![]() 分娩後の牛の繁殖問題卵巣機能異常の発生頻度について,二つの乳量レベルの牛群を12年間の間隔をおいて,毎週2回の乳汁中プロジェステロン濃度や直腸検査により比較調査した(表2).20年前の主要な品種であるフリージアン種に比べ,近年の高泌乳牛のホルスタイン種は繁殖効率が低くなる傾向にあった[7].EBの低下は,分娩後におけるLHパルスを抑制する主要な要因で[3, 8],分娩後初回排卵までの期間を決めるのに重要である.また,乾乳期には過剰給与せず,分娩時に良好なBCSに持っていくことは重要で,過剰給与は分娩後の食欲減退となり,その結果,EBの重度の低下が長期間にわたる[18].卵胞嚢腫の発生分娩後の卵胞嚢腫は,優性卵胞が排卵や閉鎖しなかった場合に発生する[39].卵胞嚢腫発生の内分泌的な原因は,LHパルス頻度の増加であり,これは排卵を起こすには不十分であるが,優性卵胞が持続的に発育し,高いエストロジェン産生をもたらすには十分な量である.プロジェステロン濃度は低く(<0.5ng/ml),逆にエストロジェン濃度は高く,発情前期の2〜10倍である(15〜100pg/ml)[10].卵胞嚢腫では,分娩後初回排卵までの期間が延長することにより,繁殖効率が低下する[28].卵胞嚢腫の治療法には二つの方法がある. 1)LH,hCGあるいはGnRHアナログにより誘起されたLH分泌によりエストラジオール産生を抑制し,嚢腫卵胞壁の黄体化を図る. 2)ステロイドのネガティブフィードバックによりLHやFSHの供給を抑制し,嚢腫卵胞を閉鎖退縮させる.たとえば,プロジェステロン腟内挿入剤を9〜10日間挿入し,エストラジオールをプロジェステロン製剤の挿入時に注射する. |
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