また,専門医の認定は専門分野別と回答した者が43%,一般診療医(小動物臨床認定医)と回答した者が32%,どちらとも言えないと回答した者が18%であった.一般臨床獣医師を専門医として認定する方式については賛成と回答した者が42%,不賛成23%,どちらとも言えない31%であった. したがって,小動物臨床に従事する獣医師は専門学問分野別あるいは一般臨床医(小動物臨床認定獣医師)のいずれを認定するかは別として,卒後臨床研修で与える給与よりは高額を支給(受け入れ機関が負担)する専門医養成教育は必要で,またおおむね日本獣医師会が専門学会や大学と協力した公正な試験による認定が必要であると考えているものと推測される.さらに,一般臨床獣医師を専門医として認定する方式も必要であると考えてはいるものの,専門医が一般診療を行うことを可と考えていることからも,ここでイメージしている専門医は一般臨床医としての資格に加えて,一部専門分野を有する獣医師として位置付けられているものと推測される.また,実際に専門医養成教育を実施することがわが国で可能か,実施機関が存在するのか,一般診療を行わないとすると専門医が経済的に成り立つのか,獣医師の過剰などさまざまな問題から,専門医養成教育は将来的には必要であるが,現時点では早急に着手することは難しいとする意見もある. このような点から考えると,専門医養成教育については,まずわが国で求められる専門医とはどのような資格あるいは資質を有する獣医師で,どのようなカリキュラムで養成されるかなどといった専門医そのものに対する検討,あるいはそのあり方等について検討する必要があるものと考えられる. 2.委員会からの提言 今回の調査結果には年齢30〜50歳齢,男性で4年制教育を修了し,勤務医を2年以上経験し,海外での研修の経験がなく,雇用している獣医師が1〜2名,従業員は1〜3名,1日の平均来院件数が10〜15件前後,夜間・休日・救急診療を行っていて,診療年数が10〜30年の院長の意見が比較的強く反映されているものと考えられるが,多くの回答者が卒後研修(生涯教育)に強い関心を持っており,これらの問題に対して日本獣医師会は早急に対応すべきであると考える. (1)卒後臨床研修 診療に従事するほとんどの獣医師は,ローティション方式に加えて特定分野あるいは全体的な臨床研修を実施する卒後臨床研修(1〜2年間)の実施を希望しており,このことについて早急に対応する必要がある.また,実施機関ならびに具体的なカリキュラムの作成等その実施方法についても,検討を急ぐべきであろう. |