(1) |
死廃事故の共済金支払限度の設定に係る規定
現行の病傷事故に加えて,新たに死廃事故についても,共済金の支払限度を設定し,
《1》 |
包括共済関係に係るものにあっては,包括共済対象家畜の種類ごと,農家ごと及び共済掛金期間ごと |
《2》 |
特定包括共済関係(肉豚の農家単位引受方式)に係るものにあっては,農家ごと及び共済掛金期間ごと |
に,共済金額に応じ及び料率地域別その他農林水産省令で定める区分により農林水産大臣が定める金額を共済金の支払限度とする.(法第116条第1項ただし書,第150条の5の10第1項)
死廃共済金について農林水産省令で定める区分の概要は,次のとおりである.(施行現則第47条の22)
a. |
包括共済関係に係るものにあっては,包括共済対象家畜の種類別,共済掛金期間の月数別及び火災,伝染性の疾病又は風水害その他気象上の原因による死廃事故(以下「特定事故」という.)とその他の死廃事故との別 |
b. |
特定包括共済関係に係るものにあっては,共済掛金期間の月数別及び特定事故とその他の死亡事故との別 |
家畜共済に加入している者は,当然に対象とするが,共済金支払限度の適用除外事故となる火災,伝染性の疾病等の死廃事故を除外とした事故除外方式を選択している者は除くこととしている. |
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(2) |
共済金支払限度が適用される死廃事故
共済金支払限度が適用される死廃事故は,馬以外の包括共済対象家畜の死廃事故のうち,特定事故以外のものとする.したがって,個別共済関係に係る死廃事故,馬に係る死廃事故及び特定事故については,共済金支払限度は適用されない.
種雄馬以外の馬(いわゆる一般馬)及び個別共済対象家畜については,
《1》全国的に見ても飼養地が限られていること,
《2》小頭数規模の飼養農家が多くを占めること
《3》個体ごとの評価額にかなりの格差が見られること
《4》被害率にあまり格差が見られていないこと
等から,対象から除くこととしている.
また,通常の飼養管理努力では事故の発生防止が困難であり,かつ,発生した場合,農家の経営に与える影響が大きいもの(上記の火災,伝染性の疾病等)については,共済金の支払限度の適用対象外とする. |
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(3) |
共済金支払限度額の算定方法
共済金支払限度は,次のとおり算定することとする.
共済金支払限度額=共済金額×支払限度率×係数*
(注) |
係数*:短期加入の場合のみ短期係数を用いることとする.また,追加引受等に伴い共済金額の増額を行う場合は,この算定式に倣い未経過月数の割合を係数として増額共済金額に乗じ,共済金支払限度額の追加額とする. |
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(4) |
支払限度率
支払限度率は,地域における被害状況等を考慮して,
《1》包括共済関係に係るものにあっては,料率地域別及び包括共済対象家畜の種類別
《2》特定包括共済関係に係るものにあっては,料率地域別
に,料率の一般改定時に農林水産大臣が定めることとする.
具体的には支払限度率の設定方法は,料率地域(豚にあっては,都道府県)ごと及び包括共済対象家畜の種類ごとに,農家をグルーピングし,その過去3カ年(料率算定期間)の被害率(特定事故以外の死廃事故の金額被害率をいう.以下同じ.)の低い順に農家を並べたときに,一定の水準に当たる農家の被害率を,当該料率地域における支払限度率とする.
死廃事故に係る共済金支払限度の導入に当たっては,恒常的に高被害となっている農家を対象とするため,料率を設定する地域ごとに,地域の平均的な被害率よりもかなり高い水準を設定し,その水準を超える者に支払限度を適用することとし,高被害農家に事故防止へのインセンティブを付与する意義がある. |
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(5) |
共済金支払限度の適用
死廃事故の共済金支払限度は,年度ごとに適用するものとする. |
(6) |
支払限度の適用除外
一定の要件を満たす者の包括共済関係については,包括共済対象家畜の種類ごとに,当該年度において,死廃事故の共済金支払限度を適用しないこととする.一定要件を満たす者の適用基準は検討中.
今回の措置は,恒常的な高被害農家を対象としているため,被害率が低い,いわゆる優良農家の対しての優遇措置を設定するとの考えに立ち,包括共済対象家畜の種類ごとの料率算定期間の被害率の平均値を勘案して都道府県ごとに定める率(適用除外基準率)と比較して農家の過去の一定期間の被害率が地域の当該適用除外基準率より低い農家にあっては,支払限度の適用から除外することとする. |
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(7) |
共済金の支払い
ア |
特定事故に係る共済金
補償割合に応じた共済金額まで支払う.

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イ |
特定事故以外の死廃事故に係る共済金
期首における共済金額に支払限度率を乗じて得た支払限度額又はその残額の範囲において,死廃事故の発生に従って順次支払う. |
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(8) |
共済掛金率
死廃事故の共済掛金率は,特定事故の被害率と支払限度額適用後の被害率を基礎として算定することとする. |