この問題については,食品の輸出入における検査・証明システムに係るCodex委員会(CCFICS)でも検討課題となり,以下のように審議に付されている:「食品業界が品質保証システムを自主的に活用することを奨励すべきであるが,公的検査・証明機関は安全性や品質の保証システムに採用されている管理方法を考慮すべきである…….Codexは食品の安全性を最も確実に保証するためにHACCPの原則を体系化し,個々の食品製造工程でこれを採用することを奨励してきた.品質管理システムにHACCP計画を統合するのは,HACCP計画に基づく個々の生産工程の基礎であり,品質管理システムもまた個々の工程や設備を取り上げることになる…….ISO
9000シリーズは,その証明文書で,食品の安全性に関わるものを欠如するか,または,食品の安全性に関連した問題を適切に取り上げていないけれども,第三者の認証/登録機関によって食品会社が認証/登録されてきたことにおいて,これまで批評の対象となってきた……」[4]. ここでは,品質はより包括的概念であり,安全性は品質に含まれるが食品衛生によって専門的に取り扱われる部分であるとの認識に立って,国際流通における品質と安全性に関する保証システムの整合性を調整し,「食品の輸出入検査・証明システムにおける品質保証システムの活用と促進に関する指針」が提起されている. 品質・安全性保証システム:ISOは,国際電気標準会議が扱わない産業分野における国際規格の制定とその利用促進を目的に1947年に設立され,日本も加盟して国内的運用のため日本工業規格や日本農林規格が設けられている.ISOの技術管理評議会の下に218の専門委員会(TC)が置かれており,農産食品はTC34で扱われ,畜産物を含めた成分規格等がこれまで制定されてきた.ISO 9000はTC176が策定したもので,品質に関する購入者の要求を満たすために,供給者が適切な生産工程管理を行っていることを第三者の認証/登録機関が認証/登録するシステムである(図2).これによって売買関係における信頼性を確保し流通の円滑化を図るものであるが,認証/登録が恣意的であると混乱することから,それらの機関が適正であるか否かを監査するための認定機関をISOの適合性評価委員会の下に設けることとなっており,日本適合性認定協会がそれに該当している.審査登録機関は,業種ごとの認定範囲に適合していることを「工場」ごとに審査し,品質システム要求事項(ISO 9000〜3)を満たしていれば登録される.食品関係の登録適合者は現在20工場あり,「登録番号,〇〇食品(株)××工場,認定範囲:03食品・飲料・タバコ,規格:ISO 9002,△△県」のように公開されている.認証機関は,サンプリング試験や品質システムにより供給者の「製品」が規格を満たしていることを認証し,適合性マークの使用を承認する. |
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