会議報告

 2.諮問事項第2:現状の財政面の問題点について

(1)一般会計等の財政運営
【答申の要旨】
ア. 日本獣医師会の財政規模は,事業規模の拡大等に伴い,この10年間で見て約2倍に伸びたが,社団法人の管理運営の基盤となる会費の水準は,昭和63年以降据え置かれたまま今日に至っている.
イ. このような財政運営を可能としたのは,[1]基金会計(特定預金)から一般会計への繰り入れによる資金手当が行い得たことに加え,[2]これまで,組織及び事務執行体制の整備・合理化や資金の効率的運用をはじめ諸経費の節減等の結果であり,財政運営は評価できる.
しかしながら,今後,基金会計の運用益収入は順次減少することが見込まれる.一般会計等の財政基盤については問題点を検討し,基金会計の財政上の位置づけ及び管理運営に当たっての留意事項とともに,会費の在り方等を整理し,財政運営に当たる必要がある.
ウ. 一方,会費値上について,すべての職域の構成獣医師に共通する会費(構成獣医師割会費)を今直ちに一律に値上げすることは地方獣医師会によっては困難が伴う.
 一般会計等の財政運営については,当面,基金会計等からの資金の繰り入れにより対応せざるを得ないが,日本獣医師会は,今後,地方獣医師会とともに,社団法人の財政運営の基本に立ち返り,先ず会費算定の在り方等について,現実的な対応策(例えば,[1]1人当たり構成獣医師割会費を構成獣医師が共通して負担する部分と,職域等に応じて追加負担を求める部分に分けること.[2]会費とは別に,日本獣医師会の特定の事業活動等に参加する構成獣医師に受益者負担を直接求めること.)を検討する必要がある.
エ. 福祉共済事業会計については,本来この会計の対象とすべき事業の収支均衡等の健全運営の観点に立ち,事務手数料の配分や構成獣医師に対する一方的な給付となる弔慰金等の取り扱いについて見直しを検討する必要がある.
 
【答申に対する対応】
ア. 一般会計の財政運営に当たり会費収入等で不足する分については,当面は,これまで通り,基金会計等他会計からの繰り入れにより資金を手当することで対処する.
イ. 会費算定の今後の在り方については,[1]構成獣医師割会費の種別設定,[2]構成獣医師直接参加の事業活動と受益者負担との関係等を念頭に,今後,前記1の(2)のウに示した組織の在り方を検討する中で併せて検討する.
ウ. 福祉事業会計運営の在り方については,答申の趣旨を踏まえた検討を獣医師福祉共済事業運営委員会において行う.

(2)基金会計の財政上の位置づけ及び会費の在り方等
【答申の要旨】
ア. 基金会計は,経営環境等の諸情勢の変化に対応した会務運営に対する備えとしての機能が発揮できるよう,基金会計から一般会計への繰り入れは,必要最小限度に止め,効率かつ適正な運用に努めるとともに,基金として最低限保有しておくべき金額について,限度額を設定する必要がある.
イ. 基金会計の限度額は,[1]今後見込まれる平均的な財政支出規模を勘案した公益法人としての基本的運営経費,建物減価償却引当預金所要額及び事業会計の賃貸借契約に係る預かり保証金相当額をあわせた額と,[2]基金会計の原資とされる額.双方をクリアする水準の11億円(建物減価償却引当預金所要額を含む.)を目安とする.
ウ. 基金会計に限度額を定める以上,限度額が到達する前の段階において会費値上げが不可欠となる.会費値上げは,先送りすることなく基金会計からの繰り入れに限度が来る前の段階において厳正に対処する必要がある.
 なお,日本獣医師会は,今後とも経費の節減,事務・事業執行の効率化・合理化に留意するとともに,各職域の獣医師により構成される公益法人の全国団体として,各種公益事業を積極的に展開することが求められる.
 一方,地方獣医師会は,今後,日本獣医師会において組織の在り方や会費算定の在り方等が検討される中で,必要に応じ財政面での対応を検討する必要がある.
 
【答申に対する対応】
ア. 15年度当初において,事務局組織の見直しを行う等引き続き事務・事業執行体制の効率化や経費の節減に努めること等により基金会計からの繰り入れは極力最小限に止める.
イ. 一方,日本獣医師会が全国各職域の獣医師により構成される公益法人の全国団体として答申の別記に示された事項を念頭に,今後ともその責務と社会貢献を果たしていくためには,基金会計に限度が来る前の段階において,会費値上げを行うことが必要となる.会費の値上げをどのような形で行うかについては,今後,前記1の(2)のウに示した組織の在り方及び前記2の(1)に示した会費算定の在り方を検討する中で併せて検討を進め,組織内合意を得る.