アクティブな学会活動

 本学会は,カナダ,ケベック州,McGill大学のP. K. Pri-chard博士を学会会長に,副会長2人,会計幹事1人,幹事6人,それに学会機関紙Veterinary Parasitologyの編集主幹1人からなる.編集主幹を除いて,会長以下10人の役員は表2に示したところの,活動課題のいずれかを担当していて,それは単に学術的意義にとどまらないで,獣医寄生虫病の蔓延防止および撲滅を目的として各国政府に向けてガイドラインを発信したり,駆虫薬の効率的普及を目的として駆虫薬開発許可検定試験基準の国際統一化に働きかけたり,寄生虫検査の判定基準の混乱是正を目的に寄生虫診断法の標準化を推進し,さらには世界的学術機関および行政機関と学術的に協力して家畜衛生および公衆衛生の向上に資する,など多彩で実利的な内容をカバーしている.

表2 役員会の活動内容


  1.抗蠕虫薬ガイドライン作成
  2.抗外部寄生虫薬ガイドライン作成
  3.駆虫剤検定法の国際統一基準制定
  4.WAAVP学会賞選定
  5.寄生虫学用語標準化
  6.免疫診断技法標準化
  7.名誉会員推薦
  8.世界獣医学会との連携・協調
  9.WHO,FAOおよびOIEとの連携・協調
  10.書記・公文書保管

 国際学会開催の難しさ

 表1に示したように,1991年は開催されていない.実はこの年にはモロッコの首都ラバトが開催地にすでに決定していて,開催準備も進んでいたが,例の湾岸戦争(1991)が勃発して急遽中止に追い込まれたものであった.WAAVP学会は苦労の末にこの王国での開催許可を取り付けて,アラブ世界で初めての大会準備を進めて来たが,湾岸戦争のあおりで参加者の入国後の安全性が保証できないことを考慮して,涙を呑んで中止を決定したのだった.