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小動物獣医療実態調査成績
(犬の心内膜症の診断 ・ 治療及び転帰に関する調査) ( II )
─ 平成17年度農林水産省委託事業の調査成績 ─
6 心電図検査の実態(表8) 心電図検査の調査データは,表8に示した. 心電図検査は406例中187例(46.1%)で実施されていた.すなわち,約半数で検査されており,QTcを算出しているので,心不全進行度の判定に利用されていた |
7 心臓超音波検査の実態(表9,10) 心臓超音波検査の調査データは406例中83例(20.4%)で実施されていた.特に,心内膜症の病勢度の診断には,逆流モザイクの所見に表現されるので,この所見は超音波検査を実施した全例で観察されていた.しかし,各種計測値等の使用率は低かった. 心臓検査にはカラー超音波機器が必要であり,カラー用は高価であるため,今回の調査では普及がまだ少ないようであった. |
8 血液検査の実態(表11) 血液検査の調査データは406例中245例(60.3%)で実施されていた.実施度合いはほぼX線検査とほぼ同率であった.検査目的には,貧血,肝機能,腎機能を判定する項目が多かった. |
9 心内膜症の薬剤使用の実態(表12) 心内膜症は,房室弁閉鎖不全によって血行障害が起こり,心筋に負担がかかり,徐々に肥大を起こし,心不全に移行している病態なので,治療の主点は心不全のコントロールになる.そのコントロールの主剤はACE阻害剤である.日本では,このACE阻害剤の5品目が動物の慢性心不全治療剤として認可されており,このことは世界でただ一つの国である. 薬剤使用の実態は,表12-1〜12-3に示した. なお,406例中薬剤が投与されたものは389例(95.8%)で,まったく投与されていないものは17例(4.2%)に過ぎなかった.そして,ACE阻害剤は374例(92.1%)と非常に高率に投与されていた. ACE阻害剤投与例374例では,単味投与が44.7%,他剤と併用例が55.3%で,半数例以上はACE阻害剤に他の薬剤をプラスして投与されていた. 併用剤として使用されているものは,冠動脈拡張剤132例,利尿剤131例,強心剤47例で,一部の症例は複数の併用剤が使用されていた.
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