3 調査実施時期
平成18年7月〜平成19年3月
4 調査方法等
農林水産省(沖縄県においては,内閣府沖縄総合事務局)の担当職員が調査対象農家を訪問して記入簿を配布し,農家が記入後に回収・集計した.
なお,担当職員は,記入簿の配布に当たっては記入指導を行うとともに,回収の際,記入漏れがあれば聴き取り等により,補足記入等を行った.
5 調査結果の概要
(1)牛飼養農家
[1]BSEまん延防止に関する飼料規制の遵守状況等
BSEまん延防止の観点から,「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」(昭和28年法律第35号.以下「飼料安全法」という.)に基づき,「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」(昭和51年農林省令第35号.以下「成分規格等省令」という.)により牛「動物性たん白質を給与しない等の基準・規格が定められており,これを徹底するために守るべき事項について,「反すう動物用飼料への動物由来たん白質の混入防止に関するガイドライン」(平成15年9月16日付け農林水産省消費・安全局長通知.以下「ガイドライン」という.)が定められている.
これら飼料規制等の遵守状況を中心に調査した結果,牛への給与が規制されている動物性たん白質等を牛へ給与した事例は認められなかった.
一方,当ガイドラインの周知状況等については,ガイドラインの内容を知っていると回答した牛飼養農家が76%,ガイドラインの存在は知っていると回答した牛飼養農家は12%,ガイドラインの存在も知らないと回答した牛飼養農家は12%あり,牛用飼料への動物性たん白質等の混入防止を徹底するためには,今後とも,当ガイドラインの周知徹底を図ることが必要である.
[2]記帳への取組状況
BSEの発生等飼料に起因する問題が発生した際に,関連飼料の流通・給与履歴を迅速に把握できるようにする観点から,飼料安全法においては,飼料の使用及び受入に関する事項の記帳及び保存に努めることとされている.この記帳への取組状況について調査した結果,何らかの記録を保存していると回答した牛飼養農家が88%あった.このうち,飼料の受入伝票を保存している牛飼養農家が80%,飼料等に添付されている表示票を保存している牛飼養農家が36%及び受入に関する事項を記録している牛飼養農家が21%(複数回答あり)あった.記帳等への取組みは,BSEの発生防止対策を推進するためには,当該家畜等に給与された飼料の使用実態把握が不可欠であることから,引き続き記帳への取組みを周知する必要がある.
[3]表示票の受け取り状況
表示票を受け取っていない牛飼養農家がバラ(バルク車)製品で11%,トランスバッグで12%あった.表示票は,飼料の内容を確認できる唯一のものであることから,必ず飼料を運搬する業者等から牛飼養農家が直接受け取り,自身が注文した飼料であるかの確認を行うよう今後とも指導する必要がある.
[4]抗菌性飼料添加物を含む飼料等に関する規制の遵守状況
抗菌性飼料添加物を含む飼料等については,給与できる対象家畜(畜種,期間等)以外に抗菌性物質を含む飼料を給与していた農家が0.2%あった.今後とも,牛飼養農家へは,対象となる家畜等の発育ステージに応じた抗菌性飼料添加物を含む飼料の使用方法を遵守するよう指導する必要がある.
[5]輸入粗飼料の購入・使用状況
輸入粗飼料の購入・使用について,調査農家の45%の牛飼養農家からの回答のうち,心配していないと回答した牛飼養農家は78%,心配していると回答した牛飼養農家は18%あった.その他も4%あり,少数意見としては,農薬よりかび毒や異物混入,輸入わらの品質等の問題があげられている.このため,輸入粗飼料を購入する場合,販売業者等から必要な情報(生産国の情報等)を収集するよう指導していく必要がある.
(2)鶏飼養農家
[1]抗菌性飼料添加物を含む飼料に関する規制の遵守状況
抗菌性飼料添加物を含む飼料の使用については,全ての鶏飼養農家において対象家きんの発育ステージにあった飼料の使用が遵守されていた.今後とも抗菌性飼料添加物を含む飼料の使用に当たっては定められた使用方法を遵守するよう指導していく必要がある.
また,今回は,鶏飼養農家自身が飼料(魚粉)を製造し,当該農場で使用していた事例があった.このことについては,農林水産大臣の確認を行った飼料製造工場でなければ飼料(魚粉)を製造することができない旨を,県との連携のもと,当該鶏飼養農家を指導している.
今後は,抗菌性飼料添加物を含む飼料の使用の遵守指導に限らず,動物性たん白質・動物性油脂の家畜への給与に関する規制の概要についても,その製造・使用等に当たっては定められた方法を遵守するよう指導する必要がある.
[2]動物性飼料の購入状況
動物性飼料は,33%の鶏飼養農家が購入していた.このうち90%の鶏飼養農家が魚粉を購入し,56%の農家が確認済動物性油脂を購入していた.
[3]記帳の取組状況
記帳への取組状況は,何らかの方法で記録を保存していると回答した鶏飼養農家が96%あった.このうち,飼料の受入伝票を保存している鶏飼養農家が86%,飼料等に添付されている表示票を保存している鶏飼養農家が63%,台帳へ記載している鶏飼養農家が53%(複数回答あり.)あり,牛飼養農家に比較して,記帳への取組が進んでいるが,更に取組を進める必要がある.
[4]表示票の受け取り状況
表示票を受け取っていない鶏飼養農家がバラ(バルク車)製品で4%,トランスバッグで4%あった.表示票は,飼料の内容を確認できる唯一のものであることから,必ず飼料を運搬する業者等から鶏飼養農家が直接受け取り,自身が注文した飼料であるかの確認を行うよう今後とも指導する必要がある.
[5]反すう動物用飼料への動物由来たん白質の混入防止に関するガイドラインの周知状況
鶏飼養農家のうち牛等を飼養している農家が1%あった.いずれの鶏飼養農家も当ガイドラインの内容は理解しており,牛用飼料と他の資材との分別,器具等は共用しない等の対策は守られていた.引き続き,ガイドラインの周知につき指導していく必要がある.
6 主な調査結果
(1)牛飼養農家
[1]牛への動物性たん白質等飼料原料の給与規制の遵守状況及び抗菌性飼料添加物を含む飼料等の適正使用状況について
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[2]そ の 他
ア 「反すう動物用飼料への動物由来たん白質の混入防止に関するガイドライン」(平成15年9月16日付け農林水産省消費・安全局長通知)の周知・遵守状況について
i )牛飼養農家が守るべき当該ガイドラインについての周知状況
・内容について,牛へはA飼料以外給与できないことなどを知っている (76%)
・ガイドラインの存在だけは知っている (12%)
・ガイドラインを知らない (12%)
ii )ガイドラインについて知った情報源(複数回答あり)
農協(57%),飼料業者(23%),国・自治体(10%),新聞・雑誌(7%),その他(2%)
iii )動物性たん白質原料・牛以外用飼料・肥料などを,牛用飼料と同一の容器に保存したり同一の機械を用いて調製等をしている事例の有無
事例ありの農家 (0戸)
イ 飼料の使用及び受入に関する事項の記帳及び保存の取組み状況
i )何らかの記帳をしている農家 (88%)
(伝票の保存など,一部項目のみの記録を保存している農家を含む)
ii )記帳している農家のうち,記帳方法の内訳(複数回答あり)
・飼料の使用に関する事項 (17%)
・飼料の受入に関する事項 (21%)
・飼料の受入伝票の保存 (80%)
・飼料の表示票の保存 (36%)
・その他の方法による記録 (3%)
iii )表示票の受取りの徹底状況
・バラ(バルク車)製品
受け取っている農家 (89%)
受け取っていない農家 (11%)
・大型容器(トランスバッグ)製品
受け取っている農家 (88%)
受け取っていない農家 (12%)
(2)鶏飼養農家
[1]抗菌性飼料添加物を含む飼料の適正使用状況について
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[2]そ の 他
ア 動物性飼料の購入状況
i )動物性飼料を購入している農家 (33%)
ii )購入しているもの
・魚粉 (90%)
・確認済動物性油脂 (56%)
イ 飼料の使用及び受入に関する事項の記帳及び保存の取組み状況等
i )何らかの記帳をしている農家 (96%)
(伝票の保存など,一部項目のみの記録を保存している農家を含む)
ii )記帳している農家のうち,記帳方法の内訳(複数回答あり)
・飼料の使用台帳への記載 (53%)
・飼料の受入伝票の保存 (86%)
・飼料の表示票の保存 (63%)
・その他の方法による記録 (9%)
iii )表示票の受取りの徹底状況
・バラ(バルク車)製品
受け取っている農家 (96%)
受け取っていない農家 (4%)
・大型容器(トランスバッグ)製品
受け取っている農家 (96%)
受け取っていない農家 (4%)
ウ 「反すう動物用飼料への動物由来たん白質の混入防止に関するガイドライン」(平成15年9月16日付け農林水産省消費・安全局長通知)の周知・遵守状況について
i )鶏飼養農家で牛等を飼養している農家が守るべき当該ガイドラインについての周知状況
牛を飼養している鶏飼養農家 (1%)
・ガイドラインの内容について,牛へはA飼料以外給与できないことなどの内容を知っている (100%)
・ガイドラインの存在だけは知っている (0%)
・ガイドラインを知らない (0%)
ii )ガイドラインについて知った情報源(複数回答あり)
農協(33%),飼料業者(44%),国・自治体(44%),新聞・雑誌(44%),その他(0%)
iii )動物性たん白質原料・牛以外用飼料・肥料などを,牛用飼料と同一の容器に保存したり同一の機械を用いて調製等をしている事例の有無
事例ありの農家 (0戸) |