「獣医師生涯教育の基本構想(3本柱)」

第1:卒後臨床研修

  1)卒後臨床研修(インターン制)とは,一般に獣医師免許取得直後の獣医師に対する臨床研修(訓練)をいう.
  2)獣医師法において,診療に従事する獣医師は大学卒業後も教育機関等において一定期間の臨床研修を積むよう努めることになっている.
  3)米国と欧州の獣医界,日本の医師・歯科医師界では,既に免許取得者の待遇として有給による臨床研修制度が導入されている.
  4)今後,臨床教育の活性化を目指して,わが獣医界にインターン制を導入するにあたっての検討課題は,1)全国規模の有給インターン制の導入,2)有給の財源確保,3)研修機関として大学附属家畜病院の充実の可能性と資格条件等である.
第2:継続教育

  1)継続教育(ポイント制)とは,現職にある獣医師が生涯にわたって自ら研鑽し,専門知識・技術を常に高水準に保つための評価教育をいう.
  2)学会・研修会・講習会の参加や論文発表等の学術活動に対して毎年ポイント評価して認定証を発行し,これを院内に掲示する.
  3)米国の獣医界,日本の医師・歯科医師界では,既に毎年ポイント評価が導入されている.
  4)今後,臨床技術の向上を目指して,わが獣医界にポイント制を導入するにあたっての検討課題は,1)ポイント評価システム,2)参加証の院内掲示と社会に対するアピール,3)ポイント評価研修プログラムの企画,4)衛星放送,CD-ROM利用の在宅研修システム導入等である.
第3:専門医養成教育

  1)専門医養成教育(レジデント制)とは,獣医診療の高度化に不可欠な専門医(スペシャリスト)の養成をいう.
  2)大学卒業後も教育機関等において専門医資格取得までの間研修を積む.
  3)米国および欧州の獣医界,日本の医師・歯科医師界では,既に免許取得者の待遇として有給による制度が導入されている.
  4)今後,専門医養成の教育の充実を目指して,わが獣医界に導入するにあたっての検討課題は,1)各学術・研究団体との連携,2)認定資格内容,3)認定試験制度の要件,4)実施機関としての獣医系大学の整備・充実の可能性等である.