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【議決事項】
賛助会員入会の件
大森専務理事から,前回の理事会以降,個人賛助会員10名の入会の承認が求められた後,了承された.
【協議事項】
1 平成18年度地区獣医師連合会会長会議協議・検討事項の件
公益法人制度改革等の事情を踏まえ,
(1)今後における学会の組織運営及び学術活動の推進のあり方
(2)今後における狂犬病予防注射事業のあり方
ア 大森専務理事から,公益法人制度改革については,[1] 現行の社団法人は,当面,特例社団法人として存続するが,移行期間(法律施行の日から5年間)において公益社団法人または一般社団法人等への移行の認可申請が求められる等,組織形態等の見直し及び,[2] 公益社団法人については,公益目的事業(学術及び科学技術の振興を目的とする事業等22事業+政令指定事業)主体の組織・財政運営の検討が必要となる等,公益社団法人認定のための事業内容整備への対応が必要となり,新制度移行に伴い,学会の組織運営・学術活動の推進のあり方及び狂犬病予防注射事業のあり方については,今後,検討を要するため,本年度の地区獣医師連合会会長会議において協議・検討したい旨の報告の後,次のとおり説明された.
(ア)今後における学会の組織運営及び学術活動の推進のあり方
a 背景及び課題
(a)日本学術会議法の一部改正による登録学術研究団体制度の廃止
- 登録学術研究団体が廃止され,協力学術研究団体に移行したことに伴い,学術研究団体に対する従来の日本学術会議会員選考(団体推薦制)の機能が消滅し,学術研究団体の位置付けは「日本学術会議の求めに応じた学術活動への協力,会員等の選考に対する人材情報の提供」に縮小された.
- これに伴い,日本獣医師会の学会組織であるにも拘わらず,一方で日本学術会議の登録研究団体としての位置付けを確保するための形式上の独立性確保の必要性が希薄化した.
(b)日本獣医師会の組織・財政運営上の課題
- 学会は,定款上,日本獣医師会の学術分野別の学会活動運営機関として位置付けられているが,日本学術会議の登録学術研究団体としての位置付けを確保するあまり,その認定要件としての形式(日本獣医師会から独立した組織体裁)を優先したため,日本獣医師会本体の組織・財政運営が二重構造化し,学会財政根拠の不明確さと学会組織運営自体の形骸化を招来している.
- 将来の公益社団法人認定を見据えた場合,当面,新公益法人会計基準と現行の公益法人指導監督基準への対応が求められるが,現在の学会運営形態ではこれを乗り越えることは困難である.
- 前記フについては,毎年度の各学会監査において暫時,学会を日本獣医師会組織として運営改善することの必要性が指摘されている.
b 検討のポイント
(a)定款の位置付けに即した学会関係規程の整備
定款に定めるところに即し,日本獣医師会の事業運営組織が,[1] 職域別の事業運営機関としての部会と,[2] 学術分野別の学会活動運営機関としての学会の2本立てより成立することを確認した上で関係規程を再整備し,あわせて予算・決算対応の一元的運営が必要である.
(b)学会運営の活性化
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年次大会,地区学会の整備・充実
中長期計画の下での年次大会の開催運営と,学会と担当地区学会との連携の強化,特に会員が求める特別企画等についての内容の整備・充実.
- 各地区学会の開催単位の再編の検討と地区大会との連携のあり方(地区大会の開催のあり方を含む)の検討.
・地区学会の複数地区間の合同開催
・地区大会の複数地区間の合同開催
・地区大会機能の地区会長会議及び地区学会への分割移行
・その他
- 地区学会における獣医学系大学との連携の強化.
- 年次大会・地区学会への会員(構成獣医師)参加の拡大.
(c)学会誌の位置付け,特に学会誌への投稿論文数等の増加を含めた学会誌の整備・充実.
(d)日本獣医学会をはじめ関係学術研究団体(関係の学会,学術大会,研究会等)との連携強化.
c 検討の進め方
(a)日本獣医師会平成18年度事業計画
II 事項別の対応
2 獣医学術の振興・普及及び調査研究に関する事項:(4)(本59巻8号507頁参照) |
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(b)検討のスケジュール
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意見の聴取等
・平成18年度日本獣医師会学会正副会長会:平成18年11月15日
・平成18年度地区獣医師会連合会会長会議:平成19年2月20日
・平成18年度日本獣医師会学会合同理事会・総会:平成19年2月24日
- 関係規程等の整備検討
意見聴取の結果等を踏まえ,事務局において対応(たたき台等)を整理した上で,学術部会の関係委員会において協議・検討する.
(イ)今後の狂犬病予防注射事業のあり方
a 背景及び課題等
(a)狂犬病予防対策の実効確保
犬の登録率が5割,また,予防注射実施率が4割水準で推移する中,狂犬病予防法に基づく予防措置が次第に形骸化のおそれ.
国,自治体,獣医師会の役割分担と連携による予防対策推進のための地域ネットワークの再構築と犬の飼育者に対する一層の普及・啓発活動が求められる.
(b)獣医師会事業としての運営上の課題等
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公益(目的)事業としての位置づけの明確化
自治体主導による予防対策とその実効確保のため,自治体と連携した獣医師会の取り組みが必要となる.
- 事業の円滑な実施
・犬の飼育者の理解の醸成(普及・啓発)と飼育者の立場を踏まえた定期予防注射の実施(地域の実情を踏まえた上で集合方式と個別方式双方による対応,注射事故対応等)が必要となる.
・自治体主導の下で,獣医師会組織の結束により,登録から予防注射,注射済票の交付等一連の事務受託の円滑な実施体制の確保が必要となる.
(c)事業と他法令の関係の配慮
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独禁法上,事業者団体としての立場に留意することが必要となる.
- 税法上,公益法人による収益事業としての税対応をもとめられることに留意することが必要となる.
b 狂犬病予防対策に対する日本獣医師会の基本的考え方
狂犬病対策の現状と課題(別紙3)
c 最近における検討の経過と要請活動の実施状況等
(a)検討の経過
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平成14年度第1回地区獣医師会連合会会長会議:平成14年12月3日(本誌第59巻第3号159頁参照)
- 日本獣医師会小動物臨床部会小動物委員会:小動物委員会において2回に渡り今後における狂犬病予防注射事業の対応等を協議・検討し,[1] 今後,公益法人制度改革を踏まえ,事業の性格の公益性の確保が一層課題となる.地方獣医師会と自治体との連携と地方獣医師会組織の結束の強化を図ることにより,自治体からの定期予防注射と登録・済票交付事務の一括受託の推進とともに,集合注射方式と個別注射方式双方の事業への取り込みが必要とされ,[2] 当面は,平成14年2月の地方獣医師会連合会会長会議とりまとめの方向に即し,事業を推進することが必要とされた.
(b)要請活動
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狂犬病予防法に基づく犬の定期予防注射の取り組みについて(平成18年2月3日付け17日獣発第223号/本誌第59巻第3号158頁参照)
- 狂犬病対策の充実・強化について(平成18年10月6日付け18日獣発第146号/本誌第59巻第11号719頁参照)
(c)厚生労働省の対応
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狂犬病予防法に基づく犬の登録等の徹底について(平成14年6月11日付け健感発第0611001号結核感染症課長通知/本誌巻59第3号161頁参照)
- 病予防法施行規則の一部改正(鑑札及び注射済票の様式変更) についてのパブリックコメント募集(略)
d 他法令の関係
独禁法に基づく事業者団体としての禁止行為遵守の必要性
e 今後の検討の方向の考え方(案)
(a)狂犬病予防事業の位置づけと課税対応の考え方(略)
(b)狂犬病予防注射事業において想定される事務(業務)の範囲(チェックシート(略))
(c)狂犬病予防注射事業において想定される収入・支出の区分(チェックシート(略))
イ 続いて,酒井理事から,学会の組織改革については,長年の経緯もあり,地方獣医師会,関係者の意見を踏まえ,慎重に対応したい旨補足説明された.
ウ これに対して,[1] 地区学会・大会において,参加人数の多い地区における企画立案方法,参加者の意識等も調査の上,今後,資料として提出いただきたい,[2] 狂犬病事業収入の事業費へ充当割合については,地方獣医師会により大きな差があり,誤った回答の集計も予想されるため,正確な調査を依頼したい旨の要望が出された.
2 獣医師及び動物医療活動の広報対策としての市民参加型イベント事業開催の件
(1)大森専務理事から,近年,動物の役割がクローズアップされる中で,今後,獣医師が社会要請に応え,動物医療の質を向上するには,国民的理解が必要不可欠であることから,動物関連産業界の支援の下で動物及び獣医師の果たすべき社会的役割に対する一層の社会的理解を醸成するため,獣医師の役割と立場について市民向けの広報を目的に世界獣医学協会(WVA)が提唱する「World
Veterinary Day」の趣旨を踏まえて,日本獣医師会による市民参加型イベント事業として開催したい.事業は本会の主催とし,企画推進については,本会に委員会を設置し,獣医師会,特別協賛各社,The
World Veterinary Day協会関係者,学識経験者を構成メンバーとする.内容は,国民生活と動物医療にかかる市民公開講座をメインとし,動物獣医師,教育・研究の果たすべき役割に関する展示・実演の他,市民参加の企画も考慮する.開催地は,東京都を候補とし,予算については,企業,団体の協賛,広告・出展料等で充当する旨説明された.
(2)これに対して,[1] 毎年の継続事業とするのか,[2] 動物の役割と獣医師の役割のどちらを事業の中心とするのか,[3] 本会の負担について,[4] 獣医師をPRする機会として本事業の継続を依頼する,[5]
事業効果と予算軽減に鑑み,年次大会,大会・地区学会等との連携も考慮願いたい等の質疑,要望があり,山根会長から[1] については,しばらくの間事業の継続は考慮したい,[2] については,大学再編の要望の際,財務省,文部科学省から獣医学教育整備の必要性に対する国民の理解度を問われた経緯もあり,獣医師が社会のためにどのように貢献しているか,動物の役割も含めて一般へ理解を促す機会と考える,[3]
事業全体として,4,000万円程度を試算しているが,本会は委員会等の会議開催にかかる経費等の負担を見込んでいる旨回答された後,本件は了承された.
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