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4.IOLの必要性―「開眼手術」と「視覚を回復させるための手術」の違い― |
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図5 正常眼,白内障眼,白内障手術後の無水晶体眼, そして,矯正眼におけるそれぞれの見え方
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5.犬の白内障手術を成功させる要因 犬の白内障手術は,元来修復不能な眼球を,禁を犯して無理に修復すると思われたほど成功への道のりは長かった.そして,手術が成功したとしても光を取り戻すだけの開眼手術に終わっていた眼は,1996年に犬用IOLが使用可能になって視覚を取り戻す手術へと変った.最後に犬の白内障手術が視覚回復をはかる手技として安全に行われる要因を上げてみた.
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6.お わ り に 近年,人の白内障手術の完成度が高まり日帰り手術も行われるようになったために,犬の白内障手術も人と同様の成績が得られるであろうとの社会的期待がある.確かに犬の白内障手術はひと頃に比べれば格段の進歩を遂げ,手術を受けた犬の約95%は視覚を回復している.だが,この成績を得るには本文で述べた通り,手術適応症を診断し,手術に必要な器具器材を揃え,手術用顕微鏡を用いて十分トレーニングを積んだ術者が行うことが不可欠である.国内の眼内レンズメーカーは,眼科医へのサービスの一環として全国数箇所に豚眼を使った白内障手術のトレーニング施設を保有している.筆者は犬用眼内レンズの開発に関わった者として,企業にトレーニング施設を眼科医ばかりでなく獣医師にも開放してくれるよう求めた.その結果,1997年から2004年までの7年間に全国約250名の獣医師が4カ月間にわたる研修コースを受講した.現在その内,約50施設で白内障手術及び眼内レンズ挿入術が可能となっている. 白内障治療が安全で動物のよりよい視覚の回復をもたらす獣医療技術としてさらに発展していくことを願って終わりとしたい. |
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参 考 文 献
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† 連絡責任者: | 工藤莊六(工藤動物病院) 〒164-0003 中野区東中野1-13-26 TEL 03-3371-3963 FAX 03-3371-7789 |
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