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行政・獣医事

 

【別添1】
家畜共済の病傷事故給付基準
 病傷事故が発生したときは,その診療費について損害額を算定し共済金を支払うこととなっており(農業災害補償法第84条及び第116条,同法施行規則第33条),この損害額を算定するに当たっては,通常必要とされる診療その他の行為を基準として行うこととなっている(家畜共済損害認定準則第5).
 病傷事故の範囲及び通常必要とされる診療行為の基本的な解釈については,「家畜共済の事務取扱要領」(昭和61年3月31日付け61農経B第804号農林水産省経済局長通知)に定められているとおりである.
 すなわち,
  1. 「家畜共済の共済金の支払の対象となる疾病及び傷害」とは,
     獣医学的な意味での疾病及び傷害をいうのではなく,獣医師の治療を必要とする程度の,家畜としての機能に支障を来す異常な状態をいい,
  2. 「通常必要とされる診療」とは,
     その病傷に対し,最も有効で,かつ,最も経済的な診療方法であって広く学界に認められ一般に普及しているものであり,効果の乏しい不経済な診療方法や効果の不確実な新しい診療方法等は含まれない.
 家畜共済では,検査,診療及び治療に際しての指標となるべき基準として,
  1. 「家畜共済における臨床病理検査要領」(平成17年5月23日付け16経営第8829号農林水産省経営局長通知)
  2. 「家畜共済の診療指針」(平成14年3月29日付け13経営第6969号農林水産省経営局長通知)
  3. 「家畜共済における抗菌性物質の使用指針」(平成13年2月27日付け12経営第718号農林水産省経営局長通知)
 を設けているが,これらの基準に記載されたものであっても,すべてが給付対象になるのではなく,共済金の給付については,「家畜共済診療点数表」(昭和30年農林省告示第778号)及び「家畜共済診療点数表細則」(昭和59年3月23日付け59農経B第637号農林水産省経済局長通知)により損害額を算定するとともに,病傷事故給付の具体的な取扱いで疑問の生じやすい点については,以下の基準によるものとする.
 なお,本基準は,基準を超える診療行為を妨げるものではないが,本基準を超える部分については共済金の支払対象とはならず,組合員等の負担となることから,診療時には,そのことを説明した上で,診療を行う必要がある.
 また,診療を行う者は,近年「食の安全」という視点が重要視される中,家畜診療は食料生産の一翼を担っていることを念頭に置くことが,治療効果と併せて求められる.
 
第1 臨床病理検査の基準
1 総  則

 病傷に対し最も有効かつ経済的な診療を行うためには,まず,正確な診断を速やかに行うことが必要である.診断は,稟告及び臨床所見を十分把握した上で行う必要があるが,稟告及び臨床所見のみで診断が困難な場合には,それらによって病因及び病名を推察し確定診断又は病態の把握のために必要な検査を的確に選択して実施すべきである.
 給付は「家畜共済における臨床病理検査要領」を参考とするものとし,普遍的に診断意義が認められていない検査の応用がなされた場合及び病態からみて必要性が認められない検査は給付外とする.確定診断後は,病態の経過からみて通常必要とされる範囲を超えて行われた検査については給付外とする.
 なお,臨床病理検査は,一病傷事故期間(初診から転帰まで)を通して,診断,病勢経過及び治癒判定の目的で行われるものであるので,給付回数は,原則として3回を限度とする(ただし,繁殖障害にかかる直腸検査は,この限りでない.)が,検査内容及び病類によっては,その必要性が異なることから,「2 具体的基準」に掲げるものについては,当該基準により給付するものとする.

2 具体的基準
 乳汁簡易検査は,原則として3回を限度に給付するが,検査間隔が3日(診療当日を含む.)以内の検査には給付しない.
 尿検査は,原則として3回を限度に給付するが,検査間隔が3日(診療当日を含む.)以内の検査には給付しない.
 血液生化学的検査は,一病傷事故期間中を通して別表の病類ごとに定められた検査種別数の範囲で給付するものとし,この検査種別数を超えて行われる検査は,原則として給付外とする.
別表
注1 検査種別とは,「家畜共済診療点数表」の「血液生化学的検査」の検査種別をいう.
注2 原則として,同一病類内の合併症の場合は,別表の検査種別数の範囲(「肝臓疾患」と「その他の消化器病」を併発した場合は8までの範囲)で,また,複数の病類にまたがる場合は,それぞれの検査種別数の範囲で特に必要と認めた項目について加算給付するものとするが,類症鑑別に不必要な項目については給付外とする.

 

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