも参照されたい.
図3 一〜四種病原体等所持者と法律上の義務一覧
図3 一〜四種病原体等所持者と法律上の義務一覧

 

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