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(3)ノミ類の感染症 フェレットに寄生する外部寄生虫としては,ミミヒゼンダニOtodectes cynotisとノミ類Ctenocephalides spp.が認められることが多い.ミミヒゼンダニについては,非常に高頻度に寄生していることが推察されるが,イベルメクチンの投与により,良好に駆除することが可能である[16]. 一方,フェレットに寄生するノミは,ほとんどの場合,その周辺で飼育されている犬や猫に由来する.犬,猫に寄生するノミには主にイヌノミC. canisとネコノミ(図5)C. felisがあり,イヌノミに比べてネコノミのほうが宿主特異性が低いようである.これを反映してであろうが,フェレットの場合も,検出されるノミはネコノミが多く,イヌノミの寄生例は少ない[6, 12]. ペットとして飼育されているフェレットにおけるノミの寄生は,上述のように本来は偶発的に発生するものと思われる.しかし,いったん寄生が起こると,フェレットを吸血し,ノミが繁殖を繰り返していくこともある.フェレットに寄生するノミの駆除は,犬,猫におけるのと同様の方法で実施する.すなわち,成虫を駆除し,その後の再寄生を予防するとともに,飼育環境に生息する幼虫や蛹を殺滅するのが理想的である. フェレットは室内で飼育されていることが多く,通常は,たび重なるノミの寄生を受ける可能性は高くはない.そのため,成虫の駆除を行うだけで相当の効果が得られることも多い.しかし,飼育条件によっては,ノミの寄生が継続することもあり,こうした例に対しては,残効性の高いノミ駆除薬を使用し,再寄生の防止を図ることが必要である. 現在,犬や猫のノミの駆除には,長期間にわたって残効性を示す多種の製剤が開発され,それぞれ良好に使用されている[9].フェレットに対してのノミ駆除薬の投与は,このうちの一部の製剤について検討されているにすぎないが,犬や猫に多用されているフィプロニル製剤やイミダクロプリド製剤を用いることが可能である.これらの製剤の残効性は,フェレットにおいても数週間にわたって維持されるようである. なお,ペルメトリン製剤をフェレットに投与すると,流涎を起こすことがある.イミダクロプリドには,単味の製剤のほか,ペルメトリンを配合したスポットオン用滴下式製剤が開発されているが,ペルメトリンとの複合製剤はフェレットには使用すべきではない.また,イミダクロプリドとイベルメクチンを配合したスポットオン用滴下式製剤もあるが,この投与方法によるイベルメクチンの効果は検討されていないため,現段階では本製剤によるフェレットの犬糸状虫症予防は推奨できない. |
引 用 文 献 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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