7.廃 棄
Q7-1 バイアルに入っているケタミンを,一定期間,複数の患者(患畜)に施用していたところ,残りわずかとなったため,残液を廃棄したいのですが,どのような手続が必要ですか. |
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バイアル入りのケタミンについては,施用のために一部を取り出した後の残液を廃棄する場合,施用残として,麻薬管理者(麻薬管理者がいない場合は麻薬施用者)が他の職員の立会いの下で廃棄し,当該ケタミンの払出しを記載した麻薬帳簿の備考欄に廃棄した数量を記載してください.
なお,施用残のケタミン注射液は「施用に伴う消耗」と解されますので,「麻薬廃棄届」又は「調剤済麻薬廃棄届」を提出する必要はありません.
また,麻薬研究者が同様に残液を「廃液」として,他の職員の立会いの下で廃棄した場合,当該ケタミンの払出しを記載した麻薬帳簿の備考欄に廃棄した数量を記載してください.
Q7-2 Q7-1の回答の中に「他の職員の立会いの下で廃棄」とありますが,他の職員とはどのような者を指しますか. |
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当該病院等に勤務する者であれば,どのような資格の者でも差し支えありません.
Q7-3 新品のバイアル入りケタミンを長期間一度も施用(使用)しなかったので,廃棄したいのですがどのような手続が必要ですか. |
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都道府県知事あてに「麻薬廃棄届」を提出し,麻薬取締職員等の立会いの下に廃棄してください.
Q7-4 大型獣用にケタミンを濃縮した液を10ml予製しました.順次施用のため払い出した後,残った3mlを廃棄したいのですが,どのような手続が必要ですか. |
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都道府県知事あてに「麻薬廃棄届」を提出し,麻薬取締職員等の立会いの下に廃棄してください.
Q7-5 誤調剤のケタミンの廃棄手続について教えてください. |
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誤調剤のケタミンは,「麻薬処方せんに基づいた麻薬」ではないため,麻向法第29条第2項に規定する麻薬処方せんにより調剤された麻薬ではありません.よって,廃棄する前に,都道府県知事あてに「麻薬廃棄届」を提出し,麻薬取締職員等の立会いの下に廃棄してください.
なお,麻薬廃棄届出の際には,誤調剤の経過,状況等を詳細に記載し,今後,このようなことのないよう十分に取扱いに注意してください.(誤調剤により所在不明になったケタミンについては,都道府県知事あてに「麻薬事故届」を提出してください.)
Q7-6 ケタミンを装てんした吹き矢が外れて回収できない場合や吹き矢が刺さったまま動物が逃げた場合,どのような処置が必要ですか. |
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ケタミンを吹き矢に充填して施用(使用)する場合,薬剤を発射した時点で施用(使用)したこととします.吹き矢が外れた場合でも当該動物に対する施用(使用)となります.麻薬施用者である場合には,麻薬帳簿及び診療録に「施用」として記録し,また,麻薬研究者である場合には,麻薬帳簿に「研究」として記録してください.ただし,発射したケタミンの残片が発見できず,所在不明となったことで保健衛生上の危害が発生するおそれがある時は,必ず都道府県薬務主管課や保健所に連絡してください.【Q6-5参照】
Q7-7 野生動物に施用(使用)する目的でケタミンを注射筒に充填したものの施用(使用)しなかった場合はどのように処理すればよいのですか. |
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ケタミンについては,麻薬取扱者が野生動物に対して施用(使用)することがあることから,払い出したものの,使用しないことがあると考えられます.その場合,再利用するのであれば,当該ケタミンの払出しを記載した麻薬帳簿の備考欄にその旨を記入し,在庫に戻すことで再利用できます.麻薬施用者が廃棄する場合は,他の職員の立会いの下に廃棄し,廃棄後都道府県知事あてに「調剤済麻薬廃棄届」を提出してください.麻薬研究者が廃棄する場合には,廃棄する前に,都道府県知事あてに「麻薬廃棄届」を提出し,麻薬取締職員等の立会いの下に廃棄してください.
8.事 故
Q8-1 ケタミンの事故にはどのようなものがありますか. |
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事故には,「滅失」「盗取」「所在不明」等があります.「滅失」とは,例えば,調剤中にケタミンを床に落とし飛散させ,又は,バイアルを床に落とし,ケタミンの水溶液が回収不可能となった場合などがこれに当たります.「盗取」とは,盗難にあうこと,「所在不明」とは,紛失,亡失等所在を見失うことをいいます.事故としては,その他,強奪された場合,脅取された場合,詐取された場合などがあり,いずれの場合も速やかに都道府県知事あてに「麻薬事故届」を提出してください.また,盗取された場合,強奪された場合,脅取された場合又は詐取された場合などには,警察にも被害届を出してください.
Q8-2 私は動物病院に勤務する麻薬施用者ですが,患畜に注射するためケタミンをバイアルから注射器に詰め替えようとしたところ,誤って床に落として破損し,全て飛散してしまいました.この際,ケタミンについてどのように処置するのですか. |
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そのケタミンについて一部でも回収不可能であれば,麻向法第35条第1項の規定により,都道府県知事あてに「麻薬事故届」を速やかに提出してください.
Q8-3 ケタミンを野外で使用していたところ,ケタミンを入れていたバッグを紛失してしまいました.この場合どうすればよいですか. |
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麻薬取扱者の免許を交付している都道府県知事あてに「麻薬事故届」を提出してください.盗取の疑いなどがある場合には警察にも連絡してください.
Q8-4 麻酔銃を使用してケタミンを発射した場合,動物に当たらずに所在不明となってしまいました.この場合は事故に該当しますか. |
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吹き矢や麻酔銃を使用してケタミンを施用する場合,発射した時点で,当該動物に対する施用となり,事故には該当しません.動物が逃走した場合,帳簿には逃走した動物に対する施用として記録してください.
ただし,当該ケタミンの発見には可能な限り努めてください.また,所在不明となったことで保健衛生上の危害が発生するおそれがある時は,必ずその内容を都道府県薬務主管課または保健所に連絡してください.
【Q6-3,Q6-5,Q7-6参照】
9.譲渡・譲受
Q9-1 私の開設する病院は県境に近いため,医薬品は隣県の医薬品卸売業者から購入しています.ケタミンについてもこの業者から仕入れてよろしいですか. |
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ケタミンの譲受け先は,麻薬業務所が所在する都道府県の区域内の麻薬卸売業者に限られています.したがって,隣県に所在する麻薬卸売業者からケタミンを譲り受けることはできません.ケタミンを購入する際は,譲受証を作成の上,同一都道府県内の麻薬卸売業者から譲り受けてください.
Q9-2 ケタミンを施用しなければならない患畜が急に来院しましたが,在庫がない場合,近くの病院から借りて施用することはできますか. |
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麻薬診療施設の開設者は,施用のため交付される麻薬を患者に譲り渡す場合のほか,麻薬を譲り渡すことはできません.したがって,近くの病院からケタミンを借りることはできません.
10.帳 簿
Q10-1 ケタミンの麻薬指定政令施行日までに在庫量を帳簿に記入する必要があると思いますが,その際の注意事項は何ですか. |
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帳簿への記載は,平成19年1月1日までに行う必要があります.現在,市販されているケタミンはバイアル製剤です.最初に記載する際に使いかけのバイアルがあれば,その残液の量をできるだけ正確に記入してください.
Q10-2 これまで麻薬の注射剤はアンプル単位で記入するように指導されています.しかしながら,ケタミンはバイアル製剤ですが,帳簿にはどのように記入すればよいのでしょうか. |
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従来,注射剤についてはアンプル単位で帳簿に記入していますので,バイアルごとに払い出して施用する場合にはアンプルと同様に記載してください.
しかし,バイアル製剤は,アンプルとは異なり分注ができる剤型ですので,分注する場合,帳簿への記入は受け入れた全てのバイアルを一度「ml」に換算して記入するか,一度バイアルで受け入れてその旨を帳簿に記載し,使用するバイアルごとに他の口座へ転記し,これをml単位で記入すると便利です.いずれかの方法で記載してください.
Q10-3 ケタミンの自然減量や秤量誤差については,帳簿上,どのように処理したらよいですか. |
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自然減量については,病院・診療所においては麻薬管理者(麻薬管理者がいない場合は麻薬施用者)が,麻薬小売業者においては薬局開設者が,他の職員の立会いの下で自然減量を確認の上,帳簿にその旨を記載し,備考欄に立会者が署名又は記名押印してください.
秤量に伴う誤差により麻薬帳簿の記載数量と保管麻薬の数量との間に差異が生じた場合,ケタミンの適正な管理を欠いたことにより差異が発生した可能性があることから,診療録その他を精査し,違反によるものでないことを確認した上で帳簿を修正してください.
Q10-4 ケタミンの施用に関する記録は,いつの時点で行うのですか. |
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麻向法第41条に規定する「麻薬を施用し,又は施用のため交付したとき」とは,ケタミンの施用又は施用のための交付の都度を意味します.
Q10-5 帳簿の備考欄には「製造番号」か「製品番号」のどちらを記載した方がよいですか. |
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麻薬譲渡証及び麻薬譲受証の備考欄については,「製品番号」を記載するように指導していますので,帳簿についても「製品番号」を記載してください. |