参考:米国における1997年の狂犬病調査

 スカンク―スカンク(主としてM. mephitis)の狂犬病は2,040例報告されている.これは1996年の報告数を23.2%上回る数字であり,1997年に報告された全狂犬病感染動物数の24%を占めている.スカンクの狂犬病の症例が100例よりも多く報告された州は6州(カリフォルニア州で167例; コネチカット州で139例; マサチューセッツ州で133例; ニューヨーク州で236例; テネシー州で135例; ヴァージニア州で142例)であり,これら6州の合計でスカンクの全報告数の46.7%(952例/2,040例)を占める.1996年に比べ,報告数が100%よりも多く増加した州は,9つある(アーカンソー州で106.7%[15例から31例へ]; イリノイ州で300%[1例から4例へ]; インディアナ州で300%[1例から4例へ]; カンザス州で183.3%[24例から68例へ]; マサチューセッツ州で343.3%[30例から133例へ]; ミネソタ州で145.0%[20例から49例へ]; オクラホマ州で260.9%[23例から83例へ]; ロードアイランド州で107.7%[13例から27例へ]; サウスカロライナ州で133.3%[6例から14例へ]).一方,報告数が50%よりも多く減少した州は,4つある(デラウェア州で60.0%[10例から4例へ]; フロリダ州で66.7%[3例から1例へ]; ルイジアナ州で81.8%[11例から2例へ]; ウィスコンシン州で75.0%[8例から2例へ]).1996年には報告があったものの1997年には報告がみられなかった州は,2つある(ミシガン州とニューメキシコ州).また,アライグマの狂犬病が流行している州では,スカンクの狂犬病の半数以上(53.7%)が報告されている.この地域のスカンクに見られる狂犬病の大半は,アライグマから感染したものと思われる.
 コウモリ―コウモリの狂犬病は,1997年に報告された全狂犬病感染動物数の11.3%を占め,1989年に15%を示して以来,最高のパーセンテージを記録した.その958例という報告数は,1996年を29.3%上回り,1984年に1,038例を記録して以来最多といえる.コウモリの狂犬病は,依然として米国各地に広く分布しており,本土48州のうち46の州で確認されている.1997年に最も報告数が多かったのはカリフォルニア州(147例)で,2番目に多かったのがテキサス州(121例)である.また,6つの州(コロラド州,アイダホ州,ミシシッピ州,ネヴァダ州,ユタ州,ワシントン州)とニューヨーク市では,コウモリの狂犬病は報告されているものの,陸生哺乳類の狂犬病については報告がない(ただし,ワシントン州では人間の症例が1例報告されている).アラスカ州,ハワイ州,ノースダコタ州,ヴァーモント州,およびプエルトリコでは,コウモリの狂犬病は報告されていない.
 狂犬病ウイルスの検査で陽性と認められた958例のうち,70.5%(675/958)に相当する症例のコウモリは目(もく)のレベルまでしか確認されていないが,残る283例については,それ以上のレベルまで確認されている(10例は属まで,273例は種まで).後者のうち56.5%(160/283)はオオクビワコウモリ(Eptesicus fuscus)で,17.7%(50/283)はブラジル(メキシコ)オヒキコウモリ(Tadarida brasiliensis),4.6%(13/283)はシモフリアカコウモリ(Lasiurus cinereus),4.2%(12/283)はシルバーコウモリ(Lasionycteris noctivagans)であった.残りは,ホオヒゲコウモリ属(Myotis)で種が不明のコウモリ(3.5%[10/283])とその他11種である(合計で<14%[38/283]を占めるが,個々の種については2.1%より多くを占めるものはない).

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