雛:SE Clean鶏群から導入し,7日齢以内の死亡例は認定検査機関で検査する. 餌:動物性蛋白原料は,14.5%以上の水分含量で87.8℃まで加熱するか,73.9℃で20分間保持する. 環境:4カ月齢以降は,30日ごとに所定の検体を認定検査機関で検査する. 種鶏:4カ月齢まで1群300羽をワクチン接種せずにおき,採血して抗体検査が陽性または疑似の場合は認定検査機関で検査する. すなわち,QAPはISO 9000システムと同様であることがわかる. 殻付卵の処理および流通部分の危険性査定では,GPセンターでの処理用件とともに,輸送が大きく取り上げられている.米国では「卵および卵製品の検査法」[2]が約30年前に制定されているが,激増する食中毒事故に対処するため1990年には「食品輸送衛生法」が制定された.法の目的にあたる事実認定(Findings)には次の3項目があげられている:「1.米国民は,ある種の輸送の結果として安全でなくなることのない食品およびその他の消費物資を得る権利を有する.2.米国民は,食品およびその他の消費物資の輸送に使われる車と貨車に関し,消費者に有害となる可能性のある製品の輸送によって脅威にさらされている.3.そのような輸送行為によって消費者に与えられる危険性は不必要なことであり,そのような行為は終わらせねばならない.」 同一ロットの食材を原因と推定した食中毒事故で,ロットのごく一部でのみ発症があったり,発症率に大きな偏りがある事実について,日本ではほとんど無視されているが,米国では流通過程における細菌の増殖に基づくと判断している.細菌の増殖に好適な水分活性,pH,蛋白質を備えている食肉,卵,乳製品,海産物などを潜在的危害性食品(Potentially Hazardous Food)と規定し,それらの輸送・保管中の所定管理項目についての記録を2年間保存することを義務付けている.たとえば,最も重要な輸送・保管中の温度については,殻付卵で7.2℃以下とすることが昨年定められた[10]. このような経済活動に重要な影響をもたらす危険性管理の要件が社会に受け入れられるには,その基礎となる細菌による危害の特定と特性の解明に始まり,管理項目の設定にいたるまでの危険性査定における科学的公正がいかに重要であるかがわかる. |
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