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総 説

表1 獣医療訴訟一覧(民事事件)〜判例集より

No. 判決日裁判所 判決(請求) 対象動物 原告 被告 事 件 概 要 出典
1-2
診療
19.12.25
東京高裁
計316万余円
(計1,177万余円)
上告(後却下確定)
  飼主
5人
動物
病院
控訴は棄却され,地裁判決が支持された.
H20.3.7確定.
H19.12.26
テレビ朝日
1-1 19.3.22
東京地裁
[1]2730円
(142万余円)
[2]64万余円
(283万余円)
[3]131万余円
(205万余円)
[4]59万余円
(350万余円)
[5]60万余円
(195万余円)
控訴 [1]犬(M. ダックスフント)1歳・雌
[2]チンチラ10歳・雄
[3]フェレット5歳・雌
[4]犬(スコッチテリア)15歳・雌
[5]猫 11歳・雄
    [1]ペットホテルに預けた間に駆虫したとして請求.実際は検便せず,投薬も不明.
[2]入院,異物摘出のため開腹手術,数日後死亡.手術の詳細不明.
[3]開腹手術,腸閉塞と説明.転院,再開腹.腸異常なし,肝変色,腎不全.
[4]肝不全,腎不全,入院.改善の連絡を受け,迎えに行ったら既に死亡していた.
[5]骨折のため入院,手術.転院,骨折手術の痕なし,死亡.解剖:肥満細胞腫.
詐欺,動物傷害行為は計画的,常習的で悪質と判示.
裁判所HP
毎日・産経
H19.3.23

2-2
手術
19.9.27
東京高裁
140万余円
(639万余円)
確定 犬(柴犬)
15歳・雌
飼主母子3人 動物
病院
口腔腫瘍.子宮蓄膿症の疑い.下顎骨切除手術,卵巣子宮全摘出術,乳腺腫瘍摘出術を施行(H12.12.15). 判時1990-21
読売H19.9.27
2-1 19.2.1
宇都宮地裁
足利支部
80万余円 控訴       退院後,食欲不振,死亡(H13.1.10).
カルテ,X線画像等は保管されておらず.手術不適切,説明義務違反あり.手術と死亡との因果関係あり.
 

3
治療
19.9.26
東京地裁
21万余円
(492万余円)
  猫(ペルシャ猫)
7カ月・雄
飼主
3人
動物
病院
猫伝染症腹膜炎と診断(H18.8月).胸水抜去などの処置直後に死亡(H18.9.4).治療ミス.獣医師の過失がなくても病気のため数日か数カ月後に死んだ可能性が高い. WestlawJapan
日スポ・共同
H19.9.26

4-2
手術
19.9.26
東京高裁
132万余円
(424万余円)
確定 犬(ラブラドール・レトリーバー)
6歳・雄
64歳
飼主男
動物
病院
停留精巣.精巣摘出手術(H12.1).大学にて左右のセルトリ細胞腫を摘出したが死亡(H15.4月).精巣を少なくとも3つ有していた犬で,精巣摘出手術は行われたが,精巣の相当部分を取り残したと認定. 共同
H.19.9.26
4-1 18.9.8
東京地裁
132万余円
(557万余円)
控訴       大学での手術による摘出物は,左右のセルトリ細胞腫であったと鑑定.精巣摘出手術は行われたが,精巣の一部を取り残したと認定. 判例マスター
読売
H18.9.9

5-3
手術
19.9.20
最高裁
2,051万余円 確定 馬(ばん馬)
4歳・雄
馬主 軽種馬
農協
現役ばん馬の喘鳴症.喉頭形成術で体内に縫合針と縫合糸を残置し,排膿,瘻管形成.術部結合織肥厚により呼吸困難のため,安楽死(H13.10). 最高裁判所
5-2 19.3.9
札幌高裁
2,051万余円
(2,247万余円)
上告       レースの出走可能な期間をさらに1年間延長(8歳まで)し,獲得賞金予想額を増額. 判タ1250-284
5-1 18.4.17
釧路地裁
北見支部
1,164万余円
(3,518万余円)
控訴       通常要する限度を超えた長さの縫合糸の体内残置は過失.引退時期は7歳と認定. 判タ1250-293
朝日H18.4.18

6
治療
18.10.19
東京地裁
無責
(500万円)
  犬(シーズー)
17歳・雄
飼主
動物
病院
大学病院にて膀胱炎,僧帽弁閉鎖不全症,慢性腎不全,痴呆症,変形性脊椎症,椎間板疾患,前立腺癌等を治療中.咳で近医を受診,入院.同日,退院の連絡あり,来院時には死亡(H13.12.26) 新日本法規

7
治療
18.6.15
横浜地裁
42万余円
(431万余円)
控訴 犬(M.ダックスフント)
12歳・雌
43歳
飼主
動物
病院
右腋窩,内股に出来物.数件受診後,初診(H14.4).感染症として入院治療.回復せず,間質性肺炎,DICを併発.3週後,飼主の希望により大学病院へ.免疫異常による無菌性結節性皮下脂肪織炎,治癒.適正量投薬の義務,高次医療機関への転医義務. 判タ1254-216
朝日・毎日
H18.6.12

8-2
診療
17.5.30
名古屋高裁
金沢支部
42万円
(350万余円)
確定 犬(ゴールデン・レトリーバー)
13歳・雌
飼主
夫婦
動物
病院
関節炎症状(H11.3月).左前肢腫瘍切除.術後1カ月半で,死亡(H14.7月).治療法,手術のインフォームド・コンセント不十分. 判タ1217-294
日獣会誌60
(1)12-16
読売H17.5.30
8-1 15.11.20
金沢地裁
小松支部
無責
(350万余円)
控訴       説明義務は果たしている.  

9
治療
16.5.10
東京地裁
80万余円
(438万余円)
控訴
(後取下) 犬(スピッツ)
9歳・雌
チャンピオン
飼主
49歳
夫婦
獣医科病院 糖尿病で入院したが,高血糖が悪化,低K血症.転院後,死亡(H15.1.3).インスリン投与せず,食事療法では不十分とされた. 判時1889-65
判タ1156-110
日獣会誌57
(10)615-617

10
手術
14.3.28
宇都宮地裁
93万余円
(223万余円)
控訴
(後和解) 猫(アメリカン・ショートヘア)
5歳・雌
チャンピオン
飼主
(ブリー
ダー)
動物
病院
避妊手術の翌日死亡(H8.11).別医で解剖され,左右尿管結紮による尿毒症死と鑑定. 裁判所HP

11
治療
13.11.26
東京地裁
無責
(213万余円)
  犬(マルチーズ)
14歳×3匹
飼主 動物
病院
[1]健康診断にて貧血,歯石による口内炎あり.全身麻酔により歯石除去(H7.11.23).死亡(同年.12.22).
[2]貧血,脾臓腫大,肝・腎異常高値のため入院治療(H8.9.21).翌朝,心臓発作で死亡.
[3]貧血,腎異常高値(H8.5.10).対症療法.死亡(同年.8.5).
判例マスター

12
治療
9.1.13
大阪地裁
80万円
(140万円)
控訴 猫(アビシニアン)
2歳・雌
チャンピオン
飼主
(ブリー
ダー
獣医科総合
病院
帝王切開希望.人用薬陣痛促進剤ウテロスパン投与し,母・胎仔2匹死亡(H7.6). 判時1606-65
判タ942-148

13
手術
3.11.28
東京地裁
5万余円
(5万余円)
確定
(シェパード)
動物
病院
飼主 フィラリア成虫除去術の術中死亡(H2.9).手術費の不払.大学で解剖し死因はフィラリア症と確定.
*動物病院による診療費支払い請求訴訟.
判タ787-211

14
手術
S43.5.13
東京地裁
5万円
(30万円)
  犬(イングリッシ
ュ・ポインター)
飼主 家畜
病院
帝王切開にアルコール消毒した軽便カミソリを使用.ガーゼ数枚を腹腔内に残置.仔犬死亡.親犬も腹膜炎,敗血症で死亡(S41.4). 判時528-58
判タ226-164
裁判所HP:http://www.courts.go.jp/,Westlaw Japan:https://go.westlawjapan.com,判タ:判例タイムズ,判時:判例時報

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