会議報告

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(別 紙)
 
組織財政委員会答申の対応について
 
1. 諮問事項第1:当面の課題及び中長期的展望に基づく具体的な施策について(獣医師の需給問題を含む.)

(1)事業運営の当面の課題等
【答申の要旨】
 動物医療については,国民生活における需要や期待の高まりを背景にその提供体制の一層の整備が求められている.日本獣医師会は,全国各地域・職域の獣医師を会員とする地方獣医師会により組織される公益法人として,その責務と社会貢献を果たしていくため,別記に示した「事業運営の当面の課題及び事業推進に当たり留意すべき事項」に配慮した事業展開を図ること.
 
【答申に対する対応】
 動物医療提供体制の整備,なかでも質の一層の向上が求められていること等の事情にある.今後,答申の別記に示された事項を踏まえ,15年度においては特に次の点に留意し,事務・事業を推進する.
 なお,産業動物,小動物,公衆衛生をはじめとする各分野別の制度問題をはじめとする対策については,基本的には専門委員会をはじめとする各種委員会において検討の上,対処することとなるが,15年度においては,各地方獣医師会における学校飼育動物に関する取り組みの実践を踏まえ新たに学校飼育動物について委員会を立ち上げる.
(1) 地区大会決議要望事項等を受けた関係省庁,その他関係機関に対する要請活動
(2) 構成獣医師対策として,獣医師倫理対策及び自己研鑽活動の支援対策としての生涯研修事業の整備・推進
(3) 組織強化対策として,地方獣医師会との連携の一層の推進(ブロック単位での事務局等との協議への参画等)
(4) 日本獣医師会広報活動の整備・推進
(5) 動物医療・動物愛護等関係団体との連携の推進

(2)その他日本獣医師会の組織及び事業運営に当たっての留意事項等
 
ア.日本獣医師会の役割等
【答申の要旨】
ア. 日本獣医師会の役割は,個々の獣医師では対応が困難な課題を組織の力で,しかも,全国レベルでの活動を展開する場を提供することにある.
イ. 日本獣医師会は,全国的視点に立ち広域的に推進すべき課題,制度的な整備を要する課題,指導的立場で取り組むべき課題.これらの課題に対処するのが日本獣医師会の役割である.他方,地方獣医師会は,個々の獣医師を直接会員とする組織であり,しかも,その活動には地域性を有することから地方の実情に応じた事業の推進を図る.これが地方獣医師会の立場である.
 
【答申に対する対応】
 答申において示された日本獣医師会の役割を念頭に,前記(1)に示した対応の方向に沿って引き続き事務・事業の推進に当たる.
 
イ.日本獣医師会と構成獣医師の関係
【答申の要旨】
 日本獣医師会は,会員である地方獣医師会を構成する獣医師を日本獣医師会の「構成獣医師」として位置づけているが,構成獣医師の位置づけを日本獣医師会の規程において明確化する必要がある.
 一方,地方獣医師会は会員獣医師と日本獣医師会との関係を明確化し,地方獣医師会を構成する獣医師のすべてが,地方獣医師会の会員であると同時に日本獣医師会の構成獣医師として日本獣医師会の事業活動に参画していることを理解させること.
 
【答申に対する対応】
 構成獣医師については,定款の役員選任等に係る規定の中で位置づけがなされているが,日本獣医師会と構成獣医師との関係をより明確化することとし,定款施行細則において構成獣医師に関する規定を整備する.
 
ウ.日本獣医師会の会員制度及び組織の在り方
【答申の要旨】
ア. 日本獣医師会は,団体会員制をとっている.これを日本医師会等のように個人会員制を基本とした地方団体及び中央団体の双方への二重加入制とした場合,かえって組織率が低下する等弱体化につながる.日本獣医師会の構成獣医師組織率91%は誇れるものである.また,日本獣医師会を含む全国56の社団法人組織は貴重な財産であり,これまで築き上げた組織の弱体化を来すような急激なシステムの変更は避けるべきである.
イ. 日本獣医師会の構成獣医師の職域は公務員,団体・民間会社,開業者と大きく3分割されているが,開業者である構成獣医師は,その多くが独立して獣医業を営むこと等から,全国横断的な獣医師活動の場を日本獣医師会に求めている事情にある.今後,開業者,中でも小動物診療に従事する構成獣医師が,[1]地方獣医師会の会員として,地域的な獣医師活動を行う一方,[2]日本獣医師会の行う全国的な獣医師活動への参加を含め,これら構成獣医師の意見が日本獣医師会の事業運営により反映し得るよう組織の在り方を検討すること.
 
【答申に対する対応】
ア. 社団法人を会員とする団体会員制の基本は引き続き維持する.
イ. 一方,構成獣医師のうち,開業者である構成獣医師の日本獣医師会における活動は,専門委員会等の委員会活動に直接参画する場合に限られるが,特に独立して獣医業を営む構成獣医師については,他の職域と異なり日本獣医師会としてこれら構成獣医師の職域問題により積極的に取り組む必要があること等の事情を踏まえ,今後,これらの者が,日本獣医師会の行う各種の獣医師活動の企画・検討や推進に構成獣医師の立場で広く参画し得るような仕組み.たとえば,現行の開業者が関係する委員会を発展的に解消し日本獣医師会に開業者である構成獣医師の職域に係る部会組織を設けることの是非を含め,組織の在り方を検討する.
 
エ.獣医師の需給問題等
【答申の要旨】
ア. 獣医師の需給については,短期的な過剰感や不足感があっても動物医療に対する需要が拡大基調にある中で必然的に就業分野の多角化が進んでいる.小動物診療分野については,地域によっては過密感が生じている状況があるが,獣医大学卒業者の小動物診療分野への就業状況をみると,横ばいないし低下の兆しがないわけではない.また,診療の勤務形態を見ても勤務獣医師の数が順次伸びている.
イ. 獣医師の需給については,今後ともその動向に注視する必要があるが,現時点では,需給バランスが大きく崩れている状況にはない.
ウ. なお,小動物診療については過当競争により獣医師倫理を逸脱する行為が行われることのないよう倫理面での対応が必要.今後,小動物医療の倫理規範として策定した「小動物医療の指針」の周知・徹底とともに,新たに「産業動物医療の指針」を検討する必要がある.
 
【答申に対する対応】
 獣医師の需給については,引き続き各職域の獣医師分布,新規卒業者の就業状況,開業者の勤務形態別就業状況等の動向を収集,分析するとともに,今後とも需給の推移を注視する.
 なお,獣医師倫理対応については,前記(1)の[2]に示したとおり,15年度事業計画の中で対応することとするが,「産業動物医療の指針」については,獣医師道委員会に作業委員会を置いて策定を進める.