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3 施設の概要と現状
 (1)VRセンター
  2005年10月,大阪市東成区にて開院.一次診療は行わず,開業獣医師からの紹介症例のみを診察する二次診療施設として運営をしている.診察室(4室),面談室,処置室,臨床診断室,画像診断室,CT室,MRI室,手術室(2室),入院室(2室)等を備え,完全予約制で診療時間10:00〜19:00,診療申込みは主治医からホームページ経由で行ってもらっている.現在スタッフ数は常勤獣医師15名,非常勤獣医師3名,動物看護士19名(2008年4月現在)で,開院から2007年9月現在までの診察件数12,558件,手術件数1,300件となっており,開院月は352件であった診察件数は2007年9月には708件へ,手術件数は17件から97件へと順調に増加している.2007年6月からは英語圏クライアントの対応に苦慮している開業獣医師のために英語診療科を新設した.また診療のみではなく1カ月に1度,地域の開業及び勤務獣医師対象のカンフアレンスを開催しているほか,ネオ・ベッツVRセンター・血液ネットワーク委員会を立ち上げ献血システムの構築を目指している.
 (2)DIセンター
(株)ネオ・ベッツでは上記のとおり,2001年よりCTセンターを開設,運営していたが,VRセンター開院後はより充実した画像診断を提供する目的で,1,5テスラ超伝導MRI(2006年11月より稼動),64列マルチCT(2007年5月より稼動)を導入し,名称もDI(Diagnostic Imaging)センターと改めた.これら最新技術の導入の目的は,短時間に的確で高画質な画像を構築することで,診断の正確性と動物の負担の軽減を同時に達成することである.CT撮影件数は開院から2007年9月現在1,895件,MRI撮影件数は2006年11月から2007年9月現在850件となっており,現在CT,MRIともに月平均80件前後の撮影を実施している.
表1 VRセンター(来院件数・手術件数・CT・MRI撮影件数)
表1 VRセンター(来院件数・手術件数・CT・MRI撮影件数)1 表1 VRセンター(来院件数・手術件数・CT・MRI撮影件数)2
図3 CT
図3 CT
図4 MRI
図4 MRI
 (3)ERセンター(ネオ・ベッツVR夜間センター)
 VRセンター開院と同時に,夜間はERセンターとして運営を行っている.地域の開業獣医師からの紹介,ER堺,その他の夜間診療病院からの紹介症例に対応している.診療時間は21:00〜5:00(年中無休),スタッフはネオ・ベッツ所属の獣医師,動物看護士と株主病院の勤務医で構成されており,平均来院件数16件となっている.基本的には翌日以降は主治医で診察を受けていただくが,飼い主,主治医の希望があれば継続診療も行っている.また,電子カルテを採用することによって回線を通じてER堺との連携を図るとともに,診療内容をプリントアウトして飼い主に直接手渡している.VRセンターと施設を共有しているという特色をいかし,夜間症例に対しても必要があれば積極的な診断(CT,MRIも含む),治療を実施し,地域の夜間診療病院の中核を担う病院を目指している.
 (4)ER堺(ネオ・ベッツ夜間救急動物病院)
  1992年4月大阪市淀川区から移転し以降2006年6月まで診療時間21:30〜5:00(年中無休)で運営をしてきたが,病院の老朽化にともない建て替えを行い2006年10月からは診察時間20:00〜24:00(日,月,祝日休診)という形態で運営をしている.平均来院件数は8件で,診察後は電子カルテ,レントゲン(デジタル画像をCD-Rにて)等を飼い主に渡し,翌日主治医に持参していただく.また,翌朝までの継続治療が必要な症例に関してはERセンター(場合によっては,VRセンターでの継続治療)に転院していただく.建て替え以前は専任の獣医師,動物看護士を雇用し診療を行っていたが,再オープン後は大阪府南部の夜間診療の充実を目的として地域の開業獣医師にも診察への参加を打診し,それに賛同する16名の開業獣医師と専任のスタッフで運営をしている.これからもより多くの獣医師に参加を呼びかけ,臨床家同士の情報交換の場としても存在価値の高い開かれた病院を目指している.
 (5)獣医師研修センター
 VRセンターにおける専門診療を行う獣医師の育成を目的とし,ネオ・ベッツ独自の留学制度を構築し,既に2名の獣医師がアメリカ留学を終え,眼科医・神経外科医としてセンターにて勤務中.また,新たに1名が本年7月よりミシガン州立大へ留学する.株主病院の新卒獣医師を対象とする年12回の研修会や,外部講師を招いた講習会等を積極的に行っている.

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