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行政・獣医事

 

第2 病名別給付基準
1 総  則

 診療に当たっては,原因療法を基本とした合理的な診療を行うことを原則とし,原因療法のみで効果のない場合等には対症療法を加えるべきである.対症療法の他に有効な治療方法がない場合を除き,対症療法のみに頼るような診療は給付外とする.ただし,治癒の見込みがないと診断された後,診療を加えなければ,残存物の有効な利用を図ることができないと判断される場合に,応急的に行った最小限の診療についてはこの限りではない.
 臨床症状,検査結果,治療結果等からみて,治療効果が認められないにもかかわらず同様な治療が継続して行われたと判断される場合,その継続して行われた治療については原則として給付しない.

2 具体的基準
(1)ケトーシス
 同一内容の医薬品を3日間使用して効果がなかった場合は,その後引き続き使用した当該医薬品(糖類剤を除く.)については給付しない.
(2)消化器病
 内用薬の薬治は,2日分を標準として給付するが,診療の際,薬剤を投与しない場合は3日分を標準として給付する.同一内容のものを連日交付しても2日分(診療の際,薬剤を投与しない場合は3日分)を標準に1回の薬治として給付する.
(3)尿 石 症
 排尿異常若しくは全身症状を伴わないものに対する治療については給付しない.
(4)長期在胎
 在胎日数が,経産牛は295日,未経産牛は290日を超えても分娩しないものについての治療以外は給付しない.
(5)胎盤停滞
 牛の胎盤停滞の抗菌性物質による全身療法は,体温上昇,食欲減退などの全身症状を伴う場合以外は給付しない.
(6)卵巣疾患
ア 牛の場合
(ア)生後12か月未満の牛の卵巣発育不全及び卵巣静止並びに分娩後40日以内の牛の卵巣疾患(腫瘍を除く.)に対する治療については給付しない.
(イ)卵巣発育不全,卵巣静止及び卵巣萎縮で,その治療間隔が2週間未満,卵胞嚢腫,黄体嚢腫及び黄体遺残で,その治療間隔が10日間未満の治療については給付しない.
イ 種豚の場合
(ア)生後8か月未満の種豚の卵巣発育不全並びに離乳後10日間未満の母豚の卵巣静止及び卵巣萎縮の治療については給付しない.
(イ)卵巣発育不全,卵巣静止,卵巣萎縮及び黄体遺残で,その治療間隔が2週間未満,卵胞嚢腫で,その治療間隔が4週間未満の治療については給付しない.
(7)子宮内膜炎
ア 牛の場合
 子宮内膜炎の治療については,分娩後40日以内のもの及びその診療間隔が1週間未満のものについては給付しない.
イ 種豚の場合
 離乳後10日以内のもの及びその診療間隔が3週間未満のものについては給付しない.
(8)乳 房 炎
 乳房注入剤の薬治は,2日分を標準として給付するが,診療の際,薬剤注入しない場合は3日分を標準として給付する.同一内容のものを連日交付しても2日分(診療の際,薬剤を投与しない場合は3日分)を標準に1回の薬治として給付する.
 抗菌性物質による全身療法は,急性症で食欲の減退若しくは廃絶又は発熱などの全身症状を認めた場合及び乳房内薬剤注入が不可能な場合以外は原則として給付しない.
 乾乳期用乳房注入剤は,乾乳準備期間の開始の時までに発症し,その治療が乾乳時まで継続して行われている(治療を乾乳時まで延ばしているものを含む)臨床型乳房炎に罹患した乳房であって,乾乳準備期間中に診断及び検査を実施し,その結果,これによる治療が必要と判断された分房について最終搾乳直後1回に限り給付する.診断及び検査は「家畜共済の診療指針」のうちの「乳房炎」に基づいて実施することとし,特に次の事項は必ず行うものとする.
ア 臨床検査
(ア)問   診
 乳房及び乳頭についての既往症―その病名と発病年月日,特に発病分房の乳頭損傷及び乳房炎歴
(イ)乳房及び乳頭の望診と触診
 乳房及び乳頭の熱徴,冷感,疼痛,腫脹,硬結,弾力性並びに損傷の有無
イ 乳汁検査
 乳汁の肉眼的検査及びCMT変法による検査
ウ 乳汁の細菌学的検査
 薬剤感受性検査
 なお,乾乳準備期間及び乾乳期間中に発症した臨床型乳房炎には,泌乳期の乳房炎に準じた治療が必要であるが,この場合,最終搾乳直後に用いた乾乳期用乳房注入剤の給付については上記に準じて取扱うものとする.
(9)関節炎,関節周囲炎及び蹄病
 抗菌性物質による全身療法は,局所の処置を行い,かつ,その病性,治療経過等からみて必要と認められる場合以外は給付しない.ただし,趾間部に壊死が生じる以前の急性期の趾間フレグモーネ(趾間壊死桿菌症,趾間腐爛)及び局所の処置を併用した疣状趾皮膚炎についてはこの限りではない.
(10)栄養失調及び過労
 通常の方法を逸脱した飼養管理に起因した栄養失調及び単なる過労に対する診療については給付しない.
 牛及び豚の雌不妊症,乳房炎,ケトーシス,乳熱,ダウナー症候群,第四胃変位,牛の運動器疾患並びに子牛の下痢・肺炎の治療に係る給付については,上記によるほか,「家畜共済の診療指針」を基準として給付する.
 
第3 医薬品の給付基準
1 総  則

 医薬品の使用に当たっては,的確な診断のもとに最も効果のあるものを経済的に応用することが必要である.
 医薬品を薬事法(昭和35年法律第145号)第14条に基づき承認された効能・効果又は用法以外に使用した場合は給付しない.また,薬事法第14条に基づき承認された用量を基準として損害額を算定する.自ら医薬品を調剤して使用した場合は,薬事法第14条に基づき承認された同種の製剤の成分及び用量を基準として給付する.ただし,薬事法第14条に基づき承認された効能・効果,用法又は用量に基づかない方法によった場合であっても,その方法によってより高い効果が期待できるとともに,危険性が増大しないことが明らかで,かつ,その方法が広く学界で認められ,一般に普及している場合又はこの給付基準で特に定めた場合はこの限りではない.なお,この場合,獣医師の特例使用であることから出荷制限期間(動物用医薬品の使用の規制に関する省令(昭和55年農林水産省令第42号)第4条の出荷制限期間をいう.)を適切に設定する必要がある.
 初めから高価な医薬品を用いた場合は,症状が特に急性でかつ重篤であるか,あるいは,特殊の薬効を必要とする場合であって,著しい治療効果を期待できることが明らかな場合を除き,代替し得る安価な医薬品によって損害額を算定する.
医薬品を併用した場合は,併用によって著しい治療効果を期待できることが明らかな場合及び1種ではその目的を達成することが困難な場合を除き,併用した医薬品のうち最も安価なもの以外については給付しない.
 医薬品が所期の薬効を現さなかった場合は,無効であることが明らかになってから引き続き使用した当該医薬品については給付しない.
 局方医薬品及び一般名で薬価基準表に収載されている医薬品については,いずれかの製造(輸入販売)会社の医薬品が収載されている場合は,当該製造(輸入販売)会社の当該医薬品以外の医薬品については給付しない.

2 薬効別基準(略)

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【別添2】
 家畜共済診療点数表適用細則について(昭和59年3月23日付け59農経B第637号農林水産省経済局長通知)一部改正新旧対照表

【別添2】

 

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