【別 紙】
第169回国会 参議院予算委員会
平成20年3月17日(月曜日)
午前10時開会
本日の会議に付した案件
○平成20年度一般会計予算(内閣提出,衆議院送付)
山口那津男参議院議員による獣医事に係る質疑記録のみ抜粋.
- ○委員長(鴻池祥肇君)
- 次に,山口那津男君の質疑を行います.山口那津男君.
- ○山口那津男君
- 公明党の山口那津男でございます.
(略)
- ○山口那津男君
- 獣医の問題について,最近のペットブーム,あるいは高齢者に対するいやし効果等々,注目をされているわけでありますが,一方で産業動物医のような,獣医のような分野は減っておりまして,この偏在が見られるということもございます.
まず文部科学省として,この獣医教育の在り方について,国立大学あるいは公立,私立大学の教育の在り方について改善が必要ではないかと思うわけでありますが,御認識を伺いたいと思います.
- ○国務大臣(渡海紀三朗君)
- 委員御指摘のように,最近非常に多様なニーズがございますし,また,特に国立の獣医学科というのは大変基盤が弱体であるということが指摘をされておりまして,既に昭和60年に一度対策をやろうということを言われたようでございます.ところが,なかなか現実には地域の要請とかまた先生の希望とかありまして,いろんなことが進んでいないという現状がございます.大学院レベルにおける連携といいますか,そういうことは少し進んだようでございますが,そういった実態の中で,今後,やはりより整理統合といいますか,そういったことが望ましいというふうには考えておりますが,一義的にはこれはお互いの大学の話合い,また地域の理解というものが必要でございます.
そういった意味において,我々としては,いろんな再編整備に向けた連携というものもできるような,そういったプログラムを平成20年も用意をしておりますので,これは獣医学科だけではありませんけれども,そういったものを利用していただきながら環境を整えていきたいと思っております.
同時に,割と私学が体制が整備されておりますので,私学の獣医学科について,引き続き経常費補助,また私立大学教育研究装置設備整備補助,こういったものを通じて支援をすることによって獣医教育というものの基盤の整備というものを図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます.
- ○山口那津男君
- 農水大臣に伺いますが,偏在を是正するためには処遇の改善とか様々な工夫が必要だと思います.また,補助者が最近民間のいろいろな資格で増えてきていると.しかし,これだけの人数が増えますとやはり一定の技術基準,資格のようなものも国として考える必要があるんではないかと思いますが,お考えを伺いたいと思います.
- ○国務大臣(若林正俊君)
- 山口委員の御指摘であります産業動物獣医師の不足というのは本当に深刻であります.頭の痛い問題でございます.今後,産業動物獣医師が不足をして,そして公務員獣医師の確保も大変難しくなっていくだろうという見通しが示されております.特に,大動物,牛とか馬とか,あるいは中動物である豚等の獣医師の不足が深刻な問題になるのではないかということを危惧いたしております.
そこで,農林水産省としては,獣医学科の学生に対します産業動物の診療の現場体験期間も非常に少なくなってきているんですね.そういう意味では,現場体験に対しましていろいろ機会を提供するというような支援でありますとか,また,産業動物獣医師を希望する人への研修に対する支援でありますとか,また,こういう獣医学科学生に対しまして奨学金を給付して,産業動物獣医師あるいは公務員の獣医師に就業を誘導するといったようなことを通じましてその育成に努めていくということにしているわけでございます.
また,地域によっては,都道府県が家畜保健衛生所とか,あるいは開業獣医師,生産者団体等で組織します協議会を設置いたしまして地域単位で獣医師の提供体制の構築をしまして,適正な産業動物獣医師の配置を確保していこうといったような努力をしているところもございまして,そのような体制を整えて,何とか必要な産業獣医師を確保していきたい,努力をしていきたい,このように考えておるところでございます.
また,併せて動物のこれらの診療行為を補助する動物看護師の問題でございます.
これもどうしても必要になってまいりますが,この資格の制度につきましては,今複数の民間団体が独自の教育プログラムを作りましてその資格認定をしているということでありまして,国による公的な資格認定の制度,システムはございません.今動物看護師を制度化するというような問題意識を持ちまして,日本獣医師会,これは社団法人でありますが,日本獣医師会を中心としてまず教育レベルを平準化していかなきゃいけない.今のこの民間団体,主な団体でも五団体ございますけれども,それぞれの教育のレベルが必ずしも一致しておらない.また,資格認定の手法も違っておりますから,まずはこれらレベルを平準化をしていくということに取り組んでいるというふうに聞いております.
これらの努力によりまして,一定の教育レベルあるいは資格認定基準といったようなものをできるだけそろえた上で,このような動物看護師の制度化について措置,対応していきたいと,こう考えております.
(略) |
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