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行政・獣医事

ケタミンの麻薬指定に向けての対応


 ケタミンの麻薬指定の動きと当面の対応については,逐次,本誌において紹介してきたところであるが,平成18年8月18日付けで,厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長から動物捕獲等を目的としたケタミン使用者の取扱いについて,また,同課事務連絡により,ケタミンの取扱い(質疑応答),いわゆるQ&Aが通知されたので,地方会長あて通知するとともに,同課長あて,ケタミン製剤の安定供給についての関係製剤メーカー等に対する指導について,再度依頼した.

 18日獣発第122号
平成18年9月6日
地方獣医師会会長 各位
社団法人 日本獣医師会
会 長 山根義久
ケタミンの麻薬指定に向けての対応について
 
 このことについては,昨年12月,厚生労働省から麻薬新規指定に関する意見募集がなされて以降,逐次,本会からの関係省庁及びケタミン製剤の製造・流通業界等に対する要請と対応状況,さらには,麻薬製剤を動物診療において適用するに当たっての留意事項等を通知するとともに,貴職より関係会員獣医師に対する周知と指導の徹底をお願いしたところです(これまでの通知のリストについては,【別記】を参照).
 一方,麻薬及び向精神薬取締法(麻取法)を所管する厚生労働省に対しては,本会を含め,関係団体,関係者からケタミン製剤の麻薬指定に係る取扱い等について要請及び疑義照会等がなされたところですが,今回,本会要請に応える形で,[1] 平成18年8月28日付け薬食監麻発第0828004号により【別紙1】,厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長から動物捕獲等を目的としたケタミンの使用者の取扱いが,また,[2] 同日付け監視指導・麻薬対策課事務連絡により,ケタミンの取扱い(質疑応答)【別紙2】,いわゆるQ&Aが別添のとおり通知されたので送付します.
 ご承知のとおり,ケタミン製剤については,動物診療において汎用医薬品として位置づけられる中,今後,麻薬製剤指定に伴う新たな規制の下でより慎重な臨床適用とともに,製剤については厳格な保管・管理等が求められ,違反者に対しては,罰則の適用のほか,獣医師身分について行政処分の対象となり得る事態が生じることとなります.
 つきましては,特に下記の事項について,貴職から貴会関係会員獣医師に対する周知・徹底とともに,法令遵守の下で適切な動物診療が確保されるようご指導のほどよろしくお願いします.
 なお,ケタミン製剤に代わる医薬品の適用による動物の麻酔及び不動化措置を施術するに当たっての留意事項等の詳細については,本年1月,獣医麻酔外科学会(会長:多川政弘日本獣医生命科学大学教授)あてに見解等の取りまとめを依頼したところであり,見解等が取りまとまり次第通知することとしております.
  1. ケタミンの麻薬指定に伴う,同製剤適用に当たっての留意事項については,別記リスト掲載の通知等のほか,今回の別添通知において整理されている.なかでも,別記リストの1の(3)及び今回の別添通知について熟知の上,麻薬製剤の適用及び保管・管理に遺漏のないよう対応願いたいこと.
  2. 麻取法第3条の規定に基づく麻薬施用者免許の申請に当たっては,麻取法の諸規制が確実に遵守可能である旨を点検の上,対応願いたいこと.
  3. 麻薬施用者免許を取得しないこととした場合であって,施行時にケタミン製剤を所持・管理することが想定される場合は,当該ケタミン製剤を施行前の期間において速やかに当該製剤の取扱い業者に返品するか,または,自らが適切に廃棄すること等により処分するよう対応願いたいこと.

【別 記】
ケタミンの麻薬指定に関する通知等のリスト
1 地方獣医師会あて通知

(1)ケタミンの麻薬指定の動きについて(平成17年12月20日付け17日獣発第185号)
(2)ケタミンの麻薬指定について(平成18年1月10日付け17日獣発第203号)
(3)ケタミン麻薬指定の動きと麻薬製剤取扱いの対応について(平成18年1月13日付け17日獣発第207号)
(4)麻薬,麻薬原料植物,向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令の施行について(通知)(平成18年4月6日付け18日獣発第3号)

2 日本獣医師会雑誌掲載記事

(1)ケタミンの麻薬指定の動きと当面の対応(2006年2月号90〜92頁)
(2)ケタミンの麻薬指定について:富永俊義(厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課課長補佐)(2006年2月号93〜94頁)
(3)ケタミンの麻薬指定の動きと当面の対応(その2)(2006年3月号163〜166頁)
(4)ケタミンの麻薬指定の動きと当面の対応(その3):阿部朋弘(東京都福祉保険局健康安全室薬務課麻薬対策係)(2006年4月号241〜243頁)
(5)ケタミンの麻薬指定の動きと当面の対応(その4)(2006年5月号301〜302頁)


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