出願資格は,修業年限6年の獣医学を履修する課程を卒業または卒業予定の者が原則となっているが,これと同等の修業年限を有する者,あるいは,4年制時代の獣医学科を卒業した者であっても,卒業後,獣医学に関連する研究その他の業務に2年以上従事し,本学大学院研究科において6年制獣医学科を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者には資格が与えられる.一般選抜の他に,社会人特別選抜枠,外国人留学生特別選抜枠を設けており,社会人枠は出願資格を満たした後,原則として2年以上官公庁,企業等に在職していることが要求される.資格の詳細については,あらかじめ本学に尋ねていただければ,専任の事務が対応する.願書の受付期間は例年9月初旬で,試験日は10月初旬に行われる.ここで定員に満たない場合は,2月初旬に受付,3月初旬に第2次試験を実施する.出願書類は,入学願書,写真,卒業証明書,調査票,履歴書,卒業論文要旨またはこれに準ずるもの,指導教授の承諾書,推薦書で,本学で所定の用紙を入手していただき,検定料20,000円を添えて事務部学務課に出願していただくことになる.
入学者の選抜は,調査書等の審査,学力試験(筆記試験),口述試験(口頭試問)の結果を総合して行う.学力試験は英語(英文和訳,辞書の使用可)と出願した研究指導分野の専門科目1科目(表)の2科目で,口述試験は獣医学専攻指導教授全員による口頭試問が行われる.ただし,社会人特別選抜枠では学力試験を免除し,外国人留学生については原則として調査書等の審査のみで合否を判定する.
納入金は初年度1,250,000円(ただし,本学獣医学科卒業見込者は1,050,000円),次年度以降は830,000円となっている.奨学金制度には,大学院アシスタントシップ(TA)制度,日本学生支援機構の奨学金制度などがあり,TAに採用されると本学大学院の授業料及び実習費の50%相当額が支給される.平成18年度では出願者全員が採用されている.
入学すると,各所属研究室で指導教授の指導のもと,研究活動に励むことになるが,テーマによっては学外の研究施設に出向し,指導を受けることもある.研究活動の他に原則週1回(木曜日)の授業があり,30単位以上の修得が求められまる.これらは専門分野毎の講義9単位,特別演習6単位,特別実験6単位,ならびに共通の特別講義9単位からなっているが,一部は学会参加等で指導教授が認定したものに限り読み替えることも可能である.これらは3年間で修得できるようになっている.
通常は4年間の間に研究を纏め,授業単位を取得した上で学位論文を提出することになるが,著しく高度の業績を挙げた者に対しては3年で学位取得が可能である.ただし,これまで3年で学位を取得した学生はいない.反対に4年で学位論文が纏まらない場合,さらに4年間は延長して在籍することができる.授業単位を取得済みの場合は,「単位取得退学」扱いとなり,大学院を離れることができるが,この場合,退学後4年間は課程博士としての学位論文を提出することができる.通常,毎年12月第2週が論文提出締切日となり,本論文と学位論文要旨の提出等が求められる.この際,論文審査手数料として80,000円がかかる.学位論文が提出されると,大学院研究科メンバー5人(主査1人,副査4人)の審査委員会が組織され,約2カ月の審査ののち,最終試験が実施される.最終試験は論文内容の口演発表とそれに対する審査委員会による口頭試問からなる.審査委員会は論文及び最終試験の結果を基に合否を決定し,合格した者については研究科委員会に挙げ,投票を行って最終的に学位取得が決定する.
審査委員会では,研究内容のレベルの高低よりも,[1]論文全体にストーリー性があること,[2]各章に明確な結論があること,[3]次章は前の章の結果を受けたものであること,[4]これまでの文献と比較して今回何が明らかとなったのかが明確にされていること,[5]論文全体としてどういう新知見が得られ,それが獣医学上どういう形で貢献をするのかが考察されていること,また,[6]今回の研究が今後どういうふうに展開されるのかが予測されること,などを重視し,申請者が研究者として独自に計画を立案,実施し,またそれらを纏める能力があるかどうかを判定する.本学大学院ではこれまでに113名(うち外国人留学生16名)がこの課程を経て博士の学位を取得し,現在は28名(うち外国人留学生5名)が在籍している.
一方,博士課程を経ずに学位を取得する道(論文博士)も開かれている.これは公官庁の研究所や企業の研究所等で一定期間以上(6年制学部卒業者は5年以上,4年制学部卒業者は7年以上)研究に従事し,学位論文を纏めた者を対象としているが,通常は上記キャリアの中に最低2年間,連続して本学大学院研究生として籍を置くことが要求される.これには,学位論文を提出するために指導教授(主査となる)と論文作製について協議もしくは指導を受ける期間,及び論文提出後の審査期間ならびに最終試験,投票,学位授与までの期間が含まれる.研究歴をもたない開業獣医師等であっても,上記と同様の期間以上,本学の大学院研究生として籍を置いたキャリアがあれば学位論文審査を受けることができる.
論文博士を取得しようとする場合,まず,指導教授を決めることから始まる.出身大学の教授にお願いするのが一番容易であるが,もちろんそれ以外の大学でも問題ない.直接,あるいはだれかの紹介で指導教授と面会し,学位論文を取得したい旨相談することになる.
許可が得られれば,大学院研究生の入学手続きを行う.学位論文提出資格に該当する研究キャリアを持ち,かつ既に学位論文がほぼ纏まっている場合,もしくはそれに準ずる場合には,最短で大学院研究生入学後8カ月で学位論文審査を請求することができる.この場合,審査を経て学位が授与されるのは最短で13カ月後(1年1カ月後)となる.因みに大学院研究生の在籍年限は10年である.大学院研究生の入学時期は4月あるいは10月で,平成18年現在の研究生入学金及び授業料は,それぞれ55,000円,240,000円となっている.研究生として入学後の作業は課程博士とほぼ同じであるが,取得すべき講義はない.また,学位論文は12月に限らず,各月の第2週目までに提出すれば受け付けられる.ただし,論文審査期間が3カ月以上となっており,また学位論文提出後に行われる最終試験では,口頭試問の他に専門科目及び周辺関連科目ならびに英語に関する筆記試験が課せられる.さらに,学位論文提出までに少なくとも1編以上の筆頭著者原著論文(英文)が出版されていることも要求される.これらは高いハードルのようにも思われるが,指導教授と詳細な打ち合わせを行い,指導を受けることで解決することができる.学位論文提出時にかかる審査手数料は200,000円となっている.
これまでに268名(うち外国人14名)が論文博士として本学大学院で博士の学位を取得している.
学位論文及び最終試験に合格すれば,博士(獣医学)の学位が授与される.課程博士と論文博士は学位記番号に記される「甲」(課程),「乙」(論文)で区別されるが,もとより学位の質やランクに差がある訳ではない.
学位論文はその全部もしくは一部を公表しなければならない義務があるので,学位を取得した後も,未発表データがあれば,それを纏めてしかるべき学術雑誌(獣医学会雑誌,獣医師会三学会誌,あるいは海外の専門学術雑誌等)に投稿することになる.
こうして,学位取得後,高度な専門学識をもつサイエンティストの仲間入りをすることになる.本学大学院のお問い合わせ先は以下の通り.
|