本調査結果からは,診療に従事する獣医師はそのほとんどが継続教育の実施を望んでおり,また,雇用する勤務獣医師をこのプログラムに参加させたいと考えていることが明らかとなった.継続教育として日本獣医師会等の開催する学会・研修会・セミナー等への年間参加必要日数は,これまでの参加日数の実績から推測すると年間約10日程度と推測される.また,対象とされる学会・研修会・セミナー等は国内・外を問わず,また日本獣医師会ならびに他の学術団体が開催する学会・研修会・セミナー等をも含むべきとする意見が多い.さらに,それら学会・研修会・セミナー等の開催日は土・日・祝祭日に開催されると参加者が増えると考えられる.しかしながら,時間的,経済的,あるいは人的制約(獣医師がいなくて病院をあけられないなど)等により,本プログラムに参加できないとする意見もあり,インターネット・衛星放送・CD-ROM等を利用した在宅研修を取り入れた場合,小動物臨床に従事するほとんどの獣医師が参加することが明らかとなったことから,在宅研修のあり方も考慮して実施する必要があろう.
  継続教育への参加実績を評価して発行される参加証(認定証)については,臨床に従事する多くの獣医師は診療施設内への掲示を可としていた.
  以上をまとめると,小動物臨床に従事する獣医師は国内・外を問わず,土・日・祝祭日に開催される学会・研修会・セミナー等に年間約10日間の参加必要日数が求められる継続教育の実施を望んでおり,在宅研修も含めておおむね参加実績に基づく参加証(認定証)の発行と診療施設内への掲示を可としており,今後も導入にむけて,積極的に検討する必要がある.
  (4)専門医養成教育について
  専門医養成教育が必要であると回答した者が71%,このシステムが導入された場合は参加すると回答した者が45%(参加しない22%,どちらとも言えない31%),給与の額は15〜20万円(15万円29%,20万円30%)と回答した者が59%,その財源は受け入れ機関とすると回答した者が63%であった.
  また,専門医の認定は必要と回答した者が62%(不必要8%,どちらとも言えない28%)で,試験等で公正に行うべきであると回答した者が69%(行うべきでない7%,どちらとも言えない20%)であった.さらに,この試験を日本獣医師会が他の専門学会や大学等と協力して行うべきと回答した者が61%(行うべきでない10%,どちらとも言えない24%)であった.