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解説・報告

平成18年度動物愛護週間に参加して

北村直人(日本獣医師会顧問)

1 は じ め に
 平成18年度動物愛護週間は9月20日〜9月26日の間,全国各地で環境省・都道府県・市町村・獣医師会・動物愛護団体等多くの協力のもと開催された.
 動物愛護週間はアメリカで始められたもので,わが国では日本人道会のバーネット夫人の主唱により,昭憲皇太后(明治天皇の皇后)の誕生日を記念して1927(昭和2)年5月28日から1週間行われたのが始まりだといわれている.
 戦後,昭和24年2月末に,連合国軍総司令部(GHQ)から3月21日の春分の日を動物愛護デーとして実施するよう指示があり,日本畜産協会などが中心となって行事を行った.その後,1日だけの動物愛護デーでは成果も少ないため,日本動物愛護協会などが中心となって昭和26年から春分の日を中心にした1週間を動物愛護週間とした.
動物愛護週間地方行事「動物愛護フェスティバル・中濃」会場
 動物愛護週間地方行事「動物愛護フェスティバル・中濃」会場(ステージ)にて挨拶する著者 

 しかし,北海道や東北などではまだ雪が残っていることや学校が春休みに入ってしまうこともあり,昭和29年からは,秋分の日を中心とした1週間に変更された.
 現在では「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」第4条で,ひろく国民の間に「命あるものである動物」の愛護と適正な飼育についての関心と理解を深めるようにするため,動物愛護週間を設ける.として定められている.
 何々週間とか何々月間とか称される期間行事は数多くあるが,動物愛護週間のように,法律に定められている例はない.
 動物愛護週間を法律で定めたのは,動物愛護の精神を一日も早く国民生活の中に浸透させ,人と動物との豊かな関係を創りあげたいとする立法者の熱意によるものである.
 今回私は,日本獣医師会顧問として,山根会長の命を受けて地方行事と中央行事に参加したので報告する.

2 地 方 行 事
 「動物愛護フェスティバル・中濃」
 ―ふれあおう! 命のぬくもり・命のかがやき―
 日 時 : 平成18年9月23日(土・祝日)10〜15時
 場 所 : 岐阜県郡上市めいほう高原
 主 催 : 動物愛護フェスティバル実行委員会
 構成団体 : 岐阜県,郡上市,(社)岐阜県獣医師会
 後 援 :
   関市,美濃市,岐阜県教育委員会,郡上市教育委員会,
   関市教育委員会,美濃市教育委員会,
   (財) 日本動物愛護協会・東海地域統括岐阜支部,
   日本野鳥の会岐阜支部
 協 力 : 日本World Veterinary Day協会事務局 岐阜大学(今回から)
 行 事:
○式典表彰式
  • オープニングセレモニー(太鼓演奏)
  • 動物愛護団体・個人・長寿動物飼育者等表彰
  • 動物愛護作文・絵画コンクール優秀者表彰
○ステージ行事
  • 犬のしつけ方教室
  • 動物天才クイズ
  • 盲導犬実演
○広場行事
  • 警察犬実演
  • ディスクドッグ演技
  • ドッグラン
○会場行事
  • 部会ブース(開業部会)
    バード・ウォッチング,巣箱作り,スタンプ・ラリー,動物健康相談,パネルクイズ
  • 部会ブース(畜産・市町村部会)
    搾乳体験,子牛体重当てクイズ,パネル展示
  • 部会ブース(公衆衛生部会)
    パネル展示,ビデオ上映,クイズ,パンフレット配布
  • 部会ブース(教育研究部会)
  • お馬さんのコーナー
  • 盲導犬,聴導犬,介助犬紹介
  • 日本動物愛護協会
  • ドッグボランティアの会
  • 小動物ふれあい広場
  • 乗馬体験
  • 牛乳試飲
  • 子供の広場
    折り紙,落書き,粘土,ぬり絵,ペンダント作り
  • 農産物,飲食物販売
  • 獣医師さんの活動(岐阜大学 獣医学科)
    獣医師ってな〜に?
    私が獣医師になった理由
○室内行事
  • 聴導犬実演
  • 介助犬実演
  • バター作り
  • クラフト作り

 以上の行事を,広く岐阜県民に対して動物愛護思想の普及啓発を図り,動物の適正飼育についての関心と理解を深めるとともに,生命の尊重,友愛,平和への情操の涵養を図るため,平成18年度の動物愛護週間行事として実施した.
 その為,動物愛護フェスティバル実行委員会を設立し,自然のなかで,動物とのふれあいを通じて,子供たちに生命のぬくもりや尊さ,そして,人と動物は常にささえ合って生きていることを実感してもらい,動物愛護精神と自然保護の大切さを知ってもらうことを願って開催され,本年で29回目を数えた.
 名誉顧問に岐阜県知事,名誉会長に郡上市長,会長に岐阜県獣医師会 近藤信雄会長,構成団体の代表の方がそれぞれ役員に就任し,晴天の中,大自然の懐に包まれながら,約15,000人(主催者発表)の入場者の下,開催された.
 特に今回から,日本World Veterinary Day協会事務局である地元岐阜大学が,市民と獣医師の交流を目的として協力した.その中の「獣医師さんの活動」コーナーで,私が,なぜ獣医師になったか,獣医師がなぜ国会議員になったか,国会議員として何を成し遂げたか,現場の真実を参加者に伝える機会を得た.

動物愛護週間中央行事「動物愛護シンポジウム」
 動物愛護週間中央行事「動物愛護シンポジウム」におけるコーディネーター及びパネラー(左より,小方宗次氏,著者,武部正美氏,中沢秀章氏,太田勝典氏,水越美奈氏,尾崎庸子氏)

 

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