1月31日,地区獣医師会連合会長会議を開催し,平成13年度の地区獣医師大会の決議要望事項の対応等につき協議した. 3月27日,第5回理事会を開催し,五十嵐会長より,[1] BSE問題,食肉表示偽装事件等により食の安全・安心について消費者が不安視していること,[2] その意味で全国で開催したBSEシンポジウム,報道関係者に対するBSEの呼称についてのプレスリリースに対し大きな反響があったこと,[3] 今春卒業予定の獣医系大学生に獣医師会への加入啓発運動を実施したこと等報告した.議決事項として平成14年度暫定予算編成,中村 寛獣医学術振興基金運営規程の件等,56件の議案原案どおり承認された.なお,昨年2月よりノミ駆除剤の一般薬局における販売が中止された旨辻副会長より報告.理事会終了後,第2回全国会長会議を開催し,その席上納鹿児島大学教授による「BSEの正しい知識―なぜ牛肉は安全なのか」の講演ビデオが映写された. 5月3日,韓国から口蹄疫を疑う疾病の発生の連絡があり,翌4日に確定され,京畿南道安城において,280頭の豚が死亡した,臨床症状と抗原検出ELISE法により口蹄疫と診断されたウイルスは汎アジア型Oタイプとの発表があり,年間240万人(平成12年)も韓国と人的交流やフェリーによる車での移動等も考え,厳重警戒を要することとし会員に周知徹底するため,動物衛生研究所の筒井俊之氏らの「侵入リスクについて」の論文も本誌第55巻第6号に掲載した. 5月中に青森県獣,鹿児島県獣,長崎県獣,大分県獣,栃木県獣,日本家畜人工授精師協会,家畜技術協会の総会に五十嵐会長,大森専務理事が分担出席し,6月9日に北海道大学獣医学部創立50周年記念式典に五十嵐会長が出席した. 5月30日,平成14年度第1回理事会を開催し,会長より,[1] BSEの対応,[2] サッカー・ワールドカップ開催に伴う韓国からの口蹄疫侵入防止等への協力,[3] 各地区連合獣医師会の要望事項等に関する要請運動,[4] 身体障害者補助犬法の成立等の報告後,業務概要を大森専務理事より報告,役員補欠選任に関する件として中部田代理事,四国大眉理事の辞任届提出に伴い,菅沢理事,湊理事の就任が了承された.また,国内4頭目のBSE陽性牛の生体検査を行ったH獣医師(29歳)が5月12日に不帰の客となったことが金川副会長より報告され,故人は日頃から責任感が強く,本検査に際しても非もなく獣医師としての社会的使命を果たして来たことに敬意を表する報告であり,五十嵐会長より今回の事件を教訓とし,BSEの対応に従事する獣医師の激励や連携の強化を図るよう地方会長宛に依頼文を発送した旨報告した. 6月24日,明治記念館において第59回通常総会が開催され,北村,城島両議員をはじめ,関係官庁・友好団体の方々に加え中村 寛元会長にも臨席をいただいた.開会の冒頭5月14日,獣医師として強い責任感から自ら命を断たれた,BSE検査に従事されていた北海道獣医師会員の女性獣医師に心から哀悼の意を表し黙祷を捧げた.なお当時の武部農林水産大臣からBSE発生時の獣医師会活動に感謝するが,女性獣医師の犠牲となったことについて二度とこの様な事件がないことを願う旨農水大臣の新旧交代の席上直接耳にしたことを思い出す.当日の議長中川平八郎氏(奈良県獣会長),副議長桑島功氏(千葉県獣会長)が任じ,提出議案はすべて承認された.一般会計の当期支出は会計282,352,428円であった. 7月12日,農林水産省畜産部長より口蹄疫防疫要領が示されたので地方会長に通知し,細部は本誌第55巻第9号に掲載した. 8月12日,山口県獣医師会の要請を受けて山口大学関係者と面談し,[1] 山口大学獣医学科の学部への再編統合による教育体制整備充実を積極的に進めること,[2] 再編統合に際し獣医学科関係者の意向を十分配慮し対応すること等を要請した.山口大学より加藤学長,小嶋副学長,田浦農学部長,獣医師会側から五十嵐会長,唐木全国大学獣医学関係者協議会長,中間山口県会長,藏内福岡県会長,大森専務理事が出席した.山口大学側から「獣医学部への整備については検討段階にあり,獣医学科を有する関係大学とも協議を進め,体制整備を図る」旨の意向が表明された. 8月13日,かねて入院加療中の杉山文男前会長が逝去された.続いて8月19日鈴木嘉富静岡県会長の逝去の悲報を受け,生前の偉業を偲び,ご冥福をお祈り申し上げた.杉山先生入院を知った6月21日,辻副会長とお見舞に参上した折,言語障害のため会話不能であったが満面微笑を浮かべ帰りに両者の手を固く握り離そうとしなかった姿が今日でも忘れられない. 11月24日,鳥取県獣医師会50周年記念式典が坪倉会長を中心に盛大に開催され五十嵐会長も参列し,祝辞を述べた. 12月7日,富山県獣坪島会長主催で北陸三県の会長懇談会が開催され,東出石川県獣会長,小木福井県獣会長の三者が五十嵐会長を囲みBSE問題緊急対策・卒後研修等中心に懇談し,有意義であった. 10月1日より身体障害者補助犬法施行され,補助犬の衛生確保のため健康管理に獣医師の役割と責務について,会員に周知徹底を図るため本誌第55巻第11号に大森専務理事が詳細な説明を寄せている. 12月3日,第3回理事会を開催し,冒頭五十嵐会長より,[1] BSE対策の一環として,各県獣医師会による正しい知識の普及啓蒙のシンポジウムが好評であった,[2] 身体障害者補助犬法の施行に伴い,獣医師の役割として規定された健康管理・衛生指導等は責任をもって対応願いたい,[3] 動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正で設置が定められた動物愛護推進協議会について,すでに数県で対応されているが,さらに全国的に設置されるよう望んでいる,[4] 学校飼育動物に関する委員会の設置を検討している,[5] 組織財政委員会の中間取りまとめが進められている,等を報告し,大森専務理事から昨年獣医師大会の決議要望事項をとりまとめ要請した件の報告,金川副会長より,[1] 9月25日から5日間にわたり世界獣医学大会(WVA)がチュニジア(チュニス市)で120カ国3,500名参加者により開催され,[2] 各国の会費負担額予算措置に対する改善申し入れた,[3] 新役員として会長がナミビアから副会長がアメリカとスロバキアから選任された,[4] 次回は2005年7月アメリカ・ミネアポリス市で開催すること等報告(詳細は本誌第56巻第3号に掲載).続いてアジア獣医師会連合大会が8月25日から4日間マレーシアの首都クアラルンプール市において800名参加により開催され,新会長はマレーシアから,副会長は台湾及び韓国から選任され,次回は2004年10月韓国ソウルにおいて開催すること等を辻副会長より報告した.次いで大森専務理事より獣医学術奨励賞副賞が今回から各20万円とされたことが報告された. 議事第1号議案として事務局の組織見直しに関する件として,[1] 部課制を廃止しスタッフ制の導入,[2] 実務労働時間30分の延長,[3] 創立記念日を休日とすることの廃止,[4] 給与関係の見直し,[5] 職員永年勤続表彰の10年表彰の除外,第2号議案として動物登録事業に関しては,[1] 本会及び動物愛護4団体で構成する全国動物愛護推進協議会が構成団体で団体となり,「動物ID普及推進会議(AIPO)」を設置し,日本動物保護管理協会が事務局となり,運営及びデータベースに係る事務を処理することとなったので,本会の「動物登録事業実施規程」を廃止し,「動物ID普及事業運営規程」に基づき対応すること等が大森専務理事から説明された. 最後に五十嵐から日本小動物獣医師会(日小獣)の会長より同会の法人化運動に反対しないでほしいことの申し出に対し,以下のように回答した旨報告した.本会と日小獣の関係について,『本会は全国のすべての職域の獣医師により組織される地方獣医師会を会員とする社団法人,一方日小獣は小動物診療獣医師が組織する任意団体,このように本会と日小獣は,別組織ではあるが,本会は,これまでの日小獣設立の経緯等を踏まえ,本会の役員のうち,小動物診療を代表する職域理事について,その推薦母体を日小獣と定め,日小獣との協調路線を確保する中で,日獣の組織運営及び小動物診療に係る事業活動について,日小獣が参加し得るよう措置し,小動物委員会への参加等の共存関係を維持してきている.このような中で,先般,まったく唐突のことであったが,日小獣会長から「日小獣は法人化に向けて活動するが,ついては日獣はこの働きに反対しないでほしい」との一方的な話があった.本件については日小獣に対し「今,真に獣医師の組織は,一致団結し,結束を強化すべき時である.獣医師の組織を割り,獣医師の力を削ぐような分派行為は断じてとるべきではないし,また,このような動きは地方会の結束を乱し,地方会を動揺させかねない,日小獣の独断は,本会としては容認できない,節度ある行動を願いたい.」この件に関しては会長を退任した今日でも多くの団体組織が統合強化を図っており,日本獣医学会も日獣と協力関係構築に努力している最中であり,獣医師として特に動物医療に直接参加精進する同根の士である者として,小異を捨て大同につき相互理解と協調の精神を尊重し,堅い結束を進めてもらいたいとの思いは深い,論語の「小忍ばざれば則ち大謀を乱る」とも述べている. 12月20日,獣医師道委員会(祝前委員長)では「小動物医療の指針」を作成し,地方獣医師会長宛に送付した.この内容は平成12年12月設置した動物医療の基本姿勢の見直しに関する小委員会(佐々木東京大学教授・委員長)において小動物医療分野における具体的な倫理規範の策定について,鋭意検討を重ね,小動物医療分野における職業倫理としてとりまとめたもので,自己の業務に誇りを持つとともに動物を慈しみ,飼育者の気持ちにも配慮し,小動物医療を提供するように努めなければならないと述べ,プロフェッショナルであるということを肝に銘じ,社会使命を存分に果たすよう期待すると記している.(本誌第56巻第2号参照) |
(以降、次号へつづく) |
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