(6)放射線科
[1] 画像診断部門
画像診断部門では,院内各診療科ならびに院外動物病院の画像診断支援部門としてX線,超音波,CT/MRI,PET-CT(予定)の各種診療画像の検査・読影・診断サービスを実施するとともに,紹介病院で撮影された診断画像の読影・画像診断書発行サービスや,撮影・撮像技術指導,放射線防護・管理技術,法令対応に関する情報等を提供していく.
院内・院外診療画像・診断情報は全てデジタル化され,先進のPACSによりアーカイブ化され,データベースとなった過去の医療画像情報の参照や比較・解析が可能である.また,獣医療画像情報のDICOMネットワークによる遠隔地診断支援サービスも将来的な課題として検討している.
「X線検査」:X線検査は,直接変換方式フラットパネル搭載デジタルX線TVとCRによる単純及び造影X線検査,透視検査を実施しています(図3,4).
「超音波検査:腹部,循環器,眼科」:超音波診断装置を用いて,以下の部位の通常のスクリーニング検査,精密検査に加え,超音波ガイド下生検(FNA,バイオプシー),膀胱穿刺,胸水/腹水抜去等の処置を実施してる.
・腹部超音波検査(放射線科)
・胸部・循環器超音波検査(循環器科・放射線科)
・眼科超音波検査(眼科・放射線科)
「CT検査」(2007年秋より稼働予定):CTは16列MDCTを用い,頭部(頭蓋内,鼻腔,口腔,眼窩),胸部(肺,縦隔)及び腹部臓器の精査をはじめ,椎間板ヘルニア等の脊椎・脊髄疾患の診断,経皮的脾臓内造影による肝門脈シャント等の迅速診断を実施する.
「PET-CT検査」(2008年稼動予定):PET-CT検査では悪性腫瘍の外科的・内科的及び放射線治療前の腫瘍ステージング評価,放射線治療計画のためのデータ収集,及び治療後の腫瘍の再発・再燃評価を行う予定である.
「MRI検査」:MRIはオープン型MRI(静磁場強度0.2T)を導入.主として頭蓋内疾患(先天性異常,脳炎,脳腫瘍等)及び脊髄疾患(椎間板ヘルニア,脊髄炎,脊髄梗塞,脊髄腫瘍等)の診断を行う.
「放射線治療部門」(2007年11月稼働予定):放射線治療部門では,リニアック(Precise Treatment System)を用い,悪性腫瘍に対する根治的もしくは緩和的放射線治療を実施する.治療部門は原則として当院腫瘍科との密な連携の元に治療を実施するが,他施設からの放射線治療の依頼も積極的に受け付ける方針である.治療計画には院内設置の16列MDCT及びPET-CTに基づいた画像が利用される.
図3 デジタルX線装置(直接変換方式) |
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図4 デジタルX線装置からのTV画像 |
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図5 MRI装置(オープン型) |
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図6 MRIからの画像 |
(7)麻 酔 科
「外科手術及び検査処置における全身麻酔管理」:当センターにおける全身麻酔を必要とする外科手術及び検査処置の全身麻酔管理は原則,麻酔科が行う.患者動物は様々な疾患を抱えた高度医療が必要な動物達であり,その外科的手術や検査処置の手技も多岐にわたるために,その全身麻酔も定型的なものではなく,それぞれの術前状態や手術・処置の手技や侵襲度に適した方法を選択して行う.侵襲を伴う外科手術では,特に疼痛コントロールに力を入れて患者動物の管理を行っていく.
[1]全身麻酔管理手技内容
・Volatile induction and Maintenance of Anesthesia : VIMA
・Total intravenous anesthesia : TIVA
・Balanced anesthesia
・Epidural anesthesia
・Endotrachal anesthesia
・Mask anesthesia
・Cardiac anesthesia
患者動物の全身麻酔維持と麻酔中モニタリングは,人工呼吸器付き麻酔回路とモニターを初めとした,最新鋭の器械を使用して行うが,常に,患者動物にとって最も安全な方法での麻酔維持と人の五感と知識をフルに活用したモニタリングを心掛け,患者動物が高度医療を安全に受けられる環境作りを行う.
「ペインコントロール」:当センターで行われる,生体に侵襲的な処置及び外科手術は原則,麻酔科によるペインコントロールを行う.外科的手術の際には,手術侵襲が加わる前から鎮痛を行い,疼痛の軽減をはかる.また,外科的手術以外でも,急性痛を訴える患者動物に対する鎮痛にも麻酔科が関与する.将来的には慢性痛を訴える患者動物の外来診療をペインクリニックとして行っていく予定である.
[2]疼痛管理手技内容
・Preemptive analgesia
・Multimodal & Balanced analgesia
・Epidural analgesia
・Nerve block
・Continuous rate infusion |