In situ hybridizationによるPCV核酸の検出PCV核酸はPCVのDNA, RNAあるいは全ゲノム・プローブをホルマリン固定・パラフィン包埋組織の切片に適用して検出されている.PCV核酸は免疫組織染色によって証明される抗原と同様に,PMWSの病変に関連して各種の器官・組織・細胞に広く分布する.この場合にも,細胞質が核よりも強く標識される.核酸はリンパ器官,肺および肝臓には検索したほぼ全例に強く,腎臓,膵臓,心臓,腸管,鼻甲介,唾液腺などにはそれより低頻度に弱く検出される.スペインにおけるPMWS罹患豚50例の検索では扁桃82.5%,パイエル板79.5%,リンパ節77%,肺73.3%,脾臓69.8%,腸粘膜64.1%,肝臓55.5%および腎臓54.8%に,組織病変と密接な関係において核酸が標識された[27].細胞別では単核性食細胞系細胞,多核巨細胞,抗原提示細胞およびリンパ球に,上皮系細胞では肝細胞,肺胞・気管支上皮,扁桃上皮,腸管粘膜上皮,膵臓の腺房・導管上皮が標識される.さらに各器官間質の線維芽細胞,平滑筋細胞および毛細血管内皮細胞にも散在性に検出される[7, 8, 25, 28, 29]. PCRによってもPCV-2特異的あるいは群特異的プライマーを用いてPMWS罹患豚の組織,鼻腔ぬぐい液あるいは糞便からDNAを増幅検出して,PCV-2の感染が確認されている[13, 20, 21, 24, 25]. PMWSの病理発生PCV-2の実験感染に関するデータは乏しく,PMWSの病理発生はほとんど解明されていない.豚におけるPMWSの再現実験は3グループによって行われている[1, 7, 13].これらの実験ではウイルス接種2〜5週後に豚を殺して,PCV-2の回収,PCV-2に対する抗体産生あるい核酸の検出によって感染を確認し,PMWSの定型的病変の再現に成功している.しかしながら,臨床的疾患の再現はPCV-2と豚パルボウイルスの混合を接種した実験[1]を除いては不成功に終わっている.また3実験とも経時的観察を行っていないので,感染がウイルス接種後何日で成立し,各器官における病変が何日後に出現し始め,いかにして全身に伝播したかは明らかにされていない. |
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