農場から食卓までの卵の安全性確保政策:農務省の食品安全・検査局(FSIS),動物・植物衛生検査局(APHIS),North Carolaina州立大学等が中心メンバーの報告書「殻付卵と卵製品におけるSalmonella Enteritidis(SE)の危険性査定のための特性値」[22]を例に,危険性査定の方法を紹介する(図5)[20].農場から食卓までの卵の動きを5つの部分に分け,生産部分ではSEによる内部汚染卵の発生率と要因を推定した.殻付卵,液卵,および消費の部分では,貯蔵,輸送,処理加工ならびに調理におけるSE数の増減を推定した.公衆衛生の部分では,陽性卵の喫食と関係した罹患率,病型(無処置での回復,通院治療による回復,入院,死亡)ならびに後遺症の頻度などを推定した.いずれも全国調査資料の分析に基づいたもので,各部分の総括として危険性緩和策(Risk mitigation strategies)が提示されている.生産部分の危険性緩和策としては,品質保証計画(QAP)があげられている.

図5 殻付卵と液卵の農場から食卓までの危険性査定モデル(上段)と生産段階における危険性査定(下段)