オ CAPP活動を全体的に見て
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4 全体の考察 今回行った,「CAPP活動でのビデオ撮影による高齢者の様子及びコミュニケーションの観察」及び「アンケートによる施設スタッフに対してのCAPP活動に対する意識調査」から,高齢者入居施設においてCAPP活動時には動物の存在によって参加している高齢者に笑顔が増え,施設スタッフやボランティアとの会話によるコミュニケーションやうなずきや笑顔を見せることによる非言語コミュニケーションが増えることが分かった. 動物の存在が高齢者に笑顔をもたらし,人とのコミュニケーションを活発にするという過去の調査・研究の結果と同じ効果が (社) 日本動物病院福祉協会のCAPP活動にもあるということが分かった.しかし,アンケート調査からは,このCAPP活動時に見られる笑顔やコミュニケーションの増加は日常生活に反映され,継続的には見られることはないと多くの施設スタッフが感じていることが分かった. 施設スタッフからは,CAPP活動の回数を増やしたり活動内容を工夫したりすることによって,日常生活にも反映できるような効果が期待できるのではないかとの意見も多くあった.CAPP活動の,その場その時だけの“笑顔”や“会話”だけでなく,それを日常生活に継続させ,反映させるにはどのようなCAPP活動のあり方が有効なのか,協会事務局と施設,そしてボランティアとの活発な意見交換が必要である. 「高齢者との会話のきっかけを作ってくれる」や「高齢者との会話が増えた」,「自分自身,CAPP活動を楽しんでいる」等,高齢者施設においてのCAPP活動が施設スタッフに与える影響が大きいことは予想外の結果であったが,大きな収穫でもあった.CAPP活動は,発足当初より,高齢者への効果ということを目的として進められてきたが,職場で動物と接する機会があることによって施設スタッフの仕事への取り組み方や介護職に見られる“燃え尽き”等に変化は見られるのだろうか.高齢者への効果だけでなく,施設スタッフへの効果を明らかにしていくことは今後の大きな研究課題となるだろう. 活動回数を増やすだけでなく,活動時にさまざまなふれあい方が可能となるように環境を工夫したり,自然な形で動物とのふれあいを楽しめるような雰囲気作りも大切なのではないだろうか.そして,このような動物とのふれあいを積極的に自然な形で楽しめる施設は,その施設を利用する高齢者だけでなく施設スタッフにとっても良い環境となるのではないだろうか. |
† 連絡責任者: | 水谷 渉(日本動物病院福祉協会) 〒162-0814 新宿区新小川町1-15池田ビル TEL03-3235-3251 FAX 03-3235-3277 E-mail : info@jaha.or.jp |