別記3.
11日獣発第181号
平成11年10月6日
地方獣医師会会長 各位
社団法人 日本獣医師会
会 長 五十嵐幸男
(公印及び契印は印刷に代替)

小動物診療料金に関するマスコミ報道の件

 本会事業につきましては,平素からご理解,ご協力を賜っておりますことを心から感謝申し上げます.
  本会では,小動物医療に対する社会の信頼を回復するため,去る9月14日に「インフォームド・コンセント徹底宣言に関する記者発表会」を開催したところですが,本件につきましては,平成11年8月27日付け11日獣発第144号により関係資料を添付して各地方獣医師会長に事前にご連絡申し上げ,ご理解,ご協力をお願い申し上げたところです.
  一方,このたびの記者発表に関する新聞報道に関し,不妊手術の診療料金について記事が説明不足のため,一部の獣医師会で獣医師会会員や飼い主に対して誤解や不信を与えるような事態が生じております.
  私どもは,記者発表会で配布した資料及び小動物診療料金の実態調査結果の中で,不妊手術料金については「難易度により異なるが,1回の手術に対する平均額とし,薬剤料,麻酔料,入院料等は除く」ということを明記いたしております.
  それにもかかわらず,マスコミは,紙面の都合ということで,言わば,そのただし書きを明記せずに,単に「不妊手術料」として手術料金のみを報道したために,医療現場に混乱をもたらす結果となりましたことにつきましては,誠に残念であり,獣医師会会員各位にご迷惑をおかけしたことを遺憾に思います.
  しかしながら,このことを翻って考えてみますと,例えば不妊手術料について見た場合,これまでは,技術料,麻酔料,薬剤料,入院料等それぞれの明細を明らかにすることなく一括した料金を請求してきた実態がありますが,別添1(略)の読売新聞記事(一飼い主の投稿記事)にあるように,現在は,診療料金の明細を明らかにしなければならない時代であることは明らかであります.また,それ故にインフォームド・コンセントの必要性,重要性が指摘されるところであり,飼い主等から診療料金等について疑義が出された場合には,懇切に説明をして飼い主の理解を得るよう努力することが肝要であります.
  要は,「動物医療の基本姿勢」の「3.診療報酬について」の中で述べているように,「犬猫等の小動物診療は,いわゆる自由診療制とされていることから,獣医師はこの点をよく心して,飼い主が十分に納得できるよう対応するとともに,診療費の明細を明らかにする等,その透明性や客観性を確保しなければならない」ということであり,そのために病状,治療方針,予後に関することだけでなく,診療料金も含めてインフォームド・コンセントを励行するよう貴会会員を再度ご指導いただきたく何卒よろしくお願い申し上げる次第です.
  なお,関係報道機関に対しましては,別紙写しのとおり申し入れをいたしましたので,ご了知いただきたくお知らせするとともに,別添2(略)の週刊読売(10月10日号)には,適切な記事が掲載されておりますことを念の為申し添えます.
  以上,どうか日本獣医師会の真意をご理解賜りたく重ねてお願い申し上げます.