獣医師研修指針策定検討会の中間報告日本獣医師会 新疾病等防疫体制強化事業 獣医師研修指針策定検討会1.はじめにますます進歩する獣医学,獣医療に対する社会の期待と信頼に応え,最新の獣医療技術を提供していくためには,獣医師は,生涯にわたって自らの知識,技術を磨き,常に研鑽に努め,高度の技術水準を維持するよう努力を払わなければなりません.また,平成4年5月に一部が改正された獣医師法の第16条の2においては,「診療を業務とする獣医師は免許を受けた後も,(中略)臨床研修を行うよう努めるものとする.」ことが明定されております. 一方,畜産経営の大型化により家畜の伝染病発生時の被害は甚大となり,また国際化の進展によって海外からの伝染病侵入の機会も著しく増大し,国内における伝染病の発生状況も大きく変化してきており,こうした状況に対応するため,平成9年4月に家畜伝染病予防法の一部が改正されました.新防疫体制の下では,確実かつ効率的に家畜防疫を行うため,獣医師には新たな伝染病や未知の疾病に遭遇したときの届出が義務付けられ,より高度で的確な診断技術をもって対応することが求められるようになりました. こうしたことから,日本獣医師会では日本中央競馬会の資金を財源とする(財)全国競馬・畜産振興会の助成を受けて,獣医師が適切な獣医療の提供を続けていくために,大学卒業後も修得する必要のある課題,内容並びに方法等について,先に実施した6年制獣医師に関する調査結果を参考にするとともに,欧米等諸外国における獣医師生涯教育体制の実態調査及び国内獣医師に対する獣医師生涯教育に関する意向調査を基に研究・検討し,生涯教育(卒後研修)のあり方等に関する「獣医師研修指針」をとりまとめることとなり,平成9年度より作業を継続しております. 本中間報告は,平成10年度末までに実施された委員会における討議結果,アンケート調査結果,米国における調査結果,ヨーロッパにおける調査結果等をもとに,本事業の最終年度を前にして現在進んでいる検討作業の方向と今後予定されている主な検討事項等の概要を取りまとめたものであります. 2.獣医師生涯教育プログラムの考え方(基本構想) |