| 1949年(昭和24年)に日本の教育が抜本的に学制改革された際に,それまで行われていた農学校獣医科,高等農林学校獣医科,検定獣医師制度,獣医手制度等が廃止となり,GHQの獣医学修業年限6年の勧告を受けたにもかかわらず,諸般の事情から4年制の新制大学獣医学科となった.この時,宇都宮高等農林学校の獣医学科と慶応獣医・畜産専門学校が廃校となった.したがって新制の4年制大学は,東京大学農学部獣医学科,北海道大学農学部獣医学科,帯広畜産大学獣医学科,岩手大学農学部獣医学科,東京農工大学農学部獣医学科,岐阜大学農学部獣医学科,山口大学農学部獣医学科,鳥取大学農学部獣医学科,宮崎大学農学部獣医学科,鹿児島大学農学部獣医学科の10校となった.また,公立大学として大阪府立大学農学部獣医学科1校,私立大学として日本大学農学部獣医学科,日本獣医畜産大学獣医畜産学部獣医学科,麻布獣医科大学獣医学部獣医学科の3校で計14校が4年制の修業年限で獣医学教育を行うこととなった.そして時期は異なるが国立大学2校,公立大学1校,私立大学3校には大学院修士課程と博士課程が設置されたが,他の国立大学8校には修士課程のみが設置された.その後,1964年に酪農学園大学酪農学部に,1966年に北里大学畜産学部に獣医学科が新設され,現在は国立10大学,公立1大学,私立5大学に獣医学科が設置されている.このうち獣医学部となっているのは北海道大学,酪農学園大学,麻布大学の3校のみである. 1973年獣医師法の一部改正,1984年に学校教育法が一部改正になって,獣医学修業年限が6年一貫教育となり,大学院は修士課程を廃止して博士課程の標準修業年限が4年制となった.ただし,大学院博士課程を設置しなかった国立大学8校では,岐阜大学と山口大学の2校を拠点校として東・西の連合大学院博士課程が漸定的に設置された. 2)獣医学教育内容の変還 明治維新によって西洋文化の導入とともに乳肉用家畜ならびに役用家畜が導入され,農業生産の発展に伴って畜産業も発達すると同時に,これらの動物の診療あるいは乳肉食品の衛生管理に西洋獣医学の必要性が認識され,太政官布告として獣医免許規則が公布された(1885年).一方,軍当局においては,兵器としての軍馬の診療に,あるいは食品衛生管理に獣医師の養成が必要であったことから,職業軍人としての獣医師が養成された. このような時代背景から当時におけるわが国の獣医学の教育内容は,家畜伝染病に関する診療あるいは予防に関する基礎的な研究が主体であり,臨床は軍馬を主体とした教育内容であった. |