(1) 「獣医師」の一般的な解釈は,次のとおりとされている. ア.家畜の疾病の診察・治療に当る医師.その開業は農林水産大臣の免許を受けた者に限る.【岩波書店「広辞苑─第3版」.注:見出しは「獣医」となっている.】 イ.正しくは「獣医師」.家畜の病気の予防・診断・治療をする医者.獣医師国家試験に合格し,農林水産大臣の免許を受ける必要がある.【講談社「日本語大辞典」.注:見出しは「獣医」となっている.】 (2) ここで「家畜」の解釈についてみてみると,次のとおりとされている. ア.人間に飼養される鳥獣.牛・馬・豚・鶏・犬の類.【岩波書店「広辞苑─第3版」】 イ.人間の生活に役立つように,品種改良され,飼養・繁殖管理される動物.狭義には哺乳類をさす.畜産物生産・畜力利用・愛玩・実験等に利用される.→《対義》野獣.《参照》家禽.【講談社「日本語大辞典」】 (3) また,「獣」の解釈については,次のとおりである. ア.「毛物」の意.哺乳類の動物.けだもの.【岩波書店「広辞苑─第3版」】 イ.けだもの.獣類.【講談社「日本語大辞典」】 (4) ちなみに「動物」の解釈については,一般的な解釈のみならず,生物学上の定義を見ると,次のとおりとされている. ア.植物とともに生物を構成する二大区分の一.有機物を主要な栄養源とし,葉緑素を有せず,やや高等なものは消化器・運動器・排泄器・感覚器・循環器を持ち,細胞には細胞壁がない.通例,原生・海綿・腔腸・扁形・紐形・袋形・触手・環形・軟体・節足・毛顎・棘皮・原索・脊椎等の諸動物門に分けるが,原生動物には植物としても分類されるものがある.俗には運動と知覚の機能が動物の概念とされていることが多い.人類以外の動物,特に哺乳類あるいは獣類の称.【岩波書店「広辞苑─第3版」】 イ.生物の一界.現在100万〜120万種が知られ,その約80%は昆虫が占める.原生動物から脊椎 動物まで23の門に分類される.細胞壁・葉緑素を持たず,運動性があり,身体の各部が消化・呼吸等の器官に分化する等の点で植物界と対比される.人間以外の動物の総称.特に獣類.【講談社「日本語大辞典」】 ウ.生物を動物と植物に二大別するのは伝統的観念であったが,現在では生物界の区分に関して種々の新しい意見が提出されている.このような分類の場合でも,単細胞のものを原生生物として区別するというような点を除けば,動物に関する古くからの観念に余り変化は及ばない.しかし,生物界全体の進化の過程が明らかにされないかぎり,生物界における動物の位置を確保すること,したがって動物の定義を確実にすることは不可能である.〜(中略)〜C. von Linneの分類では哺乳類・鳥類・爬虫類(両生類を含む)・魚類・昆虫類・蠕虫類の6綱がたてられた.この分類はJ.B. Lamarck, G.L. Cuvierらによって改革され,K.G.P. Leuckartの時代に至って現代的分類体系の基礎が作られた.現世の全動物種数は100万以上と言われる.【岩波書店「生物学辞典」】