(2)継続教育
  診療に従事する獣医師はそのほとんどが継続教育の実施を望んでおり,また,雇用する勤務獣医師をこのシステムに参加させたいと考えている.すなわち,国内外を問わず,土・日・祝祭日に開催される学会・研修会・セミナー等に年間約10日間の参加必要日数が求められる継続教育を早急に確立させることが必要であろう.また,参加実績に基づく参加証(認定証)を診療施設内に掲示することが望まれるが,この点についてはさらに検討する必要があろう.さらに,継続教育への参加を促進する方策として在宅研修を可能にする研修方法については,今後,積極的に取り組むべきであろう.
  (3)専門医養成教育
  診療に従事する獣医師は,特定診療科目別あるいは診療対象動物別のいずれかは別として,専門医養成教育は必要で,日本獣医師会としては専門学会や大学と協力した公正な試験による認定のあり方を検討することが望ましいものと考えられている.この他,純粋の意味での専門医とは少々異なるが,継続教育への参加実績とある程度の臨床経験とに基づいて,診療対象動物別に高水準の一般臨床獣医師を認定医などの名のもとに位置付ける方法も,支持が多いだけに積極的検討に値しよう.この方式では,いわばsとdを組み合わせた感もあるがsの継続教育に付加価値を与えるという点での効果も大きいものと考えられる.
  また,実際に専門医養成教育を実施することがわが国で可能か,実施機関が存在するのか,専門医が一般診療を行わないとすると経済的に成り立つのかなど,さまざまな問題から,専門医養成教育は将来的には必要であるが,現時点では早急に着手することは難しいとする意見もみられた.
  このような点から考えると,専門医養成教育については,現段階ではわが国で求められる専門医とはどのような資格あるいは資質を有する獣医師で,どのようなカリキュラムで養成されるのかなど,専門医像そのもの,あるいは体制等をまず検討する必要があるものと考えられる.
以上